リアクション
オープニング 「パラミタ大陸に夜の静寂が降りたとき、一つの声が聞こえてきます。 この声は、あなたの耳に届いていますか? あなたの声は、誰かに届きますか? 夜の風に乗せて、あなたの声をあの人に届けます。ミッドナイトシャンバラ、今夜も始まります……。 ということで、今日は、なんだか音が違いませんか? 音が響いちゃってます。ここは広いんですよ。だって、空京大学の音楽ホールなんですから。 そうです。今日は、お約束した公開録音の日なのです。 みんな、元気かー?」 ちょっとわざとらしく、シャレード・ムーンが客席に声をかけました。テーブルの上のマイクを手にとって客席にむけます。 「元気でーす。いつも聞いてまーす!」 すかさず、客席の一番後ろに回った日堂真宵が声を張りあげました。サクラです。 「聞いてるぜー」 「わーい、本物だー」 「全世界の諸君、私が……」 「もう、黙っててください。またつまみ出されますよ!」 適当に、会場の声がマイクに拾われました。 「はい。今日来てくれたみんなも元気一杯のようです。それでは始めましょう、ミッドナイトシャンバラ! この放送は、謎の秘密結社オリュンポス。フェアリーテール観光はお任せの空京観光、パンツ四天王に奪われたパンツの補充はお任せのセコール、開通目指して日々努力の新鉄道、新味登場シャンパラ山羊のミルクアイス本舗、その他各社の提供でお送りいたします」 「はーい、CM入りましたデース!」 今度はスムーズに切り替えたアーサー・レイスが、スピーカーから会場に告げました。続いて、CMがそのスピーカーから流れてきます。 「フハハハ!我ら秘密結社オリュンポスは、現在、共に世界征服を目指すメンバーを募集中だ! 戦闘員から怪人、幹部候補まで幅広く募集しているので、ぜひ応募してほしい! 共に、世界の支配を目指そうではないか! また、我らと同盟関係を結んで、世界征服活動に協力してくれる組織も大歓迎だ! 詳しくは、秘密結社オリュンポスまで!」 「兄さん、いつの間に……」 高天原咲耶が、真っ赤になってうつむきます。こんなに大々的に募集なんてしたら、秘密結社の「秘密」の字が泣きそうです。 「ジングル入って、最初のコーナーデース」 アーサー・レイスが告げました。 『私の愛を感じて』 あの人への手紙コーナー 「今日は、空京大学音楽ホールからお送りしていますミッドナイトシャンバラ。 いいですねえ、こういう雰囲気は。いつもは電波のむこう側にいるみんなの顔が見られて凄く楽しいです。私の顔の方は、どうだったかな……」 「中継とかでよく見てるぜ!」 すかさず、会場から声がかかりました。 「ああ、よく司会してますから、知ってる人の方が多いのかな。 こういう、打てば響くっていうか、すぐに答えが返ってくるのも、なんだか楽しいですね。 さてさて、では、今日最初のコーナー行ってみましょう。 あの人への手紙……。 近いうちにイルミンスール魔法学校で一番の宝物を頂戴いたします。 阻止したければ戻って来れといいですよ〜。 早く戻って来ないと冷蔵庫のプリンも食べちゃいますからね! エリザベートちゃんで胸がいっぱいさんからのお手紙です。 ええっと、いきなり外した? 誰への手紙なんでしょうか。なんだか、怪盗さんみたいですが。 それにしても、イルミンスールの一番の宝物ってなんなのでしょう。 イルミンスール魔法学校の生徒さんたちは、ここにはいないのかな。宝物って、なんですか?」 「世界樹」 「地下大浴場」 「宿り樹に果実」 「俺様」 フリーダムな回答が会場から聞こえてきます。 「えっと、なんだか変なのが混じっていたようですが。さすがは魔法学校、いろいろとありそうですね。 とりあえず、プリンよりは大切な物のようですが。 でも、何か盗まれると大変ですから、みなさんでちゃんと守ってあげてくださいね」 「こ、これは……。怪盗だって? こういうときこそ、このイルミンスールの天災少女の出番だよね」 「それはないと思うが」 ちょっと張り切るカレン・クレスティアに、すかさずジュレール・リーヴェンディが言いました。 「しかし、誰がこのような投稿を……」 ジュレール・リーヴェンディが、キョロキョロと会場を見回しましたが、それで見つかるはずもありません。 「プリンより大事なものだなんて、きっと凄い物に違いないんだもん」 確信を込めて、ノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)が言い切ります。 「ノーンにとっては、プリンより大事な物なんてありませんものね」 それはそれでどうなのかと、エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)がちょっとため息混じりに言いました。 |
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