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【アナザー北米戦役】 基地防衛戦

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【アナザー北米戦役】 基地防衛戦

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ヒューベリオン
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 一方のイリノイ州の基地。こちらではヒューベリオンを打倒するために待機をしていたイコンたちが動き始めていた。
 シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)をリーダーとする【星】は、シリウスのパートナーのサビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)がメインパイロットを務めるノイエ13ことドライツェンと、大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)がメインパイロットを勤め、パートナーの中でサブパイロットになることによってワープをすることが可能になる讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)がサブのパイロット努める。
 それに対してパートナーの一人レイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)は、顕仁がサブパイロット務めることにワープが必要だからということで渋々同意はしていたが、できることならば自分がその席に座りたいと心の奥で考えているようであった。
 そんなレイチェルは今後の戦いに備えて敵の行動パターンなど記録集積する作業を行うためにイコンに乗り込んでいた。
 そして、【指揮】の力で泰輔をサポートするために乗り込んでいるのが歌曲の王と呼ばれたフランツ・シューベルトの英霊であるフランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)その人自身であった。
 そんな彼らが操るイコンは名前をバンデリジェーロと言い、その名前は闘牛士を意味していた。
 そして高崎 朋美(たかさき・ともみ)とそのパートナーであるウルスラーディ・シマック(うるすらーでぃ・しまっく)が操るウィンダムは、朋美の玄祖母の英霊である高崎 トメ(たかさき・とめ)とその分霊である高崎 シメ(たかさき・しめ)をオブザーバー件ブレーンとして乗せ、ヒューベリオンとの戦いに挑んでいた。
 コールサインはドライツェンがスター1、ウィンダムがスター2。そしてバンデリジェーロがスター3という3機体制で、彼女たちはヒューベリオンに対して挑んでいた。
 ドライツェンは即座に【戦慄の歌】を使用する。
 ヒューベリオンの動きを止めようというもくろみだったが、ヒューベリオンはその歌に戦慄し、おびえることなく迎撃の態勢に入った。
 バルカンとナパームでヒューベリオンの行動を封じ、ドライツェンは空からヒューベリオンに攻撃を仕掛ける。
 対空砲のコントロールをこちらが奪ったため、イコンは空を飛んでも攻撃を受けることはない。だが、ヒューベリオンは逆に激しい対空砲火を受けて、大きなダメージこそないものの、うっとうしそうにそれを睨んだあと、ひとたび咆哮してから口から熱光線を吐き出し、対空銃座をすべて焼き払った。
 その頃にはすでに潜入部隊の撤退していたので被害はなかったが、もし残っていたら彼らは全滅していただろうというくらいその熱光線の威力は恐ろしかった。
 ドライツェンは泰輔のアドバイスを受けながら、攻撃の位置を変更し、次々とヒューベリオンに対して攻撃を仕掛ける。
 一方でそのバンデリジェーロはワープできることを最大限に利用し、ヒューベリオンの目の前に現れ、或いは突然消えてヒューベリオンをキリキリ舞いさせながら、朋美のウィンダムが攻撃する隙を作る。
 そしてそのウィンダムは玄祖母のサポートを受け、トメの【博識】や【指揮】からもたらされた行動予測や、或いはヒューベリオンの行動パターンバンデリジェーロに搭乗しているシューベルトと意見を交換しながら、次第に、より的確にヒューベリオンに効果的な打撃を与えられるようになっていく。
「人間、根性だよ、朋美!」
 そんなトメのありがたいアドバイスを受けながら、朋美はシマックとともにウィンダムの操縦をする。
 シマックとしては玄祖母達おじゃま虫に思いながらも(実際には違和感を感じる程度であるが)朋美と精神感応で心を通わせ、バンデリジェーロとお互いの長所を生かし、短所かばい合うように連携をしながら、ドライツェンの行動の支援を行っていた。
 普段はどこぞの猫とねずみのように仲良く喧嘩してるトメとシメであるが、もともとは同一人物であることもあり、こと朋美のためならばとても息の合ったコンビネーションを見せる。トメが搭乗口から身を乗り出してグレネードを投げる際などは、シメがその体をしっかりと支えていたりするのだ。
 朋美が少しだけ玄祖母達の様子を見て温かい気持ちになりながら、バスターレールガンの引き金を引く。
「よし、今だ!」
 レールガンが命中した瞬間、シリウスはサビクに声をかける。今がチャンスだと。
 ドライツェンが一気に加速し、新式コーティングブレイドの刃をきらめかせる。
 その一撃はヒューベリオンの体表に大きな傷をつけ、ヒューベリオンは痛みに悲鳴を上げる。
 そして、その一撃をきっかけにイコンの総攻撃が始まった。
 一度は後退をしていた鳳凰や天燕、そしてユノーナ・ザヴィエートやゴスホーク。それら基地攻略に参加していたイコンたちも参加しての一斉攻撃がヒューベリオンに対して叩き込まれる。
 それは、軍事用語で言うならの飽和攻撃ともいう攻撃で、ヒューベリオンは次々と繰り出される攻撃に対処能力が不足し、防御できない攻撃が次々と命中する。
 対処能力の不足によって攻撃を受けたことにより、ヒューベリオンの対処能力はさらに低下するという悪循環に陥っていた。
 ドライツェンのバンデリジェーロの、ウィンダムの鳳凰の……そして、天燕やユノーナ・ザヴィエートにゴスホーク。それらの総攻撃を受けてヒューベリオンは次第に戦闘力と生命力を奪われていく。

 やがて決着の時がきた。

 サルヴァが生み出した対イコン用の実験兵器。
 サルヴァとしてはオーバースペックすぎる故に封印していたつもりだったそのヒューベリオンも、蓋を開けてみれば対抗するはずだったイコン倒されるという結果に終わっていた。
「いっけええええええええ!」
 シリウスが、全速でドライツェンをヒューベリオンに接近させるサビクに対して掛け声をかける。
 そして、ブレイドの一撃はヒューベリオンの命脈をしっかりと断ち切ったのであった。
 こうして、最大の防衛戦力であるヒューベリオンが倒れた。そのことは通信によって司令部にもたらされ、司令部は、その朗報に大いにわき立ったのである。