リアクション
【 新たな幕開け 】
「何だ、ありゃ……!」
敬一が思わず声を上げた。
一本、二本、三本……。
円を描くようにして一本一本の柱に、次々と淡い光が灯っていく。彼らには知りようが無いことだが、その光はランタンに灯っていた光の色とよく似ている。そして八本の柱全てにその光が灯ったと同時、その光はゆっくりと膨れ上がり、ドーム内を真っ白に染め上げるような光が満ちたかと思うと、ギャァアアッ! と凄まじい悲鳴が響き渡った。
「今度は何だ……ッ」
誰かが叫んだ次の瞬間、皆が皆、驚愕に言葉を飲み込んだ。
中央で鉄壁の守りを敷いて鎮座していた女王が、急にもがき苦しむように体を暴れさせ始めたのだ。
咄嗟に、恭司たちは女王の傍から飛び離れたが、それに反応さえして来ない。
アァア゛アア……ギャアゥウ゛ウ゛……ッ
足をばたつかせ、顎をがちがちと震わせて、上がり続ける悲鳴は、音波攻撃のそれとは比較にならない程の音量だ。ありったけの防御と共に、耳を押さえて堪えること数秒。
一際大きな叫び声を上げたかと思うと、先ほどまで苦戦させられていたはずの硬い外殻がぼろぼろと崩れ、その内側から染み出すような、幾本もの黒い腕のような何かがぶわっと溢れたかと思うと、そのまま霧散してしまったのだ。
突然の出来事に、一同があっけに取られる中、吸い寄せられるように女王のいた床へとふらりと近づこうとしたリリを、乱世が押し留めた。
「不用意に近づくな、危険だ」
彼女がトラップを確認するのを固唾を呑んで見守っていたが、危惧していたような危険は無いようで、中央まで至った乱世は、ふうっと息をつく。
「大丈夫、トラップの類は無いよ」
そうは言うが、先ほどの出来事の後だ。皆が一歩躊躇う中、クローディスら調査団たちは、慎重に女王のドームへ足を踏み入れると、その床へと視線を落とした。まだうっすらと燐光が残る床の上に、文字らしきものが刻まれているのが見える。
「……文章の形態は、ストーンサークルのものと似ているな」
「なんて書いてあるか、判る?」
呟いたクローディスに、床の様子を録画しながら近づいたレキが問うと、難しいな、とその顔は険しい。
「文字がいくつか削れてる。女王がいた場所だからな、磨耗してしまったんだろう」
だが、何とか解読してみるさ、と肩を竦めて調査に乗り出そうとしたクローディス達の耳に「それ」は聞こえてきた。
『忌むべき槍の、錆付く音。戒めは罅割れ、残す鍵は一つ――……過たず開け。覚悟が、あるならば』
地下でその声を耳にした者たちは、まだ知らない。
その声は、口調こそ違えど、地上でディバイスの口を借りた者と、全く同じものだったということを。
皆さま、ご参加ありがとうございます、そしてお疲れ様でした
前編は、情報がかなり少ないということもあり、色々と頭を悩ませていただいたようで
本当に様々なアクションを頂きまして、嬉しい悲鳴をあげながらのリアクション執筆となりました
何といいますか、氏無の人気に嫉妬(←)
さて、この町に眠る最大の秘密が顔を覗かせました
今回も引き続き、様々なところをつっついて頂きまして
おかげさまでかなりの情報が、お目見えできたのではないかと思います
ただし、全てが全て、正しい情報かどうかはまだわかりません
是非、後編でも新たな謎に頭を悩ませていただけましたら幸いです
それでは、後編でお会いできるのを楽しみにしております