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「死の予言」を打ち砕け!

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「死の予言」を打ち砕け!

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■□■

「ああ、こやつは」
倒れたリキュカリア・ルノ(りきゅかりあ・るの)を見て、蛇の姫が言った。
「こやつは、ありえたかもしれぬ、私なのだ」
解放された蛇の姫は、床に座ったままで、
どうしていいかわからない表情で、一同を見渡した。

「涼司くんが居なくなって何度か後を追うつもりでした……」
山葉 加夜(やまは・かや)が、
進み出て言った。

===
汝、山葉 加夜(やまは・かや)は、
夫・山葉 涼司(やまは・りょうじ)を殺害した設楽 カノン(したら・かのん)により、
「淫売」と罵られてナタで斬られて殺されるであろう。
===


そして、死の予言を、加夜もまた、受けていた。

「でも大切な命がここに」
お腹をやさしくさすりながら、加夜は言った。

「え、涼司との……?」
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)の言葉に、
加夜は穏やかにうなずく。

「この呪いを断ち切ってこれ以上苦しむ人を増やさないように。
私も生きるために精一杯の事をするつもりです。
涼司くんの為にも……」

「……」
夏への扉で治療しながら、
加夜が沈黙する蛇の姫に真相を訊ねる。

「死の予言は元々人を救うための予言?
未来を見通せる力があるんでしょうか?」

漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)も、
浄化の札で、蛇の姫を治療する。

瘴気に蝕まれた身体を癒され、
蛇の姫はゆっくりと口を開いた。

「たしかに、私には、予言の力がある」

しかし。
そう言って、蛇の姫は続けた。

「人を救うためかどうか……と、言ったら、私は救えなかったがな。
死すべき定めを見ることはできても、
私に覆すことはできなかったのだ」

「そんなことないよ。
キミを心配して、姿を変えても守ろうとした人がいる」
桐生 円(きりゅう・まどか)の言葉に、
蛇の姫がはっとして顔を上げる。

樹月 刀真(きづき・とうま)が、
光翼の短剣を、蛇の姫に渡す。
「大切な人なんだろ。
それに、お前の言葉で、こんなに大勢の奴が動いたんだ」

蛇の姫は、周囲を見渡して、沈黙し、
そして、少しだけ笑った。
始めて見せる、穏やかな笑み。

月夜が、軽く刀真を抱きしめる。
刀真が、くしゃりと、優しくパートナーの髪をなでた。

「そうかもしれぬな。
おまえたちは未来を変えてくれた……。
……ありがとう」

蛇の姫は、
加夜のお腹に手をかざして、詫びる。

「すまないことをした。
私に死を覆すことはできぬが、
すでにばら撒かれた予言は打ち消そう。
そして、おまえたちに、この世界に、幸せが訪れるように」

「授かった小さな命、これからも守っていきますね」
加夜が、蛇の姫に微笑を返した。

暖かい光がそそがれて、
蛇の姫の姿が、光翼の短剣とともに消えていく。

「ありがとう」







「おおーい!」
原田 左之助(はらだ・さのすけ)が、
塔の上に、追いついてくる。
「兄さん!」
椎名 真(しいな・まこと)が振り返り、
パートナーの無事を喜ぶ。

左之助がニッと笑う。

「言っただろ。必ず追っかける、てな」