校長室
嘆きの邂逅(最終回/全6回)
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第5章 嘆きの邂逅 離宮到着後、敵を掻い潜り、倒しながら宮殿へと向ったマリル・システルース(まりる・しすてるーす)と伯道上人著 『金烏玉兎集』(はくどうしょうにんちょ・きんうぎょくとしゅう)は、宮殿前にて、脱出を果たした契約者達と遭遇する。 エメ、アレクス、真紀に運ばれるジュリオの姿を見つけて、マリルは悲しみに満ちた顔で駆け寄る。 「6騎士のマリルです。ジュリオは無事ですか?」 「息はあります。手荒な扱いになってしまい、申し訳ありません」 「混乱しているようです」 マリルの問いに、エメと真紀がそう答える。 「そうですか……。彼は、彼は決して裏切るような男性ではありません。きっと何者かの手で、そう動かされたのだと思います」 「ええ、洗脳されていたようです」 「不可解なことを仰っていましたので、洗脳は完全ではないようです」 エメと真紀の言葉に、マリルは心配気な目でジュリオを見る。まだ意識を失っているようで、体に動きはなかった。 「騎士の中に裏切り者がいたとなると、寺院がただ放置しておくわけなかろうて」 玉兎はそう言いながら、周囲を見回す。 「光条兵器使いが仰山おるのう」 「別邸に救護所があるんですよね、早くそこに運んで治療を……」 「待って!」 焦るマリル達の下に、もう一人の騎士――マリザが姿を現す。 「北の塔に集まっていた人造人間達が別邸前にテレポートで送られたわ。南側の入り口はつかえない。別邸に入るのなら北の裏口から仲間の助けを受けて入ることになるけど……安全とはいえないわ。勿論、東塔も未だ交戦中。西や南には救護要員がいない。そんな状況よ」 厳しい顔で告げられるマリザの言葉に、皆の表情が強張る。 「尚更、急ぎましょう。厳しいようですが、彼一人ここで治療するより、危険であっても別邸にお連れし、自分達も加勢した方が皆や、ずっとヴァイシャリーを護ってくださった彼の生還にも繋がるでしょうから」 「急ぎましょう」 エメ、真紀はジュリオを抱え、別邸の裏口の方を目指す。 「こっちだよ!」 サイモンが先導して裏口への方へ走る。 「仲間が迎えに出てるはずですじゃ!」 携帯電話で得た情報を伝えながら、玉兎もサイモンと共に皆の前を走る。 「一気に駆け抜けるにゃう」 「サポートさせていただきます」 アレクス、蒼は仲間達をヒールで回復し護った。 マリルとマリザは空を飛び、周辺の状況を確認し、近づく光条兵器使いを容赦なく倒していく。 そして契約者達は、芳樹とアメリアが護る裏口へと駆け込んだ。