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デスティニーランドの騒がしい一日

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デスティニーランドの騒がしい一日

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第3章 メリーゴーランドで遊ぼう

 色とりどりのたてがみを揺らし、くるくる回る回転木馬。
 女の子の憧れがいっぱい詰まったポップな色合いのメリーゴーランドを、杜守 柚(ともり・ゆず)はうっとりと眺めていた。
「柚ちゃん、あれに乗りたいの?」
「柚はああいうのが好きだからね」
 そんな彼女の顔を覗き込んだのは、サニー。
 柚の代わりに答えたのは、杜守 三月(ともり・みつき)
 友人たちと一緒にデスティニーランドに遊びに来ていたのだが、同行していた友人たちは別行動をとっているため、今はサニーとレイン、柚と三月、高円寺 海の5人で一緒に回っていた。
「うん、あれも好きなんですけど……私が一番乗りたいのは、もう決まってるんです」
 笑顔で答える柚。
 柚とサニーの提案で、それぞれが一つずつ好きなアトラクションを指定していき、それを全員で楽しもうという事になっていた。
 柚の瞳は、ランドの中心にある観覧車を見つめていた。
「そっか。それじゃあ……私はメリーゴーランドに決めた! だから皆で乗りましょ」
 柚の手を引くサニー。
 よろけて思わずもう片方の手で海の手を取る柚。
「わ、ごめんなさいです」
「いや、別にいいけど」
 思わず赤面する柚。
 海はそれには気づかない様子で、アトラクションを見ている。
「あれに乗るのはな……」
「うーん、さすがに恥ずかしいよねえ」
「姉さんが乗りたいっていうなら仕方ないけど……」
 レインを除いた男性陣は、メリーゴーランドには気乗りしない様子だ。
「あ、でも見て」
 サニーがメリーゴーランドを指差す。
「あのメリーゴーランド、なんだか普通のと違うみたい」

「おねーちゃん、あっちあっち! あのメリーゴーランドも新しくなったんだよ!」
「ふむふむ。なかなか面白いですね」
 エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)の手を引くのはノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)
 ノーンは以前もデスティニーランドに遊びに来たことがあり、勝手知った様子で走り回っている。
 エリシアはノーンに付き合ってやって来たのだが、以前、パートナーの御神楽 陽太(みかぐら・ようた)がこの遊園地の再建に力を貸したこともあり、少なからずこの場所は気になっていた。
 あちらこちらを銃型HCで写真に撮っていたが、そのうち楽しむ気持ちが勝って、ノーンについて走り回っていた。
「うわあ、たっのしそーう!」
 目当てのアトラクションを前に、目を輝かせるノーン。
「いっけえええー! させー!」
「まくれまくれー!」
 そこには、メリーゴーランドで三馬身差をつけて走りまくる亜城 奏(あしろ・かな)ディミィ・リスクス(でぃみぃ・りすくす)の姿があった。
 ちなみに、一応二人はスタッフだ。
「いやいやいやいや、お客様に楽しんでもらうためにはまず自分が楽しまなくちゃだよね!」
「うずうずで、わくわくだったのですよー!」
 全く悪びれる様子もなく笑う奏とディミィ。
 ディミィのリス尻尾がぱたぱた揺れる。
「ほら、このメリーゴーランドは新作なんだよ! 今朝整備してもらったばかりの新品ほやほや! なぁんと、それぞれの馬が競争できるようになってるんだよ!」
 メリーゴーランドは整備士の木賊 練(とくさ・ねり)の手によって新しく生まれ変わっていたのだ」
「うわあ、ほんとの面白そう! ねえおねーちゃん、写真なんか撮ってないで乗ろう乗ろう!」
「そうですね、面白そうですわね」
「はーい、お二人様、ごあんなーい!」

「お、メリーゴーランドだ。美鈴、あれなら怖くないし、一発目としちゃ悪くないんじゃないか?」
「はーい。メリーゴーランドも初めてなんです。ちょっと、ドキドキですね」
 【春遊】メンバーのカイ・フリートベルク(かい・ふりーとべるく) がメリーゴーランドに気づき、玖珂 美鈴(くが・みれい)の肩を叩く。
 少し緊張しているのか、美鈴は僅かに顔を紅潮させながらメリーゴーランドを目指す。
「うわあ、かっわいい! ねえねえ、あれに乗ろっ!」
 女の子のハートをくすぐる色合いに、ルーナ・リェーナは夢中で友人たちの手をひっぱってメリーゴーランドに向かう。
 手を引かれた壬 ハルと音名瀬 清音は苦笑しながらも、楽しそうにメリーゴーランドに乗りこむ。
 音名瀬 明音も清音に手を引かれるままに乗り込み、清音の後ろに腰をおろす。
「美影さんもおいでよ! 大丈夫、メリーゴーランドは怖くないよ!」
「怖くなんかないったら! それよりも、恥ずかしくって……」
「え?」
「もう、分かったわよ……」
 眠 美影も、赤面しつつ馬車に乗りこむ。

 そして回転が始まる。

「うわあ、どんどんお馬さんを追い越して…… たのしーい!」
「これはなかなか意外性がありますね」
「でしょでしょー!」
「つい夢中になっちゃうのですよ」
「か、カイ……この馬たち、意外に早く走るんだね」
「いや、普通はメリーゴーランドってこーゆうのと違うような」
「はぅ〜、これはこれでたのしーい」

「思ったより面白かったねえ」
「ああ。悪くないな」
 結局メリーゴーランドに乗った三月と海たちは、満足そうに感想を口にしていた。
「よかったね、柚ちゃん。皆でメリーゴーランドに乗れて」
「うーん、嬉しいのですけども、何か違うのです……」
 サニーの言葉に、複雑そうな表情の柚だった。