First Previous |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
Next Last
リアクション
★ ★ ★
「このへんに、おたからのかんじがするよー」
チルナ・クレマチスに導かれるまま、上條優夏とフィリーネ・カシオメイサが90番区画の森の外れにやってきました。
「いや、お宝というか、見えているんやけど」
あからさまに地面に顔を出している宝箱を見て、上條優夏が言いました。
「でも、ちょっと、前に見たのとは違う箱みたいだけど……」
フィリーネ・カシオメイサが小首をかしげました。何やら、尻尾を囓っている蛇のような文様が書いてあります。
「まあ、箱って言っても、いろいろあるんやろ。さて、どれどれっと」
上條優夏が、箱を掘り出すもなく取り出して中身を見ました。中には『古代オリュンポスの宝珠』が入っていました。
「なんやこれ?」
いったいどんな効果があるんだと、上條優夏が首をかしげます。
「あっ、まだ何か埋まっているみたいだよ」
土の中から何か黒い糸のような物が出ているのを見つけて、フィリーネ・カシオメイサが言いました。
「えいっ」
掘り出そうと、スコップを突き立てたときです。
「痛いでありますー!!」
いきなりスコップを突き立てられ、だらだらと頭から血を流した葛城吹雪が、地中から飛び出してこようとしました。穴の中に引きずり込もうと、フィリーネ・カシオメイサに手をのばしましたが、下半身はまだ土に埋まったままです。ぎりぎりのところで、手がフィリーネ・カシオメイサの身体をかすめただけでした。
「いっやー!!」
悲鳴と共に、フィリーネ・カシオメイサがサンダーバードとフェニックスを召喚します。
「危な!」
上條優夏が、あわててフィリーネ・カシオメイサの身体を引いて後ろに下がりました。
直後に、雷撃と火炎が、身動きのとれない葛城吹雪に落ちます。
「あ〜れ〜であります〜」
ちゅどーんと閃光と火柱が上がって、葛城吹雪が吹っ飛ばされます。同時に、何かの紙切れが、盛大に辺りに撒き散ります。そのうちの一枚を握り締めたまま、葛城吹雪がお星様になりました。
「何かしら、これ?」
落ちてきた紙切れの一枚を、フィリーネ・カシオメイサが拾いあげました。
そこには『ジェイス・銀霞の訓練券』と書かれていました。どうやら、本来埋められていたお宝のようです。
★ ★ ★
「今、爆発と共に、何か飛んでいかなかったか?」
森の中91番区画に入っていたエドゥアルト・ヒルデブラントと千返ナオが空を見あげました。梢の合間に何か見えたような気もしましたが、はっきりとは分かりません。
「で、出たあ。怖いよー」
千返かつみの手の中で、ノーン・ノートがガタブルと震えます。
「大丈夫、大丈夫。何も出てないって」
千返かつみが、ノーン・ノートを安心させるように言いました。
「宝箱の方も、なんもないな」
ひとしきり周囲を調べたエドゥアルト・ヒルデブラントが言いました。すでに、ここのお宝はコルセア・レキシントンに持っていかれた後です。
「しかたないですね、あのお宝は嫌ですが、他に見つからないのでは……」
さっき見つけたパンツーハットのことを思い出して、千返ナオがちょっと落ち込んみました。
★ ★ ★
「今度こそ、気合いよー!!」
先ほどは幽霊に邪魔されてしまった小鳥遊美羽が、気合いを入れて今度は森の中の95番区画へとすっ飛んでいきました。
ここはという所を、凄い勢いで掘っていきます。そのかいもあってか、ついに宝箱らしき物が出土しました。
「やったー。何が出るかな、何が出るかな……」
わくわくして宝箱を開けた小鳥遊美羽でしたが、中から出て来たのは『オリュンポス入会届け』でした。
「も、燃え尽きた、真っ白に……」
思わず宝箱を遠くへミニスカキックで蹴り飛ばすと、小鳥遊美羽はその場にへたり込みました。
First Previous |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
Next Last