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リアクション
そこに政敏とリーンが現れる。
「三池先輩、いや、ミケロットさん、もういいでしょう!! 俺とリーンは聞いたよ、ミケロットさん、あなたの思いを」
「ミケさん、…ルクレツィアさんはミケさんの初恋の人、なんでしょう? その娘である真珠をどうしてあんな目に遭わせるの? 真珠は自分の小指を噛んで血を流して笑っているわ。あれがミケさんのみたい真珠なの?」
「…はっ。さすがにそこまで言われると、僕の心も揺れてしまうよ…」
ミケロットはボロボロになった状態で自嘲する。
「…あれは確かに本当の真珠じゃない。…真珠をあのように操っているのは、あの青い指輪だ…手荒なまねをせず、真珠を出来るだけ傷つけまいと僕はしたけれど…もう、ケセアレ様は…待つことに疲れたんだ」
「ケセアレが? 待つことに疲れた?」
「ああ、そうさ。ずっと待っていたんだ。ケセアレ様は。ルクレツィア様が、真珠が自分の元に戻ってくることをね。…さて、君たちと赫夜の願いと、僕とケセアレ様の真珠への執着、どちらが強いかな」
そういうと、さすがはもう一人の『アッサシーナ・ネラ』、首にかけていたロケットを引きちぎると、それを地面にたたき付け爆破を起こしてしまう。
「ロケットに爆弾!?」
しかし、そのロケットが真珠としていたものと同じであることを、祥子は見逃さなかった。
(おそらく、あの中にも写真が入っていたんだわ…)
祥子はミケロットの複雑な思いを悟り、胸が痛くなる。
しかし、爆破は半端なものではなかった。
次にミケロットがシャープシューターを拾い上げようとするのを、突然どこから現れたか、「パラミタ刑事シャンバラン」の仮面を被った神代 正義(かみしろ・まさよし)が現れ、シャープシューターを蹴り飛ばしてしまう。
「世界の平和を守る! 『パラミタ刑事シャンバラン』! 美しい姉妹を追い詰めるとは、鬼のような輩だな! くらえ、シャンバランダイナミィィィック!! 悪は滅びろッ!」
ミケロットに蹴りを入れるシャンバラン。
「ぐはっ!」
はじき飛ばされるミケロットを、さっと影が飛び出し、受け止める。
「…全く、キミ、ミケロット。脇が甘すぎるね」
「…」
ミケロットを支えた影、緑色の髪の少女がそうつぶやくと、無言のミケロットと生徒の前に立った。
「お前は、誰なんだ!?」
「ボク? 思った以上に知られてないんだなー? 残念。緑の髪、緑の瞳、この豊かな褐色のボディ。そしてこの『還襲斬星刀』…ボクを見たことがある人もいるよね? そう、ボクは蛇遣い座(サビク)のシャムシエル・サビクだよ」
くるっと剣を廻すと、シャムシェルは舌なめずりをする。
「隠形の術」で姿を隠していた鬼崎 朔(きざき・さく)が、シャムシェルの姿を認めると、怒りを発露させる。
「お前、『鏖殺寺院』の手のものか! ということはミケロット、お前も『鏖殺寺院』のものだな!」
鏖殺寺院にただならぬ憎しみを抱いている朔は、シャムシェルごとミケロットを殺すつもりだった。
強化光条兵器に『アルティマ・トゥーレ』で冷気を付加させて戦う朔だが、シャムシェルは嬉しそうに、それを避け、逆に朔を追い詰めようとする。
「キミ、『鏖殺寺院』が憎いんだね。じゃあ、ボクも憎いの?」
「…憎いとも! 殺してやりたいくらいだ!」
「ふふっ。その顔、カワイイね。最高だ。…人を憎むのって本当は辛くてたまらないんだって? でも今のキミの顔は凄く良いよ。輝いている…ボクへの、そして『鏖殺寺院』への憎しみでね!」
「ほざけ!」
朔は攻撃を繰り出すが
「…でも残念。ボクの相手ではないね。それに今はキミたちと遊んでる暇はないんだ」
シャムシェルは高く飛び上がってしまうと、自分の操っている飛行艇に飛び乗り、隠れ身を使い、話の様子を伺っていた仮面をつけたトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)がミケロットを肩にかけ、バーストダッシュで奪い去り、シャムシェルの飛行艇にぶら下がる。
「おや、『鏖殺寺院鮮血隊の自称副隊長』…だったっけ?」
「シャムシェル…だったな」
「助かったよ。ミケロットを奪い去る手間が省けた」
トライブはミケロットに質問する。
「お前に妙な事を吹き込んだのはその『ケセアレ・バレンティノ』という奴だけか? 『ケセアレ』は鏖殺寺院のメンバーなんだな?」
「君の想像に任せるよ」
「ケセアレ以外に、他に背後に誰が居るんじゃないか?」
「…さてね…知りたかったら一緒に来るがいいさ」
ミケロットが苦しい息の下から、つぶやいた。
【第四章 真珠の願い】
一方、赫夜たちとクィーン・ヴァンガードの戦いは続いていた。
ロートラウト・エッカート(ろーとらうと・えっかーと)が赫夜を足止めしつつ、ミュリエル・クロンティリス(みゅりえる・くろんてぃりす)を抱き、加速ブースターで一気に真珠のもとへ赴く。
「真珠さん! やめて!」
ミュリエルは銀の飾り鎖に付けた、作り方を教えてもらった銀細工を見せて、仲良くしてたことを伝える。
「真珠さん! 私たちは、あなたのことを友達だと思ってます! 赫夜さんも、真珠さんを救うために、あんなに一生懸命なの!」
だが、片足を屋上の囲いにかけ、ニヤニヤ笑って眼下の争いを見つめている真珠に説得がきかない。一瞬だけミュリエルの方を向いたが、つまらなさそうにまた、眼下の戦いに目を向ける。
「真珠さん…本当に変わってしまったのですか…?」
ミュリエルは涙を流すと、それをロートラウトがそっと抱き締めた。
「真珠さん、これ以上はダメ!」
ミュリエルは意を決してロートラウトをふりほどき、小さな体で真珠に飛びかかる。
「なにをする!」
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