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蒼空サッカー/非公式交流戦

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蒼空サッカー/非公式交流戦

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第15章


(……こ、これは、予想外の結末ナノネ)
 キャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)は「光学迷彩」で姿をくらますと、観客席から出口に向かってできるだけ足音を忍ばせて走り出した。
 PK戦での決着は、公式記録上は引き分けだ。だが、勝敗は誰の眼にも明らかだ。
 試合前にノミ行為を働いていた身としては、こういう決着とも引き分けともつかない終わり方が非常に困る──
 むんず、と脳天がつかまえられた。
 警備担当の御剣紫音が、右手でキャンディスの頭をつかみ、空いている手で無線機のマイクを口元に当てている。
「こちら警備、御剣紫音。標的を確保した。どうぞ」
「こちら本部浅葱翡翠。今、標的のパートナーの茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)さんがそちらに向かいます。標的確保のまま、現場にて待機。ふたつほど伝言をお願いできますか?」
「何だ?」
「ひとつは、お金返すときの謝り方を考えておくように、との事です」
「もうひとつは?」
「『遺言は聞いてやる』、だそうです」


「えええええっ! どうして打ち上げないの、打ち上げ〜っ!?」
 イングリットのクレームに対し、武神牙竜はむべもない。
「ないものはない。前回に比べて色々と規模をダウンサイジングしたと言っているだろう? 打ち上げなんか準備する余裕なんてなかったんだ」
「打ち上げ〜」
「いい加減あきらめろ」
「打ち上げ〜!」
「ギャーギャーうるせえ、給水所行って汁粉でも食ってろ!」
 葛葉翔は、フィールドの脇にある給水所兼喫茶所兼実行委員テントを身ながら嘆息した。
(あいつ、今度は甘味処も始めたのか……)

(俺は先に帰るぜ。後頼むわ)
 マイト・オーバーウェルムは、ルイ・フリードや鬼崎朔、遠野歌菜にそう言い残すと、早々に選手用ゲートから外に出た。
 敗軍の将としては、正直仲間たちに合わせる顔がない。
(──負けたチームのリーダーが顔ニヤつかせているのはヤバいよなぁ?)
「くっ……ふはははっ……」
 負けたことの悔しさがないわけではない。
 だが、それ以上に彼は痛快だった。
(何だよ、あのチビの成長っぷりは! あいつが以前は自他ともに認める運動オンチだっただと? 誰がそんな話信じられるか!)
 芦原郁乃は成長した!
 その成長のきっかけを作ったのは自分だ、という事が、楽しくて嬉しくて、どこか誇らしくて仕方がない!
「ははははっ! はっはっはっはっ!」
 マイト・オーバーウェルムは大笑した。自分の笑い声が、蒼空の果てまで突き抜けていきそうだ!
「もっと強くなれよ、チビ! また会う時を楽しみにしてるぜ!」
 この声は、芦原郁乃には届いただろう──マイトは信じていた。
 あのチビは、NGワードに対してはやたらと敏感なのだから。


(終わり)

担当マスターより

▼担当マスター

瑞山 真茂

▼マスターコメント

 瑞山真茂です。
 シナリオにご参加いただき、あるいはリアクションをお読みいただきありがとうございます。

 相変わらずしんどいシナリオ&リアクションでしたが、苦労した分参加いただいたユーザー様やお読み下さった方々が楽しんでくれれば、と願ってます。

 それではまた、次のシナリオの仕込みに入ります。

 ご覧頂いてる皆々様とはまたご縁があることを願いつつ、ひとまず失礼いたします。

▼マスター個別コメント