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リアクション
■ バトルの結果は ■
「真田先輩! お月見こっちです!」
早く早くとミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)に手を引かれ、真田 佐保(さなだ・さほ)は笑いながらついてくる。
「そんなに急がなくとも、月は逃げたりしないでござるよ」
「でもいっぱい見たいです! 早くお月見したいです!」
佐保と一緒のお月見だから、めいっぱい楽しみたい。
逸る心を表すように、ミーナの足はどんどん速くなるのだった。
「真田先輩、見て下さい。お月様大きいです!」
月冴祭の会場に到着すると、ミーナは空を指さした。
暗い夜空に輝く月は、大きくて綺麗な丸を描いている。
「大きいでござるなぁ。ニルヴァーナの月も地球とそう変わらないのでござるな」
ニルヴァーナから見える月がどういうものか興味があるからとやってきた佐保は、感心して空を見上げた。
今見上げている月は地球のものとは違うけれど、こうして見ている限りは大きさも色も地球のものと変わりなく思える。
そうしてしみじみと佐保が月を見上げているうちにも、ミーナの関心は別のところに移っている。
「あ、向こうに食べ物があります! 何があるか見てきましょう!」
食べ物を出しているところへと走っていって、あれもこれもとミーナは両手に抱える。
「まさに、花より団子でござるな」
嬉しそうに食べ物を抱え込むミーナの様子に、佐保は微笑を誘われた。
大量に手に入れた食べ物を持って、ミーナと佐保は竹林に設けられた東屋の1つに入った。
机の上に食べ物を置いて、差し向かいで椅子に腰掛ける。
「お団子美味しいです」
「拙者も甘いものは好きでござる。こちらの里芋は、芋名月にちなんでのものでござろうな」
月見にまつわる食べ物の数々を消費しつつ、ミーナと佐保は他愛のない話をしたり、月を眺めたりして過ごした。
「あ……」
佐保の頬に団子の蜜がついているのに気付いたミーナは、注意しようとして……思いとどまる。
口に出して言えば、佐保はそうでござるかと頬を拭いて、それで終わりになるのだろうけど。
でも……。
普通に教えてあげなさいと、ミーナの脳内天使が囁く。
これはチャンスなのだと、ミーナの脳内悪魔が囁く。
脳内でバトルが繰り広げられた後。
ミーナは思い切って、佐保の頬についた蜜を自分の唇で取った。
怒られるかと、ドキドキしながらミーナが見守っていると。
「な、な、何をするでござる!? びっくりするでござるよ〜」
「ほっぺに蜜がついてたです」
「そういう時は口で教えるでござる!」
真っ赤になってあわあわと腕を振り回す佐保の慌てぶりに、ミーナはつい笑ってしまったのだった。
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