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リアクション
★ ★ ★
「この組み合わせになったか……」
「よろしく頼むぜ」
さあ行こうとうながすシー・イー(しー・いー)さんを見て、ちょっと緋桜ケイくんが立ちすくみました。
悠久ノカナタさんに断られたのでくじ引きにしたわけですが、これは完全に予想外です。でも、これなら、お化けを怖がる必要はないかもしれません。いっそ、悠久ノカナタさんがシー・イーさんと組めばよかったのにとさえ思ってしまいます。
「虫除けスプレー、使うかい?」
むきだしの肌の部分にシューシューとスプレーをかけてから、緋桜ケイくんがシー・イーさんに聞きました。女の子に見える緋桜ケイくんのお肌は敏感なので、虫は天敵です。
「いや、虫なんて平気だが、ちょっと寒いのがな」
シー・イーさんが答えました。ドラゴニュートのお肌としては、そうなのかもしれません。
「さあ、寒い雰囲気は作りました。お師匠様、今こそお師匠様の出番です」
ブリザードで周囲の温度を一気に下げたリース・エンデルフィアさんが、アガレス・アンドレアルフスくんに合図を送りました。
「うむ。――ぎょえぇぇぇぇぇ!!」
木立の影から、不気味な叫び声をあげて、アガレス・アンドレアルフスくんがシー・イーさんに飛びかかっていきました。
ぺち。
「なんだ、今のは……。蚊か?」
反射的に、アガレス・アンドレアルフスくんを叩き落としてシー・イーさんが言いました。
「い、いや、そのお……。先に進むかあ」
吹っ飛ばされていったアガレス・アンドレアルフスくんを見失った緋桜ケイくんが、シー・イーさんをうながして先に進みました。まあ、誰かが回収して、ちゃんと悠久ノカナタさんたちのいる救護所に連れていってくれるでしょう。
「きゃあ、お師匠様、しっかりしてください!!」
リース・エンデルフィアさんが急いで駆けつけましたが、ドラゴンアーツの一撃を受けてアガレス・アンドレアルフスくんは完全にのびています。
「ぴーぽぴーぽー。回収に来ました」
リース・エンデルフィアさんの連絡を受けてやってきた希龍千里さんが、ひょいとアガレス・アンドレアルフスくんをつまみあげます。
「では、搬送します」
そう言うと、お土産の寿司折りのようにアガレス・アンドレアルフスくんをつまんだまま希龍千里さんが救護所へとむかいました。
その後も軽快にお化けを蹴散らすシー・イーさんのおかげで、緋桜ケイくんはあっけなく祠に辿り着いてイタヤガイを収めることができました。
「なんともあっけないもんだな、肝試しって」
「いや、みんながみんな、こうとは限らないけど……」
ちょっと返答に困る緋桜ケイくんです。
「で、ちょっといいかな。ワタシは、友達100人を目指している。今、いろいろとで64人ほど知り合いや友達がいるが、その一人になってくれないカナ?」
「もちろん」
緋桜ケイくんは、そうシー・イーさんに答えました。
★ ★ ★
さて、スタート地点に無事戻ってきた緋桜ケイくんが救護所に行ってみると、なぜか悠久ノカナタさんが倒れて寝ていました。しかも、なぜかリイム・クローバーくんを抱き枕としてきつくだきしめています。
「いったい、何があったんだ? おい、カナタ、カナタ!?」
「ううーん……」
緋桜ケイくんにゆすられて目を覚ました悠久ノカナタさんでしたが……。
「な、なんだあ、この変な物は!?」
思わず、さっきまでだいていたリイム・クローバーくんを投げ飛ばして悠久ノカナタさんが叫びました。
「抱き枕です。どうですか、もう少しもふもふいたしますか?」
「誰が! このわらわに添い寝など100万年早いわ!!」
「まあまあまあ」
今にも最大魔法をぶっ放しそうな悠久ノカナタさんを、緋桜ケイくんがあわてて引きずっていきました。
「照れ屋さんですねえ。じゃあ、次の人いくです」
そう言うと、リイム・クローバーくんはちょうど運ばれてきたアガレス・アンドレアルフスくんにびたっとくっつきました。