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リアクション
−プロローグ−
ここはニルヴァーナ創世学園近く、『牢獄要塞アディティラーヤ』が堕ちた場所である。
そこには、以前の騒動とは打って変わった元気で威勢の良い声が響いていた。
パラミタ中から渡って来た“匠”によって、落下による崩壊を免れた牢獄要塞アディティラーヤの一部を改築して行う、パラミタVIPのための別荘・宮殿造りが行われているのである。
そもそも『牢獄要塞アディティラーヤ』は、一万年前に氷壁に封印されていた古代遺跡であり、未だその正確な大きさの測定すら難航している程の非常に巨大な空中要塞。その一部を改築して行うとはいえ、数日で終わるものではない。とは言え、その周辺には街造りも計画されており、自身の自宅や店を建てようという者も集まっているのであった。
そんな匠の中に、白いトーガを身に纏った男がいた。
忙しなく彼は設計図を見つめ、現場の大工に指示を出してはまた設計図に目をやる。
「(本当に間に合うのか……クッ!)」
男は時折ズキンッと痛む胃を手で押さえながら牢獄要塞アディティラーヤを見上げる。
「(いや、弱気になるな! 何としてもアスコルド様に見て頂かなければ……『涅槃の間』を!)」
仕事に追われて既に3日以上まともに眠っていないゆえか、額に滲む嫌な汗を拭い、改装中の牢獄要塞アディティラーヤへと一歩を踏み出す男。彼の名は、エリュシオン帝国の設計士兼建築士、セルシウスと言った。
「(行くぞ! 我が絶対なるアスコルド様のために!!)」
疲労困憊の体に鞭打つセルシウス。今回、彼は牢獄要塞アディティラーヤの『涅槃の間』と同時に、街で受注を受けた住宅や店舗を設計するという任務も兼任していたのである。
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