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【創世の絆】銀行強盗ゲルバッキー

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【創世の絆】銀行強盗ゲルバッキー

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第3章 ニビルとファーストクイーン

ゲルバッキーを追う契約者たちは、
ゴアドー島までたどり着いていた。

(おい、ゲルバッキー!)
国頭 武尊(くにがみ・たける)からのテレパシーで、
円盤型飛空艇に乗っていたゲルバッキーは周囲を見渡す。
(安心しろ。オレは君の味方だ)
(何の用だ!)
(まあ、落ち着けよ。
君の諦めない姿勢は凄く立派だが、
ゴアドーでは君のパートナーが君を除菌する為に待ち構えてるから危険だ。
ここは一旦引くべきだろ)
(真理子が?
あんな奴、今の僕の前では恐れるには足りない!
それに、今やらないでいつやるっていうんだ!)
(まあ待てよ、諦めなければ負けじゃないんだ。
ここは一旦引こうぜ。
もし、今後の活動拠点が必要なら
「夜露死苦機械犬ニルヴァーナ分室」がある。
あそこは巨大イレイザーの亡骸を利用してるから
隠れるには充分だし、最先端の機材だって揃ってるぜ)
そう言い、説得を続ける、武尊であったが。

(うるさい、僕はやると言ったらやるんだ!
銀行強盗も成功させたし、
僕に恐いものなんかない!)
そう言い残して、
ゲルバッキーは、テレパシーに答えなくなってしまった。

「しょうがないな、頭に血が昇ってるのか……」
武尊は、しかたないので、
除菌されてしまったゲルバッキーを助けられないか算段することにした。
顕微眼(ナノサイト)で、
ゲルバッキーを探しだし、ナノマシン原木にトリモチをつけて振り回せば、
ナノマシンを集められるかもしれないと考えたのだった。





「ねえ、ロザリン、どうして、ボク、こんなところにいるの?」
桐生 円(きりゅう・まどか)は、
ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)
テレサ・エーメンス(てれさ・えーめんす)の搭乗する、
SHIZUKAの腕の中にいた。

「いつも私が盾になってるんですから、
円さん、今回はお願いしますね」
「お願いしますね、って、イコンの盾に生身のボクを使うとか、
いろいろおかしいよ!」
「究極の盾を手にした、ハイパーランサーに敵はありません!」
「……ボク、この戦いが終わったら、
パッフェルと結婚するんだ……」

そんなこんなで、ゲルバッキーを追いかけていく一行であったが。

「あれ、ニル子ちゃんじゃない?
おーい、元気?」
途中で、地上を走っているニル子を発見し、円が声をかける。
ロザリンドはSHIZUKAを操縦して、
ニル子も拾い上げる。
「ニビルを説得するのに協力していただけないでしょうか」
「どうしたの、ニル子ちゃん、変な物でも食べた?」
ファーストクイーンの意識のニル子が、かいつまんで状況を説明すると。
「なんかむずかしいことわかんないけど、おねぃさんたちにまかせな!」
円はサムズアップして見せた。

「あー、あー、あー。
ごほん。
はい、うちのとーちゃんがあんな事するなんて思ってもいませんでした。
変わり者だとか、むしろペット化した方がましじゃないとか、
色々言われてるような気もしないではなかったんやけど、
それでも、こんなことになるなんて……」
化粧を直したりしつつ、そんなことを言ってるテレサに、ロザリンドが問う。
「さっきから何をブツブツ言ってるんですか?」
「いやほら、とーちゃんが今銀行強盗して逃走中でしょ。
いつでもインタビューOKなように練習しておくのがいいねん」
「テレサくんはぶれないなあ。
……あっ、あの円盤は!」

円が、ニル子を抱えたまま、ゲルバッキーの円盤を発見する。

「さあ、このウルトラスペシャルゴージャスビューティフルハイパー素敵なイコン、
SHIZUKAの最新オプション、究極の盾が起動ですよ。
円さん、気合れてお願いしますね!!」
「うあぁぁぁぁあ、やーめーてー、死ぬ! 死ぬ!」
「なんなんだ、おまえらは!
ふざけてるのか!」
ゲルバッキーが、攻撃してくるのを、ロザリンドが円を使って防ごうとする。

