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【十二の星の華】黒の月姫(第3回/全3回)

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【十二の星の華】黒の月姫(第3回/全3回)

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【第五章 闇への誘い】



 大円団か、と思われたその瞬間、セルファが『殺気看破』で害意を感じとる。
「何者なの!?」
 上空から飛行艇が一気に急降下して来、真珠を奪い去ってしまう。
「きゃああ!」
「真珠!」
 飛行艇にはミケロットと緑色の髪の少女、蛇遣い座のシャムシェルが搭乗していた。急降下した飛行艇はそのまま、ぐるり、と空中で回転すると上空高く舞い上がり、赫夜たちに向かって突進してくる。
 イーオンや、祥子、アリア、そして赫夜が立ち向かおうとするが、シャムシェルの還襲斬星刀が形を変え、鞭状になり、赫夜の星双頭剣はなぎ払われてしまう。
「うっ…!!」
「たいしたことないね、『蟹座の十二星華、セルバトイラの赫夜』。キミはボクから見れば、情に流されすぎてるよ…でも、そういうところ、面白いね」
 とあざ笑うシャムシェル。
「真珠を返せ!」
 赫夜は手傷を負った状態で、飛行艇を追って駆け出す。
 気を失った真珠を抱え、ミケロットは攻撃されないよう、飛行艇を操作しながら赫夜に向かって言い放った。
「…『ケセアレ・ヴァレンティンノ』様の城で待つ。場所は、タシガン空峡の中にある浮遊島だ。場所は赫夜、お前が肌身離さず持つ、ルクレツィア様から渡された清符が示してくれるはずだ。そして、その清符とお前の心臓がケセアレ様のものとなったとき、真珠を返してやろう。…しかし、その時、赫夜、お前の命の火は絶えているが…さあ、命が惜しくなければくるがいい。そして真珠を奪い返してみるがいい、セルバトイラの赫夜! そして蒼空学園の諸君たち!」
 ミケロットが指を差すと、豊かな赫夜の胸元が清々しい光を激しく放つと、ふわっとセーラー服の中から小さな清符が浮かび上がってくる。
 その光が輝き続ける中、気を失った真珠を連れて、ミケロットとシャムシェルは飛行艇で雲の中へと去ってしまった。

 清符の光が収まり、曇天が広がる中、雨がぽつり、ぽつり、と降り始めてくる。それが空を見上げている赫夜の頬に次々、かかりはじめた。
「…いくのか、赫夜さん」
 佑也の言葉に、赫夜は今までとは違う、覚悟と生命力に満ちた煌めく赤い瞳で佑也の瞳を見つめ返した。
「…行きます。私は、…みんながくれた勇気を心に携え、かならず、真珠を取り戻します!」

 赫夜の声にはとても強い決意が秘められていた。
 
 
 

黒の月姫 3部完
















担当マスターより

▼担当マスター

杉井幾

▼マスターコメント

こんにちは、杉井幾です。「黒の月姫3部」完結いたしました。
ただ、ミケロットとシャムシェルに真珠は攫われ、赫夜は真珠を取り戻すために真珠の叔父『ケセアレ・ヴァレンティノ』の城に赴く決意をしました。
お話しは蒼空学園と飛び出し、次の「空の果て、黄金の血」前後編へと続きます。

今回はみなさんの真剣なアクションを頂き、一生懸命、私も格闘しました。
もっと早く公開したかったのですが例のごとく、ヤマイが出まして、39度の熱を出すわ、リバースするわ、頭に鍼を打ってもらったら大流血するわ(これはヤマイではないですね)と、まあ、占星術で言うところの水星逆行の時期にピッタリ当たったな、という感じでした。

みなさん全員を満足させることができたか、不安ではありますが、私も力いっぱい頑張りました。その結果がこの作品です。

次のシナリオガイド「空の果て、黄金の血(前編)」は5/14公開予定です。
宜しければご参加下さい。

ありがとうございました。