なし

リアクション

オープニング

　ぱんぱんっ……
　静謐な神社に柏手の音が響く。
「今年一年風邪をひきませんよーに。無事就職できますよーに」
　参拝者が一人、願掛けをしている。
　どこにでもありそうな、平凡な神社の光景だった。
　しかしその光景は一瞬にして打ち破られる。

「いやぁあああ！」
「オレとイチャイチャしろぉおお！」
　必死になって走ってくるのは弓矢を持った巫女だった。
　そして追いかけるのはセーラー服を着た変態……もとい、天空寺　鬼羅（てんくうじ・きら）だった。
「お前の趣味をノーマルにしてやるぅうう！　ついてはこのオレに見惚れるのだっ！」
　ぶんばっ！
　セーラー服の上を脱ぎ捨て、半裸になった鬼羅は無意味なポージング。
「ひいい、見るのはいいけど関わるのは嫌ぁあ！」
　巫女は思わず弓に矢をつがえ、鬼羅に向けて射る。
　ぶすっ。
　矢は過たず鬼羅に刺さる。
「む！？」
　それを見た参拝客の目がきらーん。
「もしや、あの矢に刺さると何かの能力者になれるとかそういう！？」
　参拝客は巫女に向かってサムズアップで弓矢カモン！
　しかし巫女は参拝客を一目見ると、ぷいと無視。
「ええい、ならばこうだ！」
　参拝客は高らかに飛び上がると巫女に向かってダイブ。
「ひっ！？」
　たまらず矢を射る巫女。
　ぶすっ。
「ふぉお……こ、これは！」
　ぶんばっ！
　参拝客は身に着けていたマントを脱ぎ捨てた。
　全☆裸（キラッ）！
　そう、参拝客は変熊　仮面（へんくま・かめん）だった。
　ぶんばっ！
　鬼羅もまた、セーラー服のスカートを脱ぎ捨てた。
　全☆裸（鬼羅ッ）！
「おぉ……」
「お、おお！」
　全裸の二人は見つめ合い即座にフォーリンラブ。
「わっせーろーい！」
「らっせーらー！」
　二人は熱い抱擁を交わすとそのままディープキス。

「わ、私はとんでもない力を手に入れてしまったのかもしれない――」
　取り残された巫女は二人を前に、茫然と呟くのだった……