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【カナン再生記】名も無き砦のつかぬまの猶予

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【カナン再生記】名も無き砦のつかぬまの猶予

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幕間 ウーダイオスの一日(1)

「また勝手に腕の縄を解いてるんだねぇ」
「だめですよ。そんな事してると、みな様に余計不信感を与えてしまいます」
 食事を持って部屋に入ってきた葉月 可憐(はづき・かれん)は、よっと手をあげて出迎えたウーダイオスに頬をふくらませた。
 アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)は半ば呆れているようすで、床に落ちた縄を拾っている。
「悪いな、窮屈なのは苦手なんだ。部屋から出ていかないので勘弁してくれ」
「もうっ」
「しょうがないよ、もう諦めよう。あれだけしっかり結んだんだよ? さっきのより頑丈なのだと、あとはもう溶接するぐらいしか思いつかないよー」
「そういうわけだ」
「なんで、自慢げな顔をするんですか。私達は、ウーダイオス様のことを考えてしているのですよ」
 葉月は食器をテーブルに置きながら、深い深いため息をついた。
 先日の戦いで捕らえた、ウーダイオスという名の男は現在砦の中で監禁されていた。彼は貴重な情報源であり、そして危険人物である。最終的には捕まったものの、何度も契約者と多対一の状況を切り抜けるだけの実力を持っている。
 この男の世話役を自ら進んで引き受けた葉月も、そういう心構えを持って彼に接していた。が、どうも聞いた話の印象と、実際に相対する本人との印象は全く違っていた。
「今日は随分と賑やかなんだな、祭りでもするのか?」
「兵士さんたちの訓練が始まったんだよねぇ」
「なるほど」
「耳障りですか?」
「いや、昔を思い出せて悪くない。けど、それよりも飯だな。きちんと飯食わないと、生えてくる腕も生えてこないからな」
「人間の腕は生えてこないんじゃないですか?」
「わかんねーだろ、もしかしたら、こう、にょきにょきっと手が生えてくるかもしれん。トカゲの尻尾はまた生えてくるんだしな」
「そうだといいですね」
 冗談を言っているにしては、顔は大真面目だ。もしかしたら、本気で言っているのかもしれない。
 こうして喋るようになって日は浅いが、葉月はこの男にあまり邪悪な意思のようなものを感じないでいた。どちらかというと、手のかかる悪がきというか、いたずらっ子というか、そういう印象を受ける。
 それに好奇心も旺盛で、一番最初に会った時は矢継ぎ早にシャンバラについて質問をしてきた。内容も、政治とか軍のことなどではなく、他愛のない事ばかりだった。
 一応、あまり情報を渡しちゃだめかもしれない、という事で答える質問は選んで話をしたが、とにかく変わった男である。
「お、今日の飯は中々いけるな」
「そんなにがっつかなくても、食事はもっとゆっくりと楽しむべきだと思います」
「昨日のはショックを受けたみたいだったしねぇ」
 アリスが昨日の事を思い出して、笑みを浮かべる。普通に作っていたはずなのに、何を間違ったのか謎料理ができてしまったのだ。それが原因で一悶着あったのだが、過ぎてしまえば笑い話である。
「あれは死ぬかと想ったからな」
「もうっ! そこまで酷くは無いですよ」
 賑やかな食事はあっという間に終わり、葉月が食器を片付けていると部屋をノックする音が聞こえた。
 予定より少し早いが、彼に面会を希望している人が来たのだろう。尋問のための部屋なんて用意している時間も余裕も無かったので、それが行われるのもこの部屋という事になる。
「もし、手荒な真似をされたら言ってくださいね。私から注意しておきますから」
「あとで部屋の掃除に来るから、あんまり汚さないで欲しいんだよねぇ」
「わかった。何かされそうになったら、部屋は汚すなって伝えておくことにする」
 二人が食器を持って部屋を出ていくと、少し間を置いて開いた扉から人が入ってきた。

「随分と人気があるようですね」
 鬼崎 朔(きざき・さく)の口調にはどこか刺々しいものがあった。
 彼女の視線の先には、先日捕えられたウーダイオスという男の姿がある。捕まった時は、出血多量で生死を彷徨っていたはずなのだが、今はそんな事があったのか疑わしいぐらいに平然と、ふてぶてしい姿を見せている。
 朔の記憶にあるのと変わらない。今は鎧ではなく布の服を着込み、その片腕が無いということぐらいだろうか。
