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【十二の星の華】黒の月姫(第3回/全3回)

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【十二の星の華】黒の月姫(第3回/全3回)

リアクション

 霜月は、『ブライトシャムシール』を発動させ居合の構えで赫夜を牽制する。
 斬り付ける時に斬る対象を武器のみと設定し、赫夜を傷付けないようにし時間を稼ぐことに集中した。
 それが霜月という男の赫夜へのせめてもの、思いやりだったのだ。

 クコ・赤嶺(くこ・あかみね)は霜月のサポートにあたり、赫夜の気をひくために『軍用バイク』で派手に動き回った。グルグルとミルザムに近寄れないよう、軍用バイクを操縦するクコに赫夜もなすすべがない。ジャンヌ・ダルク(じゃんぬ・だるく)は『ヒロイックアサルト』でミルザムを守っている。
 途中クコにジャンヌは「霜月は『十二星華』なんかと戦って平気なのか?」など、軽口をたたきあいながら協力して戦っている。
「さあ、でも十二星華にも色んな人がいるみたいよ?」
 クコはそう返答した。
 赫夜は自分に『奈落の鉄鎖』をかけ、重力を操作すると、三人を飛び越してしまう。

 ミルザムは自分のふがいなさに唇を噛みしめていた。
「私も戦います! みなさんにばかり、迷惑はかけられません!」
 ミルザムは踊り子。モンクのように体術を使って、赫夜に立ち向かうことを決心する。

 道明寺 玲(どうみょうじ・れい)も同様に『ガードライン』で後ろのミルザムを守る。
(どうやら、三池 惟人は確保されたようだが、三池や赫夜以外にも危険人物はいるだろう。それらからもミルザム様を守るように動こう…それこそが私の使命!)
 玲のパートナーレオポルディナ・フラウィウス(れおぽるでぃな・ふらうぃうす)は冷静な玲に比べて、「クィーン・ヴァンガード」としての使命感に強く燃えていた。
「ミルザム様には手を出させません!」
 レオポルディナにとって、ミルザムはかけがえのない存在、守るべき女王候補なのだ。
 かすり傷を負っているミルザムにヒーリングを施しながら、あらゆる危険からミルザムを守ろうと身を挺している。


 次に立ちはだかったのは、橘 恭司(たちばな・きょうじ)だった。
「赫夜、もうやめておけ。君自身、ひどく辛そうだった。だからといって、ミルザム様を襲って良いってわけはない」
 しかし、赫夜はそのまま、恭司に突進してくる。が、恭司は得意とするは掌打の体術で、星双頭剣をさけ、掌打で赫夜の体にダメージを与える。
「ぐっ!」
 赫夜はその衝撃でグラマラスな胸を揺らして、一瞬、地面にたたき付けられた。剣は得意であっても、体術をそれほど経験していない赫夜に少なからず衝撃をあたえることとなった。
 それでも立ち上がってくる赫夜に、恭司は、『ブライトグラディウス』を手にすると、『バーストダッシュ』で勢いをつけて赫夜の星双頭剣を破壊しにかかる。
(星剣を破壊すれば、赫夜の攻撃力を封じることができるはず…!)
 しかし、星双頭剣は思った以上に鋼に強く、赫夜は左右に分かれた双頭剣を上手く使い、恭司のブライトグラディウスのダメージを分散させてしまうと、そのまま、恭司の剣をぐい、と力を入れ、流してしまい、その隙をついて、黒髪をなびかせて赫夜は駆け出し、ミルザム目掛けて星双頭剣を振り下ろそうとする。
 そこに、葉月 ショウ(はづき・しょう)が現れ、星双頭剣を『二刀流』で防ぎ、ミルザムを護りつつも、赫夜に語りかける。
「本当にミルザムを殺せば、彼女の…真珠の笑顔を取り戻せるとでも思っているのか? 彼女が正気を取り戻した時、あんたがミルザムを殺した姿を見て本当に笑顔が戻ると思うのか?」
「ショウ殿。それが私に課せられた使命…真珠の笑顔は真珠自身の魂が戻ってこないかぎり、二度と見ることはできない。…私は決めたんだ。真珠より、大切な人間は、今の私にはいない。そして、真珠のためにできること、それをやり遂げようと! そのためなら、どんな罪も犯す! 許してくれ!」
「そんな悲しい話、すんじゃねえよ!」
 ショウは『二刀流』の構えで赫夜に切り込むが、赫夜はあえて直接対立を避け、体をすっとかがめるとショウの横を目にも止まらぬスピードで駆け抜ける。
「お兄ちゃん! 僕が赫夜さんの足止めをする!」
 ガッシュ・エルフィード(がっしゅ・えるふぃーど)は、シャープシューターで赫夜の足元を撃つ。
「つぅ!」
 赫夜のつま先にシャープシューターが命中するが、強化スーツのおかげか、かすり傷程度だったが、さすがに少し出血しているようだった。だが、それでも赫夜はミルザムに向かって一直線に走ってゆく。
「ミルザム殿! お覚悟!」
 しかし、ミルザムもするり、とそれを交わすと、回し蹴りの要領で赫夜の脇腹に蹴りを入れる。
「う!」
 一瞬ぐらり、となる赫夜だったが、身に纏っている強化スーツのおかげか、それほど激しいダメージは受けていないようだった。
「甘い!」
 赫夜はそういうと、ミルザムに剣を振るう。
「そうはさせません!」
 そこに陽太がミルザムと赫夜の間に割り込んで、腕を広げミルザムをかばった。
「陽太殿!」
 赫夜は、このままでは陽太を袈裟がけで斬ってしまう、と瞬時に判断し、ギリギリのところで剣を止めるが、陽太の体にはうっすらと傷が入り、血がほんの少しにじみ出た。
「う…」
「陽太さん、なんて無謀なことを!」
 ミルザムが陽太の肩を抱こうとするが、陽太はあえてそれを振り切り、腕を広げた状態で、赫夜とミルザムの間に立つ。さすがの赫夜も、大人しいはずの陽太の瞳に宿る信念に怯んだ状態で、立ちすくんでしまう。
「赫夜さん…こんなこと、止めて下さい! …みんな、みんなの力を借りれば、ミルザム様を殺さなくても良い方法が見つかるはずです…」
「…」
 赫夜はその言葉にこころを揺るがされたが、再び、真珠の声が頭上から振ってくる。
「姉様、そんなことができると思っているの? みんなで力を合わせる? 何を言っているの? 姉様、あなたが『真珠』を救えるのはミルザムの首を取った時だけよ!」
 ケタケタと笑いさえ発する真珠に、赫夜は
「陽太殿、済まない!」
 そういうと、陽太のみぞおちに拳を打ち込むと、うう、と声を上げて、陽太は失神してしまった。