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リアクション
第2章 EJ社・周辺
「さぁ、せっかくのイコン戦だ。もっとド派手に、楽しくやろうぜ!」
ストライク・イーグルで爆撃する柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)が吼えた。
EJ社が送り出したのは、地上兵器だけでなかった。戦闘機。ざっと数えて200はある。
「ふむ。敵はイコンでは無く通常の兵器か。これは墜としがいがありそうだ」
愉しげに笑う柊 唯依(ひいらぎ・ゆい)。
恭也が煽る。
「なんなら、何機撃墜するか賭けてみるか?」
「いいだろう。乗った。賭けの景品は、明日の昼食だ」
ふたりが立てた予想は大胆だ。敵兵器を殲滅しないかぎり、とても達成できる数字ではない。
もちろん、彼らは殲滅することしか考えていないが。
景気づけに撃ち込んだ【荷電粒子砲】が、ニルヴァーナの蒼穹を花火で彩る。
つづけざま【布都御魂】を放つ恭也。
戦闘機を、蝿のように叩き潰していく。
非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)は旋回させていた。
いつでも噛みつける射程距離を保ちながら、E.L.A.E.N.A.I.を、ぐるりぐるり。
「次の狙いは、防衛施設です」
近遠は、火器を担当するユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)に指示をだす。
塹壕にいる突撃部隊を、撤退させたばかりのユーリカは。
次の狙いを待っていたところだ。
獲物は決まった。間髪入れずに標的を切り替える。
「イコンの射撃を受けたら、びっくりして慌てるはずですわ」
ユーリカはそうささやくと、観測塔や高射砲などを掃射。設備を沈黙させていく。
だが、陥落していく要塞を前にしても、戦闘員の士気は下がらない。むしろ熱に浮かされたような反撃。
なにか恐怖心を消し去る薬剤でも投与されているのだろうと、近遠は推測した。
オペレータ室では、イグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)が目を光らせる。
なにか見落とした標的はないか。
潰し忘れた蟲はいないか、と。
「……っ。地上兵器の軍勢が……来る!」
【殺気看破】で感知した異変。イグナから、近遠へ伝えられる。
同じくオペレータ室で地上を観測している、アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)。
わらわらと溢れ出る戦車の群れを見下ろしながら、
(まるで、孵化したカマキリみたいでございます)
と思った。
そんなアルティアの感想は、あながち間違いではない。
EJ社の送り出した車両。
それは、かつて地球で使われていた自走高射機関砲を改良したもので――名前は大螳螂(オオカマキリ)。
その他、EJ社が送り出した改良兵器は、軽装甲車の孑孑(ボウフラ)、偵察車の蜚(ゴキブリ)、装輪装甲車の竈馬(カマドウマ)、弾薬給弾車の叫哥哥(キリギリス)、自走迫撃砲の夜蝉(ヒグラシ)、火焔放射戦車の赤龍(ミミズ)、多連装ロケットシステム自走発射機の大蝙蝠(オオコウモリ)、装甲戦闘車の閻魔蟋蟀(エンマコオロギ)、自走りゅう弾砲の精霊飛蝗(ショウリョウバッタ)、超重装甲戦車の兜蟲(カブトムシ)。
さらに空中には、戦闘機である鬼蜻蜒(オニヤンマ)と鳳蝶(アゲハチョウ)が、空を埋め尽くすように飛び交っていた。
「……やれやれ。害虫駆除と勤しみますか」
近遠はため息まじりに、E.L.A.E.N.A.I.を駆り出していく。
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