「わかっているとは思いますが、もし余計な事を言えば―――」
「殺す、か? ま、脅しとしては上々だが、それはあんたにとってどうなんだ? どちらにせよ、あんたの居場所は無くなるだろ」
「それは―――」
「ま、別に俺は命をかけてまであんたを追い込むほど、恨みもなけりゃ酔狂でもないさ」
「嘘ではないようですね」
「相手の言葉の真偽を見抜く技か、いや魔法か?」
「あなたが知る必要はありません」
「なるほど、道理だ。それで、俺が嘘を言っているかどうかを判別する………のがついでで、俺が余計な事を言わないかどうかを監視をすると。感心するね、そんな役割そこそこ信用がなくちゃできないだろう。随分と立ち回りはお上手なようで」
「………」
「ま、好きにするといい。殺しにかかってくりゃ抵抗もするだろうが、そこでそうして睨みつけてくるだけなら気が済むまですればいいさ」
 そう言って、ウーダイオスはつまらなそうに天井を見上げた。
 言われた通りに睨みつけているのも癪なので、朔も視界からウーダイオスを外す。その時を待っていたかのように、扉に足音が近づいてきて、ノックの音が響いた。
「どうぞ」
 ウーダイオスのやる気の無い言葉を受けて、扉が開く。
 入ってきたのは、椎堂 紗月(しどう・さつき)ラスティ・フィリクス(らすてぃ・ふぃりくす)小冊子 十二星華プロファイル(しょうさっし・じゅうにせいかぷろふぁいる)の三人だった。
 朔は紗月と視線を合わせるだけにして、余計な会話しないで部屋の奥へと移動する。
「よう、あんたがウーダイオスか。大変だったみたいだな」
 紗月は気軽に声をかけてみた。大体の話は、ここの砦の人と朔から話は聞いている。
「あんたの話を色々聞いてきたんだが、どうも気になる事があってな。せっかくだから、本人に聞いてみようって思って来たんだぜ」
 言いながら、用意してある丸テーブルの椅子を引いて座り、ウーダイオスの向かいに座った。十二星華とラスティは座らずに少し後ろに立っている。
「気になることねぇ、俺も結構あるんだがな。んで、何が聞きたい?」
「おっと、随分と素直なんだな。そんじゃ、さっそくだが話は聞いてるか? あんたを取り戻したいって、あんたの兵達が今まで捕まえた流民と交換を申し出てきたんだ」
「その話か、まぁ一通りは聞いてるが」
「なら、話は早い。その話を聞いて、どう思った?」
「抽象的な質問だな。そいつは、なんて答えれば正解なんだ?」
「正解かなんてねーだろ? あんたがどう思ったかって話だ」
 ウーダイオスは、一度あからさまに視線を外してから、やれやれといった表情を作って話し始めた。
「いくつかあるが、一番大きいのはやっぱりか、というやつだな」
「やっぱり? えぇっと、それは自分がすげー優秀だから、絶対に取り戻そうとするだろうって思ってたってわけか?」
「そういう話でも面白いが、あいにく下手な事は言えないんでね。別に俺である必要はないんだ、単に縋るものが欲しくてたまらないのさ。心の拠り所ってやつだな」
「なんだそりゃ?」
「この国は、国全体がイナンナを神として崇めてきた。国民性というやつかね、縋るものがないと不安でたまらないのさ。今回は偶然俺だったと、そういう話だ。ま、あとはあの神官殿があまりにも魅力が無かったってのもあるんだろう」
「国民性か、なんかややこしいな」
「しばらくこっちに居るのなら、嫌でも見えてくるだろうさ」
「まるで、あんたはこの国が嫌いみてーだな」
「そうでもないさ。そうでもないが、そうかもしれないな。まぁ、そういうわけだ」
「どういうわけだよ」
「わたくしも一ついいかしら?」
 すっとが十二星華一歩前に出る。
「どうぞ」
「その、人質交換なんですけども、なぜ人質を殺すのではなく、交換の交渉をしたのかわかりますか? 交換なんて危険を犯すよりも、殺すと脅してウーダイオスさんを開放した方がずっと安全ですわよね?」
「そいつは、認識の違いって奴だろうな」
「認識の、違いですの?」
「ああ。恐らくだが、神官は人質とは言わなかったんじゃないか。市民か、国民か、ともかくそう持ちかけたはずだ。それを人質と解釈したのは、あんたらだ。俺らにとって、ちょっかいを出してくるゲリラ以外の奴らは大事な国民なんだぜ?」
「しかし、あなた達はモンスターを操り望まぬ人を連れ去っていたではありませんか」
「ま、意思を尊重してないのは認めるがね。けど、こんな一面が砂地の場所だ。放っておく方が無責任ってやつじゃないか?」
「しかしっ」
「せーか。人間同士が争っているのだ。意識の食い違いというのはどうしてもでる。もっとも、この男はわざと言葉を選んでいるように思えるのだよ。あまり、まともに相手すべきではないな」
