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リアクション
★ ★ ★
「ここが、祠があったという洞窟ですか」
66番区画まで洞窟を進んで、テンク・ウラニアが言いました。
途中ですれ違った小鳥遊美羽の話では、幽霊の分身が洞窟内で出たということです。
「まだ、他にもいるかもしれない。うまくすれば本体がいるかも。気を引き締めていくぞ」
相変わらずどこかお気楽なパートナーたちにむかって、源鉄心が気を引き締めるように言いました。
「ひとまず、まだ何も出てこないようですねー」
すでにテンク・ウラニアと共に元の巫女服を着たテンコ・タレイアが、周囲の気配を確認して言いました。
「よし、先に進むぞ」
源鉄心が前進を命じました。
★ ★ ★
「みんな、お宝を見つけているんだから、私も何か見つけないと……」
審判の方に熱心になりすぎて、自分のお宝探しがおろそかになってしまった御神楽舞花が気を引き締めなおしました。
ここは、洞窟の中の67番区画です。
「しまったあ、また先を越されたあ」
どうやら宝箱の中に入っていたらしい鯉の餌を拾って、御神楽舞花がガックリと肩を落としました。もう少し、気合いを入れていればよかったのかもしれません。
「とりあえず、ないよりはましかなあ」
しかたなく、鯉の餌を持って戻っていく御神楽舞花でした。鑑定は、パスです。
★ ★ ★
「ここにこそ、ここにこそ……」
「いいかげん諦めなさいよ。そんな不思議現象とかないんだから」
68番区画まで調べて進んできたリカイン・フェルマータが、まだ何か特別なことがあると言いはる木曾義仲でした。
「あら、何かある?」
まだお宝をゲットしていないリカイン・フェルマータが、くぼみに隠された宝箱を見つけました。
「ええっと、『偽阿魔之宝珠』?」
宝箱の中に収められていた怪しい虹色の玉を見つめて、リカイン・フェルマータが小首をかしげました。説明書には、これに触れた男子を一日だけ女性にするとあります。ただし、最初に男子が触ってから初めて起動し、そこから24時間だけ機能を発揮するようです。それ以降は触っても効果はないとのことです。どうやら、かつて夏合宿でカマスの腹の中から発見され、ヴァイシャリーで猛威をふるったマジックアイテムのレプリカのようです。完全に危険物です。
「どうしたんだ?」
何か珍しい物でも入っていたのかと、またたび明日風(木曾義仲)が手をのばしてきました。あわてて、リカイン・フェルマータが箱の蓋を閉めてガードします。
「さあ、もういいかげん気がすんだでしょ。お宝もゲットしたし、帰るわよ」
「いや、まだ……。はなせ……」
嫌がるまたたび明日風(木曾義仲)を引きずって、リカイン・フェルマータはキャンプへとむかいました。
★ ★ ★
「ここが、祠のあった場所だな。なんだ、何かおいてあるな」
遠野歌菜の手を引いたまま、月崎羽純が69番区画にある祠の前に立ちました。
台座の上に、宝箱がおいてあり、蓋が開いています。中を見ると、『壊れた祠の破片』が入っていました。
「ええと、これは、つまんでいけ?」
なんで放置してあるんだろうと、遠野歌菜が小首をかしげました。
「さあな。外れ引いた奴らで、山分けしろってことじゃないのか。歌菜はまだ何もないだろ、一つもらっとけよ」
月崎羽純にうながされて、遠野歌菜が破片を一つもらいました。
そこへ、源鉄心たちに案内されて、二人の巫女さんたちがやってきました。
「ここが、祠のあった場所ですか」
「あっ、それ何? お宝ですかー」
周囲を見回すと、祠の台座と遠野歌菜たちに気づいて声をかけます。
「祠の破片らしい。お宝としては、外れだろう」
なんで、こんな物リサイクルするのか分からないと、月崎羽純が言いました。
「これがそうですか……」
残っている破片を手にとって、テンク・ウラニアが子細に調べました。
「これは、うっすらとしか残っていませんが、散楽の翁様の使う術に似ていますね」
「えー、でも、時代が合わないんじゃ。だいたい、自分でやったのなら、知ってるはずでしょ?」
何やら、巫女さんたちが、首をかしげています。
「だとすれば、先代か、さらに遡った時代の物ですね。いずれにしても、この破片の残りはいただいて、調べてみましょう」
「じゃあ、これも……」
テンク・ウラニアの言葉に、遠野歌菜がおずおずと自分の物にした破片を差し出そうとしました。
「いえ、これだけあれば充分です。それに、それは、小なりとも封魔の力を残していますから、持っていて損はありません」
そう言って、テンク・ウラニアが遠慮しました。
「じゃあ、わたくしたちがいただいて……」
便乗して欠片をちょろまかそうとするイコナ・ユア・クックブックの手を、源鉄心がペチッと叩いて止めました。
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