天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

「死の予言」を打ち砕け!

リアクション公開中!

「死の予言」を打ち砕け!

リアクション

■□■

===
汝、桐生 円(きりゅう・まどか)は、
恋人パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)の魔眼の暴走により、
それを押さえるために毒や呪いを身代わりとして受け、命を落とすであろう。
===


(死の予言、それは大切な人を庇って死ぬ
そんな予言が多いみたい。
ボクはパッフェルの魔眼が暴走して
それを封じるために死ぬらしい。
別に彼女のためなら死んでも良いかなって思う。
だけど、残された方はどうなるんだろう。
ボクが庇って死んだら、パッフェルは一生自分を責めて
苦しむんじゃないかな? それは酷いと思う。
チャンスがあるうちは
他の方法を模索しよう。
ただ、最悪の場合は庇って死ぬ覚悟はしておくけど)

パッフェル・シャウラ(ぱっふぇる・しゃうら)のことを考え、
桐生 円(きりゅう・まどか)は、「蛇の姫」のことを思う。

(死の呪いの予言、
みんなに送られているという情報、
あれは彼女と、魔術師ではない者の視点で語られている。
それも、彼女を助けたい、そんな気持ちがあらわれていると思う。
つまり、死の予言、御託宣から見るに
蛇の姫をかばった死んだ彼女の大切な人、だとボクは思う
死して尚、間違った方向にいく
彼女を忍びなく思っているんじゃないだろうか)

予言の情報を総合して、
自分達に蛇の姫のことを伝えた「誰か」がいるのではと考えた円だったが、
そこに、パートナーのオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)と、
友人・ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)から連絡が入る。

「円さん、イルミンスール大図書室で得た情報によれば……」
ロザリンドの伝えた情報はこうだった。


蛇の姫には大切な人がいたが、
その者は、龍の眷属の蛇の姫とは異なり、やがて死す定めを持ったものだった。

その者は、最期の時に、蛇の姫を守れるよう、
「光翼の短剣」に姿を変えた。

蛇の姫は、「光翼の短剣」をいつも大切に持っていたという。



「光翼の短剣……元の人は、剣の花嫁だったのかな」
パッフェルのことを思い浮かべながら、円がつぶやく。
「わからない……だが、
なら、なおさら蛇の姫を助けないと」
樹月 刀真(きづき・とうま)が言った。

刀真のパートナーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)も、
剣の花嫁だ。
この話は、自分達のことともオーバーラップする。



===
汝、樹月 刀真(きづき・とうま)は、
ロイヤルガードの任務中に、テロリストに襲われ、
パートナーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)をかばって死ぬであろう。
===


(死の予言が果たされたら、俺は月夜を庇って死ぬんだけど……
これ、その後にパートナーロストの影響で月夜も傷付く。
そして、自分を庇ったせいだと嘆き悲しむだろう……)
そんなことが起こらないように、
刀真は、「蛇の姫」の元へと向かう。



その部屋は、暗く、重苦しい空気に満ちていた。
じゃらり、と、鎖の引きずられる音がして、
誰かがこちらを振り向いた。

「蛇の姫、か?」
刀真の問いかけに、彼女は、昏い瞳で睨みつけ、答えとした。

「何故、死の予言をばらまいたんだ?
もし、叶えたいことがあるなら、手伝いをしたい」

息が漏れた。
鎖で縛られた女性が笑ったようだった。

「本来はこっちを殺そうとしている奴に言う台詞じゃないんだけどね……。
望め、そうすればその望みを叶えるために俺は全力を尽くそう」

「ははははは!」
今度は、はっきりと、笑い声が響いた。

「おまえ達が、叶えてくれるというのか?
私の願いを。
この、苦役を、分かち合ってくれるとでも?」
蛇の姫のあざけるような物言いに、
刀真は続けた。
「嫌いなんだよ、独りでいる奴が……そいつに何もしない自分が、ね。
それだけだ」

「……おかしな奴だ」
じゃらり、と鎖が鳴った。
蛇の姫が軽く首をかしげたようだった。

「ねえ、聞いて、蛇の姫」
円が進み出て話しかける。

「たぶん、ボク達の夢にキミを助けるような情報を出したのは
キミの大切な人、キミを鎖から解放する事
そして呪いを撒いたのはキミだって事はそれで分かった」

じゃらり、と音を立てて、蛇の姫が円を見上げた。

「たぶん、キミに間違った事はしてほしくないと思って
皆の夢に、情報を出していったんじゃないかな?」

「私の、大切な人……私は……」

蛇の姫が、手を伸ばす。
じゃきり。
鎖が、それを妨害した。

そこに、ちょうど、ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)達、
「光翼の短剣」を入手した一行が、到着した。

「刀真さん、これを」
「ああ」

光翼の短剣を受け取った刀真が、
神降ろしで自己強化をして、
肉体の完成と護国の聖域、エンデュアで瘴気への耐性を付け、
蛇の姫へと近づく。

「今、解放してやる!」