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まほろば大奥譚 第三回/全四回

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まほろば大奥譚 第三回/全四回

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序章

 枯葉が風に舞い、マホロバに初冬の訪れを感じるころ。
 将軍不在のマホロバ城では、将軍鬼城貞継(きじょう さだつぐ)欠席のまま、老中から大老となった楠山(くすやま)の就任式が執り行われていた。
 大老となった彼は大名家と執政において、またこの城においての最高責任者である。
 老中の上にある臨時の幕府最高職で、大老が決定したことは将軍でさえも覆すことができないといわれるほどの重職であった。
 城内の梅之大廊下を悠然と歩く大老の姿に、人々は権力の移り変わりを素早く感じとった。
 頭を垂れる大列を尻目に、楠山はこれから行う改革の構想を練っていた。
「おそらく、現将軍はもう政(まつりごと)に復職はできまい……」
 彼はそう考えた。
 『伝統的な幕閣主導型の体制と秩序の復活』……彼の頭にはこの図が描かれていた。
「この改革はマホロバを立て直すために必要なものである。そして、新しいお世継ぎが立てば、ますます盤石なものになるであろう」
 程なく、大老の新しい『法度』がマホロバ城下に知らしめられることになる。