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【十二の星の華】ゴアドー島を襲うもの

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【十二の星の華】ゴアドー島を襲うもの

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第1章 いざゴアドー島へ

 ゴーレム退治をしてほしい。
 エメネア・ゴアドー(えめねあ・ごあどー)のそんな言葉に集まった学生たちは、彼女と共に、空京南西の孤島ゴアドーへと向かった。
 ゴアドー島へと向かうにあたり、またバーゲンで買った品物が増えているのではないかと道明寺 玲(どうみょうじ・れい)は危惧していたけれど、エメネアも状況を分かっているようで、バーゲンには行っていなかったようだ。

「ねえ、エメネア。少し聞いてもいいかしら?」
 ゴアドー島へと辿り着き、神殿に向かいながら、シオン・エヴァンジェリウス(しおん・えう゛ぁんじぇりうす)はエメネアへと声を掛けた。
「何でしょうー?」
 エメネアは、答えられる範囲であれば何でも聞いてと言った顔でシオンの方を向く。
「まずは……、地下の詳細ね。どういうところなの?」
「地下へと降りていく階段が続いた後、細長い通路があるのですよー。その途中で、ゴーレムたちに敵と間違われて、慌てて逃げ帰ってきたので、その先に何があるのかは分からないのですー……」
 地下への入り口はバーゲンの戦利品を片付ける場所を探していたところ、偶然見つけたのだと、エメネアは付け足した。
「そうなの。ゴーレムが誤作動を起こす前後のエメネアの行動は……」
「地下通路を歩いていただけです。怪しいスイッチに触れたとか、変なパネルを踏んだとか、そういうことはしてませんー」
 涙で瞳を潤ませ、エメネアは「信じてくださいー」と告げる。
「通路の先にスイッチやパネルがないことを確認しないからには、何とも言えないわ。でも……それを信じるとするなら、本当にただ、ゴーレムたちはエメネア、アナタを敵と認識したから、動き出したということになるわね」
 シオンは何度か頷きながら、呟く。
「そうなのですよー」
 エメネアも力強く頷いた。
 その様子を見て、シオンは使い魔のカラスたちを使って、パートナーに質問と答えの内容とを伝えた。
「またあなたなのね、エメネア……」
 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は呆れの混じったため息を1つ吐き出しながら、言った。
 以前、蒼空学園の女子寮が城へと化けたときも美羽は友人を救うため、騒動に巻き込まれたのだ。
「起こったことを嘆いても今更だし、困っているなら放っておくわけにはいかないしね……ただ」
 美羽は両手を握ると、エメネアの背後に回ってそれを彼女のこめかみへと当てた。そのまま、グリグリと力を入れていく。
「痛い痛い痛い痛いッ。ごめんなさいーーーッ!!!」
 こめかみを締め付けられて、エメネアは叫ぶように謝った。
「はい。おしおき、お終い」
 エメネアの言葉に、美羽はパッと手を離す。
「……と言うか戦えねえならなんでついてくるんだ。入り口で待機するんじゃ駄目なのか」
 夢野 久(ゆめの・ひさし)がエメネアへと訊ねる。
「地下通路の奥深くまで入る気はありません、扉の外側で皆さんを応援するつもりですー。それに、自分が招いてしまったことなのですから、最後のゴーレムが停止するまで、見届けませんと……」
「そうか。その心意気、買うぜ。護衛は任せろ」
 エメネアの返答を聞き、久は頷く。
(……ま、実際、ミスなんてのは誰だってしちまう時はしちまうもんだ。大事なのはミスらねえ事じゃなくて、ミスった時誤魔化したり逃げたりせずに、自分にやれる事をやる事だろ。エメネアは、アレだ、不完全とは言え閉じ込めるって次善はこなして、退治の依頼にも走ったんだから、最低限やるべき事はやったって言えるんじゃねえか?)
 久は1人、納得するように頷きながら、思う。
 移動しながら影野 陽太(かげの・ようた)は携帯電話を用いて、学園のコンピュータを操作し、ゴーレムとゴアドー島の地理地形について調べていた。
 ゴアドー島はジャングルが多いようで、神殿より外に逃がすと見つけるのも困難となりそうだ。討ち漏らしのないよう気をつける必要があるだろう。
 また、ゴーレムの特徴から調べてみるけれど、いくつか候補は出てきてもこれというものに絞ることが出来ない。それでも情報がないよりはマシだろうかと陽太は1つ1つのデータに目を通していく。
 陽太がそうしている間に、一行はジャングルを抜けて、神殿へと辿り着いた。
 エメネアの案内の元、地下通路へと繋がっているという大きな扉の前に向かう。