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夏合宿、ざくざく

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どれどれ



『宝探し参加者全員に告げる。現時点で制限時間となったため、各自、ゲームを終了してキャンプ場に戻るように。なお、個別にセットした宝箱は、残っている場合は回収しておくように。以上』
 キャンプ場に作られた臨時の放送塔から、ジェイス・銀霞の声が響きました。今回の宝探しは、これで終了です。

    ★    ★    ★

「どうでした、お宝はお見つけになられましたか?」
 戻ってきた清泉北都に、クナイ・アヤシが訊ねました。
「うん、クナイの方はあ?」
「私の方もちゃんと見つけはしましたが」
「じゃあ、見せっこしようよう」
 そう言い合って、クナイ・アヤシと清泉北都が自分たちが見つけたお宝を見せ合いました。
「私はイコプラですから、完全に北都様の方がレア度は上ですね。凄いです」
 とはいえ、鷽の人形など、いつ使えばいいのでしょう。
「二人ともお宝を見つけられたんだからあ、御褒美♪」
 そう言うと、清泉北都がちょっと背伸びして、クナイ・アヤシに御褒美のキスをしました。

    ★    ★    ★

「ええっと、それでは、陽太様からの勝負の結果を発表します」
 ちょっとしょんぼりした御神楽舞花が、エリシア・ボックとノーン・クリスタリアを前にして携帯のメールを読み始めました。
「単純に、金銭換算した場合、優勝はエリシア様です」
やりましたわ!
 御神楽舞花に名前をあげられたエリシア・ボックが、えへんと勝ち誇ります。
 まあ、人一人の一日のバイト代と、コーヒー十一杯と、鯉の餌では比べるまでもなく、見たままの金銭価値なわけですが。
「楽しかったですわ。いつでも再挑戦は受けて立ちますわよ」
 もう、勝てば官軍で、エリシア・ボックは鼻高々です。
「負けちゃったけど、面白かったよ。ねっ?」
 ノーン・クリスタリアはあまり勝ち負けは気にしていないようですが、御神楽舞花は結局お宝を見つけられなかったので、見た目以上に結構しょんぼりしています。
「はい、半分こしよ?」
「ありがとうございます、ノーン様」
 そんな御神楽舞花に、ノーン・クリスタリアがコーヒー券を五枚差し出しました。お礼を言って、御神楽舞花がそれを受け取ります。
「おねーちゃんにも一枚あげる」
「えっ、優勝したのに私は一枚だけ……。まあいいですわ。今度みんなでお茶でもしにいきましょう。もちろん、陽太と環菜は自前ですわ」
 ちょっと不満そうなエリシア・ボックでしたが、とりあえず勝てたので細かいことは機にしないことにしたようです。
『どんな宝探しだったのかは、そのときにお土産話として聞かせてください』
 携帯でその様子を聞いていた御神楽陽太が苦笑します。
「そう言えば、この後、バーベキューとかあるんだよね。いこ、いこっ!」
 そう言うと、ノーン・クリスタリアがエリシア・ボックと御神楽舞花の手をとって走りだしました。

    ★    ★    ★

「なんですか、それ、イコプラ? ぷふっ」
 さすがに似合わないと、綾原さゆみの見つけたイコプラ・ヤークト・ヴァラヌス・ストライカーを見てアデリーヌ・シャントルイユがちょっと笑いました。男の子だったら、格好いいとはしゃぎ回るところでしょうが、さすがにこれを二人の部屋に飾られても……あっ、ちょっとインテリアとしては可愛いかも……。
「アディだって、ちょっとそれは危険なお宝じゃない。変なことに使わないでよ」
 アデリーヌ・シャントルイユの手に入れた黒蓮の花弁を見て、ちょっと不安気に綾原さゆみが言いました。
「あんなこと、こんなこと……」
 その言葉に、何か変な想像をして、アデリーヌ・シャントルイユがちょっと頬を染めました。

    ★    ★    ★

「二人とも、イコプラとはのう……」
 アキラ・セイルーンのイコプラ・アートゥラ・フィーニクスと、セレスティア・レインの小ババ様専用イコンを見て、ルシェイメア・フローズンが溜め息をつきました。
「何言ってるんだよ。格好いいだろう。レアだぜ、レア。非売品だから、ネットでオークションに出したら高く売れるんだよ。だから、そのためにもクレカ使えるようにしてくれ。俺が優勝だからいいじゃんかあ」
 勝手に勝利宣言して、アキラ・セイルーンがルシェイメア・フローズンに懇願しました。
「レア度でしたら、私のイコプラの方が上だと思います。なにしろ、アキラさんのような量産型ではなくて、オンリーワンのフルハンドメイドイコンのイコプラなんですから」
 負けじと、セレスティア・レインが言い返しました。
「何を言うんだ。敵メカって言うのは、イコプラになりにくいんだぞ。ただでさえ、出番少ないイコンだったんだからなあ。こっちの方が、レアだあい」
「小ババ様の方が、人気が高いので、価値は高いです!」
 アキラ・セイルーンとセレスティア・レインが、ぎゃあぎゃあと言い合いを続けます。
「二人共……」
 少しは黙れと、ルシェイメア・フローズンが二人の肩に手をおいて止めました。
「売ったら一番高いのは、わしの見つけた錦鯉に決まっておろう!」
「よし、そのお金でクレカ復活を……」
「さあ、あぶく銭は、ぱーっと使って厄払いするのじゃあー」
 アキラ・セイルーンの言葉をガン無視して、ルシェイメア・フローズンがそう宣言しました。

    ★    ★    ★

「なんですって! あの種モミ袋の中には宝石が入っていたのですか」
 大洞剛太郎の話を聞いて、ソフィア・クレメントが目を丸くしました。
「すぐに回収にむかいます!」
 絶対に、それは自分のデート資金にしなくてはダメです。
「いや、すでに回収済みであります」
 そうはいかないと、大洞剛太郎がしれっと言いました。
「ええっ、なんということを……」
 ソフィア・クレメントが大洞剛太郎ににじり寄りました。
「せっかくのデート資金が……」
 思わず本音がもれてしまいます。いや、別に、お宝でゲットしたリン・ダージとのデートに使う気はないのですが……。
「デートか、それもいいでありますなあ」
 巫女さんたちの姿を思い浮かべて、そう大洞剛太郎がつぶやきました。

    ★    ★    ★

「お祓い……お祓い……。私って、そんなに煩悩に取り憑かれているのかしら……」
 ゲットしたお宝の『福神社お祓い券』を握り締めて、セレンフィリティ・シャーレットがぶつぶつとつぶやいていました。
 さすがに、セレスティア・レインも声をかけるのにドン引くテンションです。
「だから、16番を探しなさいとあれだけ言ってたのに。人の言うことを聞かないから」
 とりあえず、『ハートの機晶ペンダント』を回収してきてから何か考えましょうと、セレアナ・ミアキスは浅瀬へとむかいました。

    ★    ★    ★

えーっ、誰もぷりかる人形を拾わなかったのだあ!? だめなのだあ!
 どうしてそうなったと勝手に戸惑いながら、屋良黎明華は、埋めたぷりかる人形を回収にむかいました。