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リアクション
★ ★ ★
「きゃー」
「きゃー」
森の中を、崎島 奈月(さきしま・なつき)くんと遠藤 寿子(えんどう・ひさこ)が逃げ回っています。
飛び交う火の玉、貼りつくコンニャク、追いかけるシーツお化け。なんだか、あるべき肝試しの姿です。
「ほーらほらほら。わーい、私でも怖がってくれますー」
「いや、そのへんでもういいだろう?」
喜んでシーツを被ったまま追いかけるティー・ティーさんを、源鉄心くんが止めました。これ以上はしゃがれて怪我でもされたら大変です。
「さぶいよー」
「早く進もー」
リース・エンデルフィアさんの冷気に震える遠藤寿子さんに、頭に秋月葵さんの投げたコンニャクを載せたまま崎島奈月くんが言いました。
なんとか波打ち際まで逃げ切って、ほっと一息つきます。
「なんだか、凄い体験いっぱいしちゃったみたいだね」
「コピー誌用のネタ、仕入れすぎちゃったよね」
膝に両手を突いて、ゼイゼイと荒い息をしながら二人が笑いあいました。結構楽しいようです。
「うわあああ、長い髪の女が! お面を被ったお化けが! お茶がもう一杯怖い!」
突然、バシャバシャと水を蹴たてて、何かが走ってきます。またもや、またたび明日風(木曾義仲)くんです。はたして、彼に安住の地はあるのでしょうか。
「でたあ!!」
逃げようとして海の方へ行ってしまい、二人がひっくり返ります。もうびしょびしょです。
「後で、シャワー浴びよーねー」
「うん、そーしょー」
仲良く崎島奈月くんと遠藤寿子さんが言い合いました。まあ、さすがに一緒にしゃわあには入れませんが。
びちょびちょのまま洞窟の中に入りましたが、なんだか祠が見つかりません。そこへ、ジュレール・リーヴェンディさんの投影した岩壁のむこうから、カレン・クレスティアさんが這い出てきました。
「チャック開いてるぞぉ〜」
「うきゃあ!」
いや、ゆる族相手じゃないと、セクハラ発言です。それでも、思いっきり怖がってくれるところが、崎島奈月くんと遠藤寿子さんの可愛いところです。
「こ、こうなったら、転身だよ、寿子さん。僕たちの友情パワーで乗りきるんだ!」
「え〜、ここで変身しちゃうの?」
「困ったから、転身だあ!」
「変身!」
困ったときには、とりあえず変身らしいです。
「愛と正義の白衣の天使、コードネームは募集中の崎島奈月!」
「魔法少女ポラリス!」
ピカッと、洞窟の中が目映く光りました。まぶしさに、カレン・クレスティアさんが一瞬たじろぎます。
「あっ、祠みっけ! いっけー、ハマグリ!」
崎島奈月くんが、ハマグリをフライングソーサーのようにして投げました。みごとに、祠の中に落ちます。
「あっ、なんだか、服が乾いてるよ」
「よーし、てっしゅー。次の検診時間までおねんねしててね♪」
コスチュームチェンジしたおかげで服が乾いた遠藤寿子さんと崎島奈月さんは、一目散にその場から去って行きました。