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ロマンティックにゃほど遠い

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ロマンティックにゃほど遠い

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第4章


 ――なんだろう、いつの間に蒼空学園は天国になったのだろう。


 そんなことをミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)のパートナー、高島 恵美(たかしま・えみ)は思った。
 だってそうだろう。

 今日はたまたまフランカ・マキャフリー(ふらんか・まきゃふりー)と共に三人でふらりと蒼空学園に寄っただけなのに。

「う〜ん、やわらかくておいしいぃ〜」
 片方の頬にはミーナがはむはむと噛みついている。

「あむあむです。とてもおいしいのです、あむあむ〜」
 もう片方の頬にはフランカがあむあむと噛みついている。

 こんな夢のような状況に遭遇できるなんて!


 ――それとも、ひょっとして自分は死んだのだろうか。


 本当の天国に来て、ものすごく幸せな幻を見せられているのだろうか。
 あまりに幸せすぎてそんなことを考え始める恵美。

 いや、それは困る。
 ミーナともパートナーとしてまだまだやりたいことはあるのだし。放っておいたらミーナはとても心配だ。

「はむはむ」
 そのミーナは今、自分のほっぺたに噛みついて今にもとろけそうな顔をしているわけだが。

 娘のように可愛がっているフランカのこともある。これからもミーナと三人で家族のように暮らしていけると思っていたのに。

「あむあむ」
 そのフランカも今、もう一方のほっぺたに噛みついてミーナと同様の表情をしているわけだが。

 ミーナは噛みつきながら、恵美の頭と言わず羽と言わずなでなでと撫でてくる。
 フランカもおかあさんおかあさんと恵美に抱き突きながらほっぺを噛むものだから、恵美はまったく身動きが取れない。


 そこに、鵠翼 秦に追いかけられていた月代 由唯が通りがかった。
「うわ、何この可愛い女の子ダンゴ。かーわいーい」
 喜び勇んでミーナやフランカ、恵美に次々と噛みついていく由唯。

 ミーナとフランカは恵美のほっぺに夢中で、由唯に噛まれている事すら気付いていない。
「ふにゅ? 何かくすぐったい?」
「おかさあさーん、おいしいですー」

 その二人がいるので恵美の頬は満席だ。なかなか恵美に噛み付けないでいると、恵美がぼんやりと訪ねた。
「――あの、ここは天国ですかぁ?」

 予想もしなかった突然の問いに、由唯はミーナのポニーテルをはむはむしながら答えた。
「うん、そう天国」
 由唯にとっては確かにそうなのだろう。無責任に言い放つ。
「あらぁ……やっぱり……どうしましょう、晩御飯までに帰れるかしら」
 友達の家じゃないんだから、と言いたいところだが、恵美自身もガスの影響でかなり判断能力が低下しているようだ。ミーナの撫でる手を取って、はむはむと噛みだした。

「大丈夫大丈夫、あと一時間くらいで解毒薬ができるって誰かが言ってたから。晩御飯までには帰れるって」

「あら、そうでしたか。では問題ないですねぇ」
 と、フランカの頬を優しく撫でる恵美。
「そうそう、問題ないない」
 と、こちらはフランカのツインテールをはむはむと噛む由唯だった。

「こっちは問題あるぞ!」
「やべ」
 やっと由唯に追いついてきた秦に追われて、再び逃げ出す由唯。

 後に残った三人は、つかの間の天国を楽しむのだった。


「う〜ん、甘くっておいしぃ〜」
「おかあさ〜ん、あむあむあむ」
「ミーナちゃんもフランカちゃんもかわいいわぁ〜」


                              ☆


 さて、状況が状況であるが、誰もが誰かに噛みついていたり、禁断症状に暴れたり、事件解決に乗り出したりしているわけではない。
 そんな例外中の例外が、師王 アスカ(しおう・あすか)である。


