リアクション
CEO室
イーオン・アルカヌム。フェリークス・モルス。風森巽。
彼らが踏み込んだ部屋には。
大柄な男がひとり、立っていた。
「……驚いたよ。まさか我がエグゼクティブ・ジャイナを、ここまで追い詰めるとは」
観念したように言い、男が振り返る。
彼こそが、金鴻烈だった。
鴻烈にはもう、抵抗する気はなかった。
完全に諦めた様子で、両手を上げている。
ただ、巽によって拘束されるとき。
彼は告げた。
「お願いだ。最後に、息子の顔を見せてほしい」
「息子?」
訝しむ巽に、鴻烈は応える。
「龍雲だよ」
「……まさか。あんた、自分の息子を実験に参加させたのか」
問い詰める巽に、鴻烈は無言でうなずいた。
「なぜ、そんなことをした」
聞いたのはイーオンだ。
彼の質問に、鴻烈は表情を変えずに応える。
「強くなってもらいたい。ただそれだけだよ」
「……最低だな。おまえ」
フェリークスは吐き捨てた。
だが。
三人は、鴻烈の頼みを聞き入れることにした。どのみち彼の身柄は、たいむちゃんの前に引っぱり出す必要がある。
「しかたない。連れて行ってやるよ」
逃げられないように拘束してから。
彼らは、鴻烈を連れて、地下施設へと向かった。