 ラスティがそう言って、十二星華を静止する。
「しかし………このような奴を取り戻したいと、私には愚かなとしか思えないな」
「同感だな」
 少し煽って、この男がどう反応するのか見たくてラスティが口にした言葉に、ウーダイオスは間髪いれずにそう答えた。少しは人間を測れるかと思っていたが、先ほどのやりとりといいどこまで本心で語っているのか疑わしいものがある。
 後ろでこのやりとりを見ていた朔に視線を送ると、彼女は黙って頷いた。嘘は言っていない、という合図だ。彼女が判断を誤るとは思えないので、間違いないのだろう。
 本心で自分の仲間を愚かだと思っているのだろう。しかし、だから信頼していないのか、それとも愚かだと思いつつも仲間を想う人間なのか。判断がつかない。意図して言ったのか、軽口で言っただけなのかすらも判断に困る。
「時間です」
 今まで黙っていた朔が、そう告げる。この男はここでも人気があるので、面会希望者が多く順番待ちができているのだ。
「わかった。最後に、これだけ言っておこう。恐らく、貴様と人質の交換はされるだろう。もし、まだ他にも人質が居るのならばそれを盾に取るような卑怯な真似はしない事だ。貴様にもプライドの一つもあるだろう? 生かされた身である貴様が、汚い手を使い更に惨めな姿は晒さんことだ」
「プライドねぇ………ま、さっきも言ったがあいつらも大事な国民だ。無碍に扱うような事はない、とだけは言っておくかね」
 振り返らない背中に、ウーダイオスはそう言って手を振った。
 扉が閉められると、奥に居る朔がため息の息遣いが聞こえてきた。この短い時間に随分と気を張っていたようだ。



「そうピリピリしないで欲しいのデスヨ」
「別に、ピリピリなどしていません」
「しているじゃありませんカ」
 そう言いながら、愉快そうにローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は笑みを浮かべた。
「おや、人がこっちに来マスネ。どうやら、前の人が終わったようデス。さ、行きまショウカ」
 前を歩く彼女に対して、ふんと鼻をならしてエシク・ジョーザ・ボルチェ(えしくじょーざ・ぼるちぇ)はそのあとに続いた。それに、上杉 菊(うえすぎ・きく)も続く。
「わたくしとしたことが、マダカ様に取り付かれ、あまつさえ御方様の下までマガダ様を運んでしまうとは………」
 菊はいつもより少し視線が下がっている。
「菊媛のせいではありませんよ。気にしないでください」
 エシクはそう言って、視線をローザマリア―――に憑依している奈落人のマガダ・バルドゥ(まがだ・ばるどぅ)に向けた。憑依している事がばれぬように、ウィッグをつけるだけでなく、カラーコンタクトをはめるなど念が入っている。
「もし、何かあるようでしたらわたくしが御諌めいたします」
「今は様子を見ましょう。ああまでして、身なりを整えたのですから、妙な真似をするつもりは無いのかもしれません。それに、もしローザの名を汚すような真似をするのであれば、この私が誅します」
「なにをコソコソしているんデス? つきマシタヨ」
 マガダはもう扉のノブを手にとって、空いた手で二人を手招きしている。
 部屋に入ると、丸テーブルに座っているウーダイオスと、その奥にもう一人いるようだ。
「申し訳ありません、少しの間退出していてもらえますか」
「そういうわけにはいきません」
 朔は、ここで行われる尋問でウーダイオスが喋る内容の真偽を見るという役割がある。それを、個々の事情で出されたり戻されたりしたらたまらない。
 しかし、ローザマリアにマガダが憑依している状態では、何が起こるかわからない。身内以外の目撃者はできる限り排除したい。
「どうしても、無理ですか」
「何かやましい事でもあるんですか?」
 平行線になりそうな会話の間に、ウーダイオスが割り込む。
「いいじゃねぇか、少しぐらい休んでも。別に俺は告げ口なんかしないし、あんたは気を張り詰めすぎだと想うぜ」
「それは………」
 朔は、言おうとした言葉を飲み込んだ。先ほどまでここに居た、紗月が自分の恋人で絶対に余計な事を言われたくないから………などと言えるわけがない。
「………わかった、部屋を出よう」
 そう言って朔は部屋を出た。別に気を張り詰めていたから疲れたわけでもないし、ウーダイオスの言葉に諭されたつもりもないが、紗月達がウーダイオスを見てどのように思ったか聞いておきたいと考えたのだ。それに、この押し問答で相手が引き下がるとは思えない。
「さて、内緒話をする前に一つ言っておくが、床は汚さないように」
