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老魔導師がまもるもの 後編

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老魔導師がまもるもの 後編

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8/守るべき場所

「ま、よかったよ。この喫茶店が潰れるなんてこと、させたくはなかったもんな」
 彩夜の出してくれたコーヒーをすすりながら、エヴァルトは一息つく。
 真夜中を照らし出したあの太陽が消えた後。……呪いの影響下にあった面々も、徐々に目を覚まし、救護班に次々、収容されていった。
 今は、その事後処理の真っ最中。教会のオープンカフェも、門のところに臨時休業の札をかけられて、後始末に奔走する面々やその手伝いに残った人々の憩いの場となっている。
「にしても。あんだけいたくせに結局、捕まえられたのはほんのわずか、か」
 美羽が、椅子の背を鳴らして天を仰ぐ。
 彼女が言うのは、例の黒づくめの軍団。
「ほんと、なんなんだろーね。大勢の決した瞬間、奥歯の毒噛み砕いて自害なんて、さ」
「まったくだ。おかしいとしか言えねえよ」
「ああ」
 シリウスが、エヴァルトが、美羽の言に強く頷く。
 現時点で判明しているのは、連中がテロリストであるということだけだ。

 壊れた塀や、煉瓦の花壇を直すべく立ち働く面々が行き交う。
 霜月と裕輝はこんなときにまで、漫才じみたかけあいで、修理の方法について言いあい揉めている。

「……あ。帰って来たよ」
 救援チームへの報告に行っていた和輝と某と、そして。
 この教会の主が──子どもたちを、連れて。

「オバちゃん。頼むからあんまもう、無理せんといてや」
 聖の押す車椅子に乗って、やってくる。長身のせいか、聖がそうやって車椅子を押す仕草はどこか、ぎこちない。
 奈月とヒメリは、子どもたちの中に交じって元気よく、歌を歌いながら歩いている。
 老婆は、切札と語らい。奈月たちのあとについて元気な声で歌う子どもたちの間には、カルテもいた。

「なんか、肩の荷が降りたって感じがしますね」
 加夜が、言った。彩夜も、同じことを思っていた。
 彼ら、彼女らは既に聞いている。
 搬送された病院で、子どもたちに囲まれながら、老婆が言ったこと。下した結論。

 蒼空学園に、封印の監視を任せたい、ということ。

「しっかり、管理しないとね」
「……はいっ」
 雅羅の言葉に、頷く。
 彩夜も、それを任じられたひとりだった。この場にいる何人もが、老婆から指名を受けた。

 ここを、守っていかなくちゃ。誰かが、そう言った。
 段差の前でつっかかって、うっかり自分の脚を車椅子の車輪で轢いてしまった聖が悶絶している。

 老婆は、肩を竦めてさも愉快気に、笑っている。

 この場所を、守っていこう。

担当マスターより

▼担当マスター

640

▼マスターコメント

 ごきげんよう、ゲームマスターの640です。リアクション『老魔導師がまもるもの 後編』いかがだったでしょうか?
 皆さんのおかげで、どうやら無事封印はなされ、老婆は蒼空学園への管理の移譲を承諾したようです。
 
 今回、封印に参加してくださった皆さんの中から数人の方に対し称号『霊脈封印の監視者』をお贈りしています。
 選出は完全にランダムですが、もしかすると、あなたかもしれませんね。
 
 それでは、また次のシナリオガイドでお会いできることを祈りつつ。では。