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【空京万博】オラの村が世界一!『オラコン』開催!

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【空京万博】オラの村が世界一!『オラコン』開催!

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第六章  本当の狙い

 女は、改めて『目標』を確認した。
 目標の名は、五十鈴宮 円華(いすずのみや・まどか)
 依頼内容は、目標の殺害。

 女は、このオラコンの開始からずっと、機会を伺っていた。
 だが、周囲の警戒が厳重だったり、目標が誰かと一緒に行動していたりして、そのチャンスは中々訪れなかった。
 しかし、警備はこちらの予定通りに撹乱され、すっかり手薄になっている。
 しかも上手い事に、目標は今、一人だ。

 女は、最後にもう一度周りを確認すると、物陰から姿を現した。
 一般客を装い、何食わぬ顔で目標に近づいていく。
 女は指の間に、小さな針を忍ばせていた。
 針には、遅効性の猛毒が仕込まれている。
 この針で、目標の皮膚にほんの小さな傷でもつけさえすればいい。
 毒が回り、死に至るまでに6時間以上。これだけの時間があれば、楽に空京から地球に脱出することが出来る。
 目標は、人待ち顔で、ベンチに座っている。
 あと1メートルという所まで来た。
 こちらを不審がる様子は全くない。
 通り過ぎざま、躓いたフリをして、目標の体に強く触れればいい。
 女は、計画の成功を確信して、倒れ込んだ。
 だが−−。

 体に触れるはずの手が、強い力で掴まれた。

(ナニッ!?)

 目標の体まであと数センチの所で、目標の腕が、自分の手首をがっしりと掴んでいる。
 躓いた格好の自分には、咄嗟にその手を振りほどく事もできない。
 顔を上げて目標を見るのが関の山だ。
 振り仰いだその目の前を、黒い『何か』が横切り−−。
 それが、女の最後の記憶となった。


「うまく行きましたね〜、鉄心さん♪」
「上手く行きすぎて、俺はちっとも出番がありませんでしたけどね」
「まぁまぁ。ラク出来て、いいじゃないですか〜」
 
 肩を竦める源 鉄心(みなもと・てっしん)に、なずなが茶化すように言う。

 鉄心は今、なずなと一緒に、暗殺者を護送していた。
 護送といっても逃げられる心配はない。
 なずなによって気絶させられた上に、何の抵抗も出来なくなっていた所に、鉄心が【さざれ石の短刀】を使って石にしてしまったからだ。
 お陰でリアカーを借りて運ぶハメになったが、逃げられるよりは余程いい。

 内部情報のリークを、『警備を誘導しようという敵の作戦であり、真の目標はやはり円華ではないか』と推測した鉄心は、敵の作戦を逆手に取ることを思いついた。
 爆弾テロの対応で他の警備員たちが手一杯になっている状況で、敢えて円華を一人にし、敵をおびき寄せようというのだ。
 もちろん、万が一のコトを考えて、円華には影武者を立てた。
 それが、なずなである。
 常に円華の身辺警護に当たってきた『くの一』であるなずなにとっては、円華に変装することなど朝飯前だ。
 しかし、影武者を立てるという手は、これまでにも使ったことがあったので、内心見抜かれているのでないかと心配していたのだが、幸いにして上手くいった。

 先程、もう一つの毒物混入テロも未然に阻止することが出来、容疑者も確保することが出来たと、連絡があった。
 頻発していた『4人の爆弾テロ犯』騒ぎの方も、確保した人数が20人に達した所で打ち止めになったらしい。

(勿論、まだテロが起きないとは限りないが、取り敢えずはこれで一息つけるか……ん?) 

