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こ・わ~い!

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こ・わ~い!

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「やほークラリん☆」
「それ止めろって……」
 雑貨屋ウェザーの出店では、サニーの弟のクラウドとレインが店番をしていた。
 そこに来て早々、クラウドの肩をがくりと落とさせる師王 アスカ(しおう・あすか)
 オルベール・ルシフェリア(おるべーる・るしふぇりあ)が見立てた白い浴衣が夜目にもよく生える。
 黄色い浴衣を着てアスカの側に立つハーモ二クス・グランド(はーもにくす・ぐらんど)が、アスカに尋ねる。
「マスター達の知り合いですか」
「そう、クラリんだよ」
「クラリん、スカイ……名前を認識、記録します」
「いや、その……もう、好きにしてくれ……」
 一瞬抵抗の様子を見せるが、マイペースなアスカ達に観念したように止めようとした手を引っ込める。
 弟のレインはそんな3人の様子に圧倒されたのか、何も聞かなかったことにして商品を整理している。
 そんなクラウド達の様子に気づかず、楽しそうに商品を見るアスカ達。
「せっかくだから、ニクスのプレゼントを買ってあげよ〜。ということでクラリん、お勧めの品とかあったら教えてくれない〜?」
「お、毎度。お勧めねぇ。どんなモンがいいんだ?」
「自分で選択するという行為はあまりしたことがありません。クラリん・スカイが選んでいただけると助かります」
「だから違うって……」
 ハーモニクスの言葉に苦笑するクラウド。
「ん〜、可愛い髪飾りとかあったらいいかなぁ」
「髪飾りね」
 腕を組んで商品を探そうとするクラウドに、オルベールが更に後押しする。
 ちなみに彼女は紫色の浴衣だ。
「素敵なモノじゃないと許さないわよ。お客様は神様でしょ?」
「へーへー分かってます」
「きちんとお願い聞いてくれたら…… 海でクラウドがベルにしたこと、黙っててあ・げ・る(ぽっ)」
「ええっ、俺がなんかしたことになってるの!?」
 オルベールの言葉に(その直後のクラウドのツッコみはなかった事にされた)、その場の全員が荒ぶる。
「え、え、一体何があったの〜?」
「兄さん……」
「だから違うって!」
「きゃー、クラウドにもそんな素敵な夏の想い出があったの!?」
 混乱に、更に新しい混沌が追加された。
 サニーら一行が店にやって来た。
「姉貴……違う違うこれは違う」
「いつもクラウドがお世話になってますー」
「いえいえ〜」
「聞いてない? 俺の話聞いてないね?」
 オルベールの、次いでアスカとハーモニクスの手を取り挨拶するサニー。
「暑い中、お疲れ様です。これ、差し入れです。水分補給してください」
 レインに2本のジュースを手渡す柚。
「ああ、ありがとう。……なんだか姉さんの関係者から落ち着いた常識的な発言を聞いたの、久しぶりな気がするよ……」
 柚に感謝しつつ、黄昏るレイン。
「せっかくだからルカもみんなにプレゼント買っちゃうよ! 今日の記念に……えーと、何がいいかなぁ」
 出店に並ぶ品々を眺めながら、ルカルカは真剣な顔で考え込む。
「よーし、これだ!」
 ルカルカが選んだのは、バンダナ。
 サニーにはオレンジ、サリーには黄色。
 ルカルカには赤、淵には緑、柚には水色、奈月にはピンク。
「わぁ、ありがとう!」
 色とりどりの布が、夜店のライトに生えた。

「やあ、皆さん……素敵な着物ですね。よろしければ、花をどうぞ……」
「え、わ、ありがとう!」
 そこに来たのはエース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)
 どこかぎこちない様子でサニーたちに花束を渡すと、そそくさと去っていく。
「あれ、エースさん……?」
「何か様子が変だったね」
 首を傾げるサニーたち。
 それに注意が向けられたおかげで、サニーは気づかなかった。
 あちこちで、ぽわり、ぽわりと幽霊が成仏する光が浮かび始めたことに。