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リアクション
★ ★ ★
「この辺なら誰もいないから、ストレス発散できるかなあ。すううぅぅぅぅぅっっっっ……」
吊り橋が架かっている海沿いの断崖まで登ってきたリカイン・フェルマータさんが、大きく息を吸い込みました。
「海の……、いや、リア充の馬鹿やろおぉぉぉぉぉ!!」
思いっきり咆哮をあげます。その衝撃波で吊り橋が激しくゆれて切れそうになります。運悪く橋の上にいた人が気絶して倒れ、そのまま橋から落ちました。
「ええっと、今のは明日香?」
人影を見知っていると思ったら、諸国を旅しているまたたび 明日風(またたび・あすか)くんのようです。
「まあいいかあ。本人だったら死なないでしょう。多分」
さっくりと納得するリカイン・フェルマータさんでした。
★ ★ ★
「うーん、なんだか寒いし、変な声もするよね」
月崎 羽純(つきざき・はすみ)くんの斜め後ろで、遠野 歌菜(とおの・かな)さんがびくびくして言いました。ぽっくりぽっくりと下駄の音がします。
月崎羽純くんは碧い浴衣姿、遠野歌菜さんは暖色系の浴衣姿というペアルックです。ちなみに、こちらも御夫婦です。
どうやら、リース・エンデルフィア(りーす・えんでるふぃあ)さんがブリザードで冷やした空気や、ソア・ウェンボリスさんの使い魔のフクロウの鳴き声が、雰囲気作りに役立っているようです。
「だからやめとけって言ったのに。本物のお化けが出たらどうするんだ」
「そ、そのときは、羽純くんに手を繋いでもらうからいいもん……」
月崎羽純くんに言われて、遠野歌菜さんがさっそく右手をにぎにぎしてアピールしました。
「そんなこと言ったって、手なんか……」
言いかけて、月崎羽純くんが言葉を切りました。冷気が強まります。
「どうしたの?」
「出たぞ!」
そう叫ぶなり、月崎羽純くんが遠野歌菜さんをかかえて、ゴッドスピードでその場を離れていきました。
「うおおっ!?」
一瞬でターゲットを見失ったアガレス・アンドレアルフス(あがれす・あんどれあるふす)くんが、地面に激突します。
「お師匠様ったらあ」
リース・エンデルフィアさんが額に手をやってうつむきました。遠野歌菜さんを、いいえ、女子に飛びかかって
いっていい思いをしようとしたアガレス・アンドレアルフスくんの自爆です。
「きゃあ な、な、な、何が出たの!?」
遅ればせに、遠野歌菜さんが悲鳴をあげます。
「さあ。でも、だいたい予測はつくから、先回りして避けといた」
行動予測でアガレス・アンドレアルフスくんの攻撃をみごとに避けた月崎羽純くんが、だっこしていた遠野歌菜さんを砂浜に下ろしました。
「あん」
下ろさなくてもよかったのにと、ちょっと不満そうに遠野歌菜さんが声をあげます。
「ここなら、脅かそうとしても丸見えだよね」
ほっと安心して、遠野歌菜さんが言いました。
そのまま、月夜のデートとしゃれ込んで砂浜を歩いて行きます。やがて洞窟の前に辿り着きますが、入り口までは水たまりだらけです。
「濡れるぞ」
「大丈夫だよ。下には水着着てるから」
「下着は平気でも、裾が濡れるだろう」
そう言うと、月崎羽純くんがまたひょいと遠野歌菜さんをだきあげて洞窟まで連れていきました。
「わーい、このまま……」
「だめ」
そのまましがみついていようとする遠野歌菜さんでしたが、当然のようにまた下ろされてしまいました。
「せめて、手だけでも握らせてください」
「仕方ないなあ」
おずおずとのばされた手を、やっとかという感じで月崎羽純くんがしっかりと握ります。
「さて、洞窟の中は……」
ダークビジョンでお化けたちの様子を把握すると、月崎羽純くんは巧みにそれを避けていきました。
「ちょっと待ってな、即行で終わらせる」
祠を確認すると、月崎羽純くんがゴッドスピードで素早く貝だけおいて戻ってきます。
「さて、戻ろうか」
再び、今度は月崎羽純くんの方から、遠野歌菜さんの手を握って言いました。
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