「アブソゼロ! アブソゼロ!」
アブソリュート・ゼロを使いつつ、
グラビティコントロールで円盤の上になんとかニル子を連れて立つ円だが。

「振り落としてやる!」
「うわああああああああ」
「落ち着いてください、ニビル!」
「黙れ、地祇のくせに僕のことをそんなふうに呼ぶな!」
ゲルバッキーが円盤をジグザグに飛行させ、
円たちを振り落とそうとする。

「円さんはともかく、ニル子さんはいくら地祇でも生まれたばかりですから、
落ちたりしたら死んでしまいます!」
「助けなあかんな!」
ロザリンドとテレサが、SHIZUKAでゲルバッキーの円盤を殴る。

「うわあああああああ!?」
「きゃああああああああ」
ゲルバッキーがさらに円盤を激しくゆすぶって逃げたので、
円とニル子は落下してしまった。

「って、あぶねえ!
大丈夫か、ニル子!」
シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)
サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)
シュヴェルト13が、
空中で、ニル子をキャッチする。

「えー!? ボクはあああああああああああ!?」
円はそのまま地上に落下して、
ロザリンドがSHIZUKAで回収した。

「大丈夫か、ニル子?
……だいたい話は見えたぜ。
ばっくれちまったウゲンの変わりだ、今日はオレ達が何とかしてやる!
……ウゲンの奴は返ってきたら無限説教部屋行きな。覚悟しとけっていっとけよ」
「シャンバラ古王国、女王の剣の名にかけて。お守りいたします、ファーストクイーン」
サビクも、うやうやしくニル子に語りかける。
「ありがとうございます、ニビルを……。
あの子のことをよろしくお願いします」
「よし、任せときな!」
シリウスが、シュヴェルト13でニル子を抱えたまま、
ゲルバッキーに呼びかける。
「ゲルバッキー!
大人しく話を聞け!
ここにおまえの大事な人がいるのがわからないのか!」

「何を言っているのかわからないな!」
「ちっ、鈍感な奴め!」
ゲルバッキーの攻撃を避け、シリウスが舌打ちする。
「まったく聞いていないようだね、
ゲルバッキーは」
サビクも嘆息する。

そうしていると、そこに、
ゲルバッキーを支援する者達が現れた。

「ゲルバッキーはやらせません。
ゲルバッキーは本来昔のパラミタにあらればならない
パラミタ崩壊させるだけなのですから」
ファンドラ・ヴァンデス(ふぁんどら・う゛ぁんです)が、そう宣言する。
「大昔に、崩壊させなければならない仕組みを狂わせたことこそが罪なのです。
そのせいで、私の国も……。
パラミタに復讐ができるならこの命など欲しくはありませんよ」
「悪く思うなよ、ファンドラがそう望んでおるのでな」
辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)も、
毒虫の群れや、しびれ粉をまき散らす。
「くっ、なんてことしやがる!」
シリウスが、イコンでニル子をかばう。

「フハハハ!
我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス!」
ドクター・ハデス(どくたー・はです)も、
ハデスの 発明品(はですの・はつめいひん)とともに現れた。

「って、このややこしい時に……」
シリウスがハデスを見て頭痛をこらえる。

「本来、世界征服を目論む我らオリュンポスとしては、
お前に世界を崩壊させられるわけにはいかん。
だが、天才科学者である俺には分かる!
数々の発明品を生み出したゲルバッキー、お前のその天才的頭脳は、
我らオリュンポスが世界を制するのに有用だとな!」
「何言ってるんだ、おまえは?」
ハデスはマイワールドに浸り演説していた。
「というわけで、世界の破壊はひとまず置いておくとして、
ゲルバッキー、お前を我らオリュンポスの同胞と認め、
お前の目的達成に協力してやろう!
ここは俺に任せて先にいけ!」
「なにがなんだかわからないが、利用させてもらうぞ!」

「フハハハハハハ!
行くがいい、我が同胞よ!
そして、見ろ、俺の素晴らしい発明品を!」
ハデスは、
ハデスの発明品に命じ、攪乱行動をとらせ始めた。
「了解シマシタ、コレヨリ作戦行動ニ入リマス」
「本来なら、発明品本体もゲルバッキーの姿をとらせたかったのだが、
予算がなかったのでな!
幻影やミニバッキーの偽ゲルバッキーで混乱するがいい!」
ハデスが命じると、
ゲルバッキーの着ぐるみを着たハデスの発明品と、
ミニバッキー10体が、
シュヴェルト13に突っ込んでいく。

