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リアクション
★ ★ ★
「ええっ、一人足りなくなった? 仕方ないよね、ここはボクが参加しよう」
なんだかちょっと楽しそうに、アゾート・ワルプルギスさんが言いました。
「というわけで、しばらくここは頼んだよ」
「心配しなくても大丈夫ですよ。楽しんできてください」
ユーシス・サダルスウドくんが、アゾート・ワルプルギスさんを送り出しました。
「ええっ、アゾートさんが私とペアなんですか」
「よろしくー」
「はい。すっごく心強いですわ」
アゾート・ワルプルギスさんに挨拶されて、神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)さんが嬉しそうに言いました。神代明日香さんにペアを断られたときはどうしようかと途方に暮れましたが、これなら、何が出てきても怖くはなさそうです。
「うふふふふふふ。本命が来ましたねぇ〜。夢の入り口にようこそ〜。でもね悪夢かもしれませんよぉ〜」
やっと来たとばかりに、神代明日香さんが神代夕菜さんにコンニャクを投げつけました。
「危ない!」
とっさに、アゾート・ワルプルギスさんがそのコンニャクを火術で焼き払います。流れ弾で、隠れていた神代明日香さんまで焦げそうになりました。
「うきゃうっ!? 危ないです〜」
あわてて、神代明日香さんが避難しました。
「あれれ、今、明日香さんの姿が見えたような……」
神代夕菜さんが、小首をかしげました。
「さあ、先に進みましょう」
「はい」
アゾート・ワルプルギスさんが、頼もしく言いました。
さて、海岸に辿り着くと、身体にワカメをまとわりつかせたまたたび明日風(木曾義仲)くんが走ってきます。まだ、逃げ回っていたようです。
「武者人形のバラバラ死体があ!!」
「きゃあ!!」
さすがに、神代夕菜さんがアゾート・ワルプルギスさんにしがみつきます。
「ああ、ちょっと、魔法のコントロールが効かな……」
いきなりだきつかれて、アゾート・ワルプルギスさんが叫びました。もう手遅れです。最大パワーで放たれた氷術が、またたび明日風(木曾義仲)くんを巨大な氷に閉じ込めてしまいました。
できあがった氷山に閉じ込められたまたたび明日風(木曾義仲)くんが、沖へと流されていきます。
「ええっと、とりあえず回収は頼んでおくんだもん」
しーらないっと、アゾート・ワルプルギスさんが携帯で救護所へと連絡しました。面倒なことにならないうちにと、神代夕菜さんを引っぱってさっさと祠に貝殻を収めに行きました。
「お帰りなさい、何か面白いことはありましたか?」
スタート地点に帰ってきたアゾート・ワルプルギスさんと神代夕菜さんを、ユーシス・サダルスウドくんが出迎えました。
「なーんにも、ねえ」
そう言って、アゾート・ワルプルギスさんは神代夕菜さんと顔を見合わせて苦笑いしました。