 そんな彼女がしていることといえば、スケッチである。
 パラミタ一の画家を目指して修行中の彼女、スケッチブックとペンは標準装備だ。
 新作の刺激を求めて蒼空学園を訪れ、この惨状を目の当たりにしたアスカはごく当然のようにスケッチを始めた。


「ちょ、ちょっとアスカ、何をしているんだ!」
 その状況に律儀に突っ込むのはパートナーのルーツ・アトマイス(るーつ・あとまいす)
「え、いやだって〜。一時間後にはこの状況は収束しちゃうわけだから〜。とすればもう描くしかないでしょ〜」
 事件解決など知ったことか、と自らにとっての最重要課題を堂々と優先させるアスカ。そのアスカをため息とともに見守るルーツである。
「やれやれ……そんなことばかりしているといつか天罰が……どうした?」
 どうした、とはもう一人のパートナー、蒼灯 鴉(そうひ・からす)に対しての言葉だ。
 こういう時に、真っ先にアスカに食ってかかるのは彼の役目なのだが、今日は妙に大人しい。

 顔を紅潮させ、アスカの耳を見つめている。


 そう、鴉もただいま話題の噛みつきガスに堂々と感染していたのである。


 そうか、感染すると噛みつきたくなるって、こういうことか。と鴉は思った。
 ふと周りを見ると、噛みついている男女の他に禁断症状に耐えかねて暴れている者もいる。いや、あんな醜態を晒したくはない。
 他には、暴れるとまではいかなくてもパートナーに対して普段からの不満を喚き立てている者もいる。冗談じゃない、確かに不満はあるが言葉でだってアスカを傷つけるのは御免だ。

 そもそも、アスカに対する不満とはしばらく前に自分がアスカに対して行なった告白の返事がもらえていないこと、なのだが。
 冷静さを取り戻すため、脳内で状況を整理する鴉。

 条件1:噛まないならば暴れるか叫ぶか。
 条件2:噛むとしたらアスカの左耳。
 条件3:噛んだとしたら後でアスカに殴られる。
 条件4:暴れるか叫ぶ、と後で殴られるのとどっちがマシか。
 条件5:そもそも俺の不満の捌け口としては、告白の返事をくれないアスカが悪い。

 この条件から導き出される結論として――。


「ひゃあっ!?」
 かわいい声を上げて、スケッチ中のアスカが悲鳴を上げた。
 ルーツが止める間もなく、アスカに左耳に鴉が噛みつき始めたのだ。
「ちょ、鴉、何して……ふにゃあっ!!」
 人目も気にせず、アスカの叫びにも耳を貸さず、鴉はひたすらにアスカの左耳を噛み続ける。

 どうやらアスカは耳が弱いのか、すっかり腰が砕けてしまってスケッチどころではない。
「うわぁ〜ん、ルーツぅ〜、は、早く解毒薬をもらって来て〜。このままじゃ恥ずかしくて死ぬわぁ〜!!」
 力が抜けて抵抗もできないアスカの耳を至福の表情で噛みつつ続ける鴉。

 アスカは辛うじて精神を集中し、パートナーである悪魔オルベール・ルシフェリア(おるべーる・るしふぇりあ)を召喚した。
「はぁいアスカ、どうしたの……って何やってんのよこのバカラスー!!」
 彼女は同じパートナーでありながらも、カラスとは犬猿の仲である。
 普段から『アスカの姉』としてアスカを溺愛していることもあり、放っておける状況ではない。

 だが。
「ガアアアァァァッ!!!」

 引き剥がそうとすると鴉がもの凄い研幕で威嚇してくるので、うかつに手出しできない。
「な、何よこれ……ルーツちゃん、いったいどうなってるの?」
「実は……」
 手短に状況を説明するルーツ。

「なるほど……で、このバカラスが速効で感染した、と」
 呆れ顔で頷くオルベールだが、鴉はともかくこのままではアスカが大変な目に会う事は分かっているので、協力しないわけにはいかない。
「分かったわ、お姉ちゃんに任せて!!」
 豊かな胸をぐっと張ったオルベール、ルーツと共に走り出した。
「では、とりあえず以前から