リアクション
【エピローグ】
ヴアド少年を説得するため、地球から恋人のクペレアを呼び出した、ロレンツォ・バルトーリ。
事件の後、ロレンツォはふたりをパラミタの観光に招待していた。
パラミタ大陸の名所を満喫し、たくさんの思い出をつくって、ヴアドとクペレアは地球へと帰った。
ふたりの観光にかかった費用は、ロレンツォが教導団に請求してある。
「金さん。眉毛ないけど、理解力ある人ネ!」
とはロレンツォの弁だが。
請求書を見た鋭峰の顔は、かなり険しかったという。
実験に参加させられた、八人の子供たちは、一旦ニルヴァーナにある児童施設に預けられることとなった。
事態が落ち着くまでは、彼らは施設で暮らすことになる。
もっとも、なにやら別の場所に連れて行かれた少年もいるようだが――。
空京たいむちゃんは、
『まあ。悪いようにはされないでしょう』
と、不問に付すことにした。
血清の培養槽にされた子供たちも、順調に快復していた。
じゃっかん痕は残ったが、腹部はきれいに縫合されている。彼らにはそれぞれ義足と義手が支給され、リハビリも順調に進んでいた。
だが。
これで解決したわけじゃない。
風森巽は、廃墟になったEJ社の前で黙祷していた。
「既に犠牲になった子供がいるんだ。それを忘れるわけにはいかない……」
彼は、人身売買のルート特定、および壊滅を心に誓った。
及川猛は、入手した血清から、似たような研究がなされている組織を調べていた。
そして、とある製薬会社にたどり着いた。
会社自体はすでに解体されていたが、残された研究データから、他のルートを暴けるかもしれない。
及川は創世学園を始めとする各所へ、情報を提供した。
また、佐々布牡丹は、厳重なセキュリティに保護されていたファイルの解読に成功していた。これが貴重な証拠となった。
ファイルに残されていたデータをもとに、パートナーのレナリィ・クエーサー、教導団大尉のローザマリアと協力し、徹底調査。
東洋魔術に精通する謎のギフトの存在が、浮かび上がってきた。
彼女たちとは別に、天貴彩羽は独自に捜査をつづけていた。様々な方法を駆使し、彩羽は今回の事件における黒幕に近づいていた。
そして黒幕は、地球にいる武器商人というところまでこぎつけたのだが――。
彼女の技術を持ってしても、得られる情報はそこまでだった。
ニルヴァーナの脅威は、去らないかもしれない。
それでも――。
子供たちの命を救い、不幸な誤解をとき、ファーストクイーンのクリスタルを守り抜いた。
「きっと、大丈夫」
空京たいむちゃんは思う。
大切なものを守りたい。その気持ちが集まれば、どんな脅威にも立ち向かっていける――。
水琴桜花です。
お読みいただきありがとうございます。
皆様の素敵なアクションのおかげで、子供たちを全員救うことができました。
本シナリオを楽しんでいただけたら、マスターとしてこれ以上の喜びはありません。
あと、金鋭峰がけっこう責められていたのは、ちょっと面白かったです。人の上に立つというのは大変なんだなぁと。もちろん、それに見合うだけの、厚い信頼あってのことですけれど。
アクションには熱いメッセージが込められていて、私の目頭まで熱くなることも、しばしばでした。
今回、ちょっとしたこだわりがありまして。
すべてのキャラクターが、最低2ページに渡って登場しております。
その辺りにも注目して読んでいただけると、面白いかなぁと思います。
また、細心の注意を払っておりますが、もし口調等に間違いがあればご指摘ください。修正いたします。
今シナリオにおいて、できることはほぼ達成しました。
しかしながら、事件の背後には、まだいくつかの謎が残っています。
謎の製薬会社。謎のギフト。謎の武器商人……などなど。
これらは、今後、私のシナリオで明らかになっていく部分も多いはずです。
よろしければ、そちらでもお付き合い頂けたら嬉しく思います。
それでは、皆様お疲れ様でした。
またお会いしましょう。