「くっ、邪魔をするな、のわあ!」
本来であれば、イコンがやられるわけはないのだが、
シリウスはニル子を守らねばならず、分が悪い。

そこに、
御神楽 陽太(みかぐら・ようた)のパートナーのノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)と、
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)が現れ、
ニル子をかばおうとする。
「ニル子ちゃん、助けに来たよ!」
「かわいいニル子は俺が守る!
忍者だからな!」

ノーンと唯斗が囮になり、
刹那やハデスたちの攻撃からニル子を守る。

「なあ、こんなに美しい世界を壊すなんて、
バカバカしいと思わないか?
こんなかわいいニル子だって頑張ってるんだ。
思い直してくれよ」
「黙りなさい、パラミタに復讐することこそが、
私の生きる意義。
邪魔立ては許しません!」
「ファンドラがこう言うのでな」
ファンドラと刹那が、唯斗の説得をはねつける。
「そうか、残念だ。
じゃあ、俺も、自分の使命を果たすまでだ!」
唯斗と、ファンドラと刹那の影が交錯する。

「ニル子ちゃんを傷つけるのはゆるさないよ!」
ノーンが、鉄のフラワシで、ミニバッキーの攻撃を防ぎ、
アブソリュート・ゼロでさらにかばう。

「なんだとお!
俺の邪魔をするのは誰であれ許さんぞ!」
ハデスが、そう叫ぶが。

「ニル子はしばらくの間、頼んだぜ!」
シリウスが、シュヴェルト13で迫る。
「うわああああああああああああああ!?」
ハデスは、発明品ともども、ぶっ飛ばされていった。

「ニル子ちゃん、これ、幽玄草っていうの。
好きな人に渡すことで想いが伝わるかも……。
よかったら、ゲルバッキーちゃんに渡して!」
「わかりました、そのお気持ちをいただきます」
効果のほどはわからないが、
ファーストクイーンは、ノーンの想いを受け取ったのだった。

「さあ、どうする?」
「くっ、早く行くのじゃ、ゲルバッキー!」
唯斗に迫られ、刹那がゲルバッキーに叫ぶ。

「言われなくてもわかってるさ!」
そう叫んで、円盤型飛空艇を離脱させようとするゲルバッキーだが。

「待て、ゲルバッキー!」
十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)が、
スレイプニルに跨り、聖輪ジャガーナートで速度を速めて、
ゲルバッキーの円盤型飛空艇を追う。

「銀行強盗は許せないが、
このままでは君はあまりにも……。
まずは、ニル子の話を聞いてほしい!」
「さっきからなんなんだ、おまえたちは!」
「止まらないと、この、恥ずかしい手紙を、
メガホンで読み上げるぞ!」
「うわああああああああああ!?」
プロボークで挑発した宵一を、ゲルバッキーが攻撃する。

ワイルドペガサス・グランツに乗った、
ヨルディア・スカーレット(よるでぃあ・すかーれっと)は、
ゲルバッキーが他の契約者に消滅させられないよう、
攻撃を防ぐため、
円盤型飛空艇への攻撃がされないかどうか、警戒していた。

「さあ、ニル子さん、乗ってくださいでふ」
リイム・クローバー(りいむ・くろーばー)が、
聖輪ジャガーナートで速度を強化した、
ワイルドペガサス・グランツに、ニル子を同乗させる。
「ありがとうございます」
ニル子は、ワイルドペガサス・グランツで、
リイムとともに、ゲルバッキーを追いかける。
その手には、ノーンに渡された、幽玄草があった。

「待ってくださいでふ、ゲルバッキーさん!
話を聞いてくださいでふ!」
リイムが呼びかけるが。

「その手紙を捨てろおおおお!!」
「うわっ、やめろって!」
ゲルバッキーは、本気で宵一を攻撃していた。

そのまま、宵一たちは、
ゲルバッキーの攻撃をかわしつつ、
ニル子を連れて、円盤型飛空艇を追っていく。