リアクション
金龍雲は、連行されていく父を見ていた。
「伝えてしまって、よかったのでしょうか」
サイアス・カドラティが言う。
龍雲が本当のことを知るのは、早すぎるのではないか。子供には辛い現実を見せることを、サイアスは心配していた。
「彼が、知りたいと望んだのよ」
ルナ・シャリウスが応じた。
「本当のことを知って、強くなりたい。そうあの子が望んだ。これで、よかったのよ」
父の姿を見送った龍雲。
朱鷺が、彼の肩をぽんと叩いた。
「泣いてもいいんですよ」
「……平気だよ。僕は泣かないから」
朱鷺を見上げながら、彼は言う。
「僕は強くなるよ! 絶対に強くなる……鋭峰さんみたいに……!」
「そうですね」
朱鷺がもう一度、彼の肩を叩いた。
「キミなら、きっと強くなるでしょう」