「ハテ………随分と綺麗好きなのデスネ。ええ、それでは注意シマショウ。ただし、あなたが素直にお話してくれるのデシタラ、というお話デスケドネ」
「俺は素直なのが売りでね。ま、とにかく聞きたい事があるならさっさと聞くといいぞ」
「デハ………、今まで捕らえ石化させ運び出した住民は今どこにいらっしゃるのデスカ?」
 尋問が始まった。エシクは壁に背中を預け、菊はマガダのすぐ後ろにたってそれぞれ様子をうかがっている。
「場所か、いくつかある。神殿に送った奴もいるし、山間部に送ったのもあるな」
「一箇所にまとめてはいないのデスカ?」
「ただ捕まえても意味は無いだろ? 仕事があって人手を欲しがってるところに送り出すのさ。詳しい場所はわからないけどな」
「なぜデスカ?」
「人を運ぶのはうちの仕事じゃないんでね。受け渡しした先の事まではわからんのさ」
「そうなのデスカ。数はわかりマセンカ?」
「数か………事務仕事は神官がやってたからな、正確な数はわからんなぁ。別に俺が縄持って捕まえに行ってたわけでもないし」
「報告などは受け取っていないのデスカ?」
「随分とそのことが気になるようだな、知り合いでも居なくなったのか? さっきも言ったが、事務仕事は俺の受け持ちじゃないんだ。仮に、残っている指の爪を全部剥がしても答えは出てこないぜ?」
「それは、拷問をしてクダサイと、そういうことデスカ?」
「無駄だ、という意味で言ったつもりなんだけどな。んで、まだこの話続ける?」
「まるであなたが話しの主導権をもっているみたいデスネ。いいでしょう、なら聞くことを変えマショウ。この西カナンには、あとどれだけここのような拠点があるのデスカ?」
「それも神官の領分だなぁ」
 あー、とやる気ない声をあげながら、ウーダイオスは右手の指をくるくると回している。何かいい言葉が出てこないか、と思案しているようだ。
「そうだなぁ、俺はあくまで戦術指南役なんだよ。それに、神官どもともあんまり仲良くなくてね。必要最低限のことしか教えられてないんだ。俺から話を聞いて、裏をかこうって考えなら、残念でしたと言うしかないな」
「本当デスカネ………では、質問の仕方を変えてみマショウカ。体に聞いたら、別のことを言うかもしれマセンカラネ」
 そう言って、マガダはウーダイオスの口と鼻をタオルで塞いだ。そこに、持ってきたお茶を垂らしていく。呼吸を邪魔する簡単な拷問だ。これを繰り返して、相手の体力と気力を奪って口を割らせる。
 しかし息ができないはずなのに、ウーダイオスは一向に苦しむ様子がなく平然としている。少し待って、タオルを放しても息を乱しすらしなかった。
「悪いね、俺、皮膚呼吸ができるんだ」
 さらりとそんな事を言ってのける。
「確かに、この方法では効果が無いようデスネ。それでハ、もっと直接的な方法を試しテ―――おや、どうしてワタシの手を取るのデスカ?」
 菊がマガダの手を掴んでいた。
「何をなさるおつもりですか?」
「なにと言われマシテモ、お話を聞くだけデスヨ?」
「恐らく、無駄ですよ」
 エシクが冷たい目でウーダイオスを見ながら言う。
「無駄デスカ?」
「恐らく、拷問なんかに対する訓練を積んでいるんじゃないですかね? それに、痛みに対してもかなり鈍いらしい。無理やり口を割らせるのなら、薬を用意した方が早いでしょうね」
 エシクの見たまま感じたままの感想だ。息を封じられて、あそこまで平然としていられた理由は、本当に皮膚呼吸をしているのか、もしくはタオルが目に入った時に自分が何をされるか理解していたかだ。
 普通に考えればタオルは汗を拭くことに使うもので、拷問に使われる道具だとは思わない。それを拷問の道具だと見抜き、心構えをして耐えたのなら考えられる事は一つ。以前に同じような事をされたり見た経験があるということだ。
 それに、腕を切り落とされてからの立ち回りの話もある。痛みに対して、かなり鈍感なところがあると思っていいだろう。もしくは、そうなるよう訓練したか、だ。
「ふぅむ、流石に薬までハ用意してイマセンネ」
 マガダは意外にもすんなりと納得した。てっきり、尋問にかこつけた拷問を楽しみにしているのだと思っていたのだが。
「では、今日ハこの程度にしておきマショウカ。手を放していただけないデショウカ?」
「あ、はい」
 菊が手を離すと、マダガは痕がついてないか入念に確認した。強い力で掴まれたような気がしたが、痕も何も残っていなかった。大事な晴着に傷はついていなくてよかったと、マガダは心中で一息つく。
「それでは、御機嫌ヨウ」
 それだけ言って、マガダはさっとウーダイオスに背を向ける。慌てて菊もそのあとを追う。エシクはウーダイオスの顔を一瞥すると、何も声をかけずに二人のあとを追っていった。