 鉄心はふと、自分が大切なコトを忘れていたコトに気づいた。

「おい!そう言えば、イコナと御上先生は……?」
「あ〜!すっかり忘れてましたね、2人のコト」

 イコナは、初め鉄心と一緒に円華(に変装したなずな)の護衛についていた。
 しかし、どうしても心配なのを抑えられないのか、一人になっているなずなの側をやたらとチョロチョロしたがるので、御上先生に頼んでしばらくの間、離れていてもらうことにしたのである。

 ♪〜ピンポンバンポ〜ン〜♪

『イコナ・ユア・クックブックさん、イコナ・ユア・クックブックさん。蒼空学園の御上 真之介(みかみ・しんのすけ)さんが、探しておられます。至急、御上さんの携帯電話までご連絡くださるか、インフォメーションカウンターまでお越しください。繰り返します−−』

「まさか、迷子……とか?」
「ナニやってんだ、アイツは……」

 2人は思わず顔を見合わせた。




「参ったな……。ドコ行っちゃったんだ、イコナちゃん……?」

 場内放送を頼んだ後も御上は、イコナを探して会場内を歩き回っていた。
 ふとした拍子にはぐれてしまってから、もう30分以上になる。念のため警備本部のティーにも連絡を取ってみたところ、特になんの連絡もなく、しかも肝心のケータイは本部に置き忘れているらしい。

(イコナちゃんも一応契約者だし、大丈夫だとは思うけど……)

 探しまわる内に人気の無い所までやって来た御上の耳に、どこからかか細い女性の声のようなものが聞こえてきた。

(ん、どこだ……?)

 立ち止まって耳を済ますと、右手の植え込みの向こう側から聞こえてくるようだ。
 自然と足音を忍ばせながらその方向へと近づいてく御上。
 10代位の小柄な少女が、大柄な2人組みの男に囲まれているのが見えた。
 全員、服装は一般客のようだ。

「何するんですか。やめてください!」
「お前、ここで何をしていた?」
「な、何って……」
「お前、俺たちの話を聞いていたな?」
「は、話?一体、何のことですか……?」

 男たちの剣幕に、すっかり怯えきっている少女が、ジリジリと後退りして行く。
 女の子は、男たちに追いつめられるような形で、御上の隠れている植え込みの前までやって来た。

「オイ、どうする?」
「万が一にも、聞かれているとマズイ」
「じゃあ……」
「あぁ」
「し、知りません!私、話なんて聞いてません!」

 男たちの唯ならぬ雰囲気に、少女は悲鳴のような声をあげるが、最早男たちの耳には届かない。

「ナニ、心配するな。すぐに済む」

 そう言って、男の一人がズイっと一歩前に出る。

「ヒ……!」
「悪く思うな−−ブワッ!!」

 少女を掴もうと、男が手を伸ばした瞬間、その顔面に何か黒い液体が、物凄い勢いで吹きつけられる。
 息もできない勢いに男がひるんだ隙に、もう一人の男の顔面をも、黒い液体が襲った。

「キミ、こっちだ!」

 空になったダイエットコークのペットボトルを放り出しながら、御上が叫ぶ。

「え!?ど、ドコ?だ、ダレ?」

 だが、すっかり気が動転している少女は、御上のコトが分からずにオロオロするばかりだ。

「あぁ、もう!ちょっと、ゴメンよ!」
「え!き、キャアァァ!」

 御上は植え込みの上から上半身を乗り出すと、少女の身体を軽々と抱き上げた。
 そしてお姫様抱っこの姿勢で、全速力で走りだす。
 御上はそのまま植え込みの中だけを選んで走ると、建物の陰に隠れた。
 耳を済ますが、追ってくる様子はない。

「な、な、ナニ……?」
「大丈夫だから、落ち着いて。ボクは、アイツらの仲間じゃないから」

 未だに動転している少女に、御上は出来る限り優しく話しかける。

「は……ハイ……」

 少女は、途端に静かになった。

「少し、話を聞いてもいいかい?」
「ハイ……」

 ポーッとした表情で、頷く少女。
 どこか、上の空といった感じだ。

「ど、どうしたの?何処か痛む?」
「い、いえ……。大丈夫です……」
「そ、そう。なら、いいんだけど……」

(その割りにボーッとして、どうしたんだ、この娘?−−。あ、しまった!そう言えば、『メントスガイザー』の狙いつけるのに、眼鏡外したままだった!!)

 改めて、少女の顔を見る。
 潤んだ瞳、上記した頬。夢見るような表情。そして、白馬の王子様的タイミングでの救出と、お姫様抱っこでの逃走−−。
 お姫様抱っこしたままの少女を慌てて降ろすが、時既に遅し。

(ま、間違いない。コレは−−)

「あ、あの……。お名前、聞いてもいいですか……?」
「やっぱり……」
「あ、あの?ど、どうかしたんですか?」

 突然ため息をつきながら、ガックリを膝をつく御上を心配して、少女が駆け寄る。

「い、いや。いいんだ。だ、大丈夫だよ、ウン」

 久し振りなのでちょっとショックが大きかったが、よくあるケースなので立ち直りも早い。

「あ、ボクの名前だね。御上真之介だよ」
「みかみ……しんのすけさん……」

 相変わらず少女は上の空だが、今はそんなコトを気にしてはいられない。

「キミ、一体ナニがあったの?どうして、あの男たちに絡まれていたの?」
「え……?は、ハイ!そうです!あ、あの、その−−」
「大丈夫だから、落ち着いて。深呼吸、する?」
「は、ハイ、します。スー、ハー……」

 少女が繰り返し深呼吸するのを、辛抱強く待つ御上。

「は〜。もう、大丈夫です」
「うん、それで?」
「あの、私、聞いちゃったんです。あの人達が話していたコト……」
「なんて、話していたの?」
「ハイ。あんまりはっきりとは聞き取れなかったんですけど、確か『あの五十鈴円華は偽物だ。本物は本部にいる』って……」
「そ、それホント!」
「キャッ!」

 突然御上に両肩をガシッと掴まれ、驚く少女。
 だが、御上の真剣な表情を見て、『コクリ』と頷く。

「大変だ……。すぐに連絡しないと!」

 御上は、ケータイを取り出すと、慌ただしくダイヤルする。

「あ、あの、どうしたんですか……?」

 怪訝そうな少女の質問にも、最早御上は答えない。呼び出し音の一つ一つが、もどかしかった。



「フゥ……。みんな、大丈夫かしら」
「大丈夫ですよ、お穣様。吉報を待ちましょう」
「でも、イコナさんが迷子になってるみたいだけど……」
「そ、それも大丈夫です。きっと」

 五十鈴宮 円華(いすずのみや・まどか)は、神狩 討魔(かがり・とうま)と共に運営委員会の本部にいた。
 なずなたちが囮捜査をしている間は、ここで人目に付かないようにしていなくてはならない。
 2人の隣では、閃崎 静麻(せんざき・しずま)がテーブルに突っ伏して、死んだように眠っていた。
 静麻は結局、オラコンが始まるまでほとんど不眠不休で働き、始まってからも色々とブースを走り回っていたが、ついに力尽き、眠ってしまっていた。

「お嬢様」

 スヤスヤと寝息を立てている静麻に、温かい眼差しを送っていた円華に、討魔の鋭い声が飛ぶ。
 ハッとして顔を上げた円華に、周囲に油断なく目を配りながら討魔が近づいてくる。

「どうしたの、討魔?」
「お気をつけ下さい。何かいます」
「何か−−」

 円華の言葉が終わるよりも早く、何かがテントの入り口から踊り込んで来た。
 黒い影はテーブルの上を飛ぶように走ると、一直線に円華へと迫る。
 だがその前には、討魔がいる。
 黒い影は、討魔の刀の届くギリギリの所でトンボを切ると、低いテントの天井ギリギリの高さに、跳んだ。
 ボールの用に丸くなった影の構える刃の先は、過たず円華へと向けられている。
 身体をひねって、刀で影を捉えようとする討魔。
 だがテーブルが邪魔になって、十分に身体を返す事ができない。
 影は、刀の切っ先のわずかに先をすり抜けた。

(お、お嬢様−−!)

 影が円華と重なる、その刹那。

『バリバリバリッ!』

 稲妻が空を切り裂き、影が吹き飛ぶ。
 影と円華を結んだ線の、さらにその先−−。

「オイオイ。人がいい気分で居眠りしてるってのに、一体何の騒ぎだ」

 テーブルに突っ伏したまま、顔と腕だけを影に向けて、静麻が【怯懦のカーマイン】を構えていた。

「……!」

 天幕の外まで吹き飛ばされた影は、衝撃などまるで感じていないかのように、素早く身体を起こす。
 黒い装束に身を包んだ影は、煙を上げる傷を手で抑えると、もう円華たちの方には目もくれずに、植え込みの方へと走っていく。

「待て!」

 追いかけようとする討魔の目の前で、その姿が、宙に溶けるように消えた。

「《光学迷彩》か……」

 追跡を諦め、討魔は刀を収める。

「お穣様、お怪我は」

 静かに頭を振る円華。

「やれやれ。先生から連絡がなかったら、ヤバい所だったな」

『ん〜』と伸びをして、静麻が身体を起こす。
 御上から『本部にいる円華が狙われている』という連絡を受けた静麻は、わざと寝た振りをしていたのだ。

「有難うございました、静麻さん」
「いえいえ。正直当たるかどうか冷や冷やモノでしたけど、なんとかなりましたね」
「俺からも礼を言わせてくれ。よく、お穣様を守ってくれた」

 慇懃に頭を下げる討魔。

「あ〜、ホラ。そういう堅苦しいのはナシナシ。『債権者を守るのも債務者の務め』ってコトだ。あ、円華さん、今のは、ポイント高かったですよね!」
「ハイ♪それはもう、奮発して査定させて頂きます♪」

 茶目っ気たっぷりに返事を返す円華。

「ヨーシ!この調子でガンガン返すか!」

 途端に調子に乗る静麻だった。
 
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“シャンバラの伝統”パビリオン

【警備値】
《MC》永倉 八重(ながくら・やえ)矢野 佑一(やの・ゆういち)セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)

《LC》佐々木 八雲(ささき・やくも)ミシェル・シェーンバーグ(みしぇる・しぇーんばーぐ)プリムラ・モデスタ(ぷりむら・もですた)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)

《SP》+3

 (2×3)+(1×4)+3=6+4+3=13

【テロ値】
 ※警備値がテロ値の最大値12以上のため、判定なし。

【判定結果】
 テロの阻止に成功!

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“シャンバラの現在”パビリオン

【警備値】
《MC》樹月 刀真(きづき・とうま)エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)紫月 唯斗(しづき・ゆいと)

《LC》エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)紫月 睡蓮(しづき・すいれん)プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)

《SP》+3

 (2×3)+(1×3)+3=6+3+3=12

【テロ値】
 ※警備値がテロ値の最大値12以上のため、判定なし。

【判定結果】
 テロの阻止に成功!

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“シャンバラの未来”パビリオン
【警備値】
《MC》マーゼン・クロッシュナー(まーぜん・くろっしゅなー)レリウス・アイゼンヴォルフ(れりうす・あいぜんう゛ぉるふ)

《LC》島本 優子(しまもと・ゆうこ)アム・ブランド(あむ・ぶらんど)本能寺 飛鳥(ほんのうじ・あすか)早見 涼子(はやみ・りょうこ)ハイラル・ヘイル(はいらる・へいる)

《SP》+3

 (2×2)+(1×5)+3=4+5+3=12

【テロ値】
 ※警備値がテロ値の最大値12以上のため、判定なし。

【判定結果】
 テロの阻止に成功!

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パラミタパビリオン
【警備値】

《MC》叶 白竜(よう・ぱいろん)ルカルカ・ルー(るかるか・るー)源 鉄心(みなもと・てっしん)

《LC》世 羅儀(せい・らぎ)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)夏侯 淵(かこう・えん)ティー・ティー(てぃー・てぃー)イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)

《SP》+3

 (2×3)+(1×6)+3=6+6+3=15

【テロ値】
 ※警備値がテロ値の最大値12以上のため、判定なし。

【判定結果】
 テロの阻止に成功!

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