リアクション
……バチバチッ!
突然、地面に直径一メートルほどの正円が生まれたかと思いきや、そこから垂直に、青白い光が立ち昇った。同時に、やはり青白く目も眩むような雷光が弾ける。
テロか、事故か、いや、そのいずれでもなさそうだ。
光の奔流が消えたその場所には、うずくまる人間が一人いただけであったから。
「デデンデンデデン♪」
うずくまる人物は、うつむいたまま謎のテーマソングを口ずさむ。
怪しい。
なんと全裸ではないか。なのに赤紫色したマントだけ身につけている。
超、怪しい。
「デデンデンデデンッ♪」
カッ、とテーマソングに合わせて顔を上げると、目元だけ隠す仮面をしているのがわかった。
超絶、スペシャルに怪しい。
そう、彼こそ正義の(まあ正義でいいと思う)のヒーロー変熊 仮面(へんくま・かめん)だ!
くわ、両眼を見開き変熊仮面は立ち上がった。
そして知った。
周囲をぐるりと、当時の警察官に囲まれているということを。
「違うって、変態じゃないって! 変熊なんだって!」
一生懸命説明するも警官隊が、次々とフライングボディプレスよろしくのしかかってきて、たちまち彼は御用となった。
出てきた場所が悪すぎる! なんとここは1946年の渋谷ではあるが、渋谷警察署なのであった。……まあ、意地悪な味方をすると、街中に出現したとてどうせ逮捕という展開は同じなので、手間が省けたとも言える。
デデンデンデデン。