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第1章 高層階のレストラン
今日も力強い太陽の光が、空京の街に降り注いでいる。
ここ数日、快晴が続いており、そのためか、街は毎日活気に溢れていた。
ゼスタ・レイラン(ぜすた・れいらん)が、パートナーの神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)を誘って空京で食事をした数日後の今日。
同じレストランを訪れたロイヤルガード隊員がいた。
「よかった、席とれたみたい〜♪」
輝く笑顔でそう言ったのは、秋月 葵(あきづき・あおい)。
今日は仕事で空京を訪れていた。
天気もいいし、たまには宮殿の外でお昼にしたいなと思って。
パートナーの魔装書 アル・アジフ(まそうしょ・あるあじふ)と。
それから、友人のアレナ・ミセファヌス(あれな・みせふぁぬす)を誘って、ビルの上層階にある、このレストランを訪れたのだった。
「葵ちゃん! 遅いですぅ!」
葵に気付いて近づいてきたのは、アルだ。
彼女は先にレストランに訪れ、席をとって待っていたのだ。
「来ないから心配ぃ……は、はわわ、なんでアレナさんも居るですか!!」
葵と一緒にいるアレナの姿を見て、アルは突然慌てだす。
「えっ、ごめんなさい。お2人でお食事の予定だったんですね……っ」
アレナもちょっとびっくりして、足を後ろに引いた。
「違うんですぅ、違うんです、違うんですぅ」
真っ赤になって、アルは首をぶんぶん振る。
「ほら、アルちゃん、アレナちゃんのファンだから」
赤くなっているアルの頭をそっと撫でて。
葵はアレナに笑みを向ける。
「最近、アレナちゃんに会えなくてかなりしょんぼりしてたから……サプライズ♪」
「サプライズ、ですか……お昼、一緒にいいです、か?」
アレナが不安げに尋ねると、アルはぶんぶん首を縦に振った。
「う、嬉しいですぅ。まさか、こんなところでアレナさんに会えるなんて会うなんて……さ、サインくださいですぅ」
言いながら、アルが差し出したのは鞄だった。
「サイン? 名前、書くんですか? 鞄に……?」
「あ、いえっ。色紙……もってきてないですぅ。ハンカチは濡れたら落ちちゃうかもですぅ……ううっ、やっぱり鞄にお願いしますぅ」
緊張で軽く混乱しながら、アルは再度鞄を差し出す。
「は、はい……!」
つられて、アレナも緊張しながら、アルの可愛いピンク色の鞄に、黒色のペンで『アレナ・ミセファヌス』と名前を書いた。
「あ、これじゃ私の持ち物みたいですね……っ。えっと、日付とかも書いておきましょうか」
アレナは名前と一緒に、日付を書いて、名前と日付をハートのマークで囲った。
「ありがとうございますぅ。大切にしますぅ〜っ」
アルはぎゅっと鞄を抱きしめる。
「よかったね。アルちゃんはアレナちゃんの大ファンなんだよ」
「ありがとうございます。えっと……これからも、頑張ります」
アレナはぺこっとアルに頭を下げた。
「はい!」
アルも同じようにぺこっと頭を下げる。
「それじゃ、ご飯にしよ〜」
「はい」
「はい〜」
可愛らしい少女の姿をした3人は、高級感あふれるテーブルにつく。
「葵ちゃん、脅かすの無しですぅ……アル、心臓止まるくらいビックリしたですぅ」
椅子に座ってからも、アルは胸に手をあてて深呼吸をしていた。
「ふふ。ええっと、注文はランチコースでいいかな。何にする?」
「アレナさんは好きな物とかありますか〜?」
「最近はお魚の料理が好きです。なので、私はお魚のコースにしますっ」
「それじゃ、あたしも同じのにしますぅ」
「うん、皆同じのにしよっか」
マナー的にこのレストランでは分け合ったりするのは良くなさそうなので。
皆で仲良く同じメニューを注文することにした。
スープの後の白身魚のムニエルを口へ運びながら。
少女達は笑顔でゆっくり会話を楽しんでいく。
「ここ優子隊長達がこの間ランチした場所なんだってね」
「はい! 今度、ディナータイムに3人で行こうって言われました……っ。その前に、どんな場所か見て見たくて」
葵にここに来てみたいと言ったのは、アレナだった。
窓がとても大きくて。
外には空京の街と、青空が広がっている。
「アレナさん、夜に来た時も魚料理にするんですぅ? 他にも好きな物ありますぅ?」
「優子さん達と一緒に来た時も、魚料理にするかもしれません。お魚料理のお勉強もしたいのでっ。お肉も嫌いじゃないですし、日本のお煮物とか、お寿司とか、甘いデザートとか、好きです……っ。あと、精進料理っていうのを、日本のお寺で食べてみたいです」
優子が昔よく食べていたらしいのだ。
興味はあるのだが、アレナは優子と日本の寺に宿泊したことはなかった。
「お寺とかって……厳しそうだよね。座禅とか」
葵は座禅する優子の姿を思い浮かべ……いや、優子に竹刀で叩かれる自分の姿を思い浮かべ、軽く身震いした。
「ざぜん? アレナさんは好きですか?」
「嫌いじゃないです。いつか皆でお寺に修行に行きたいですねっ」
「修行……!? うう……アレナちゃんがそう言うのなら」
「行きたいです。アレナさんとお泊り、ですぅ」
葵はしり込み気味だったが、アルはアレナと一緒ならどこにでも行ってみたいと思っていた。
メイン料理の後の今日のデザートは。
たっぷりの果物に囲まれたアイスクリームだった。
顔をほころばせながら、3人は美味しく楽しく食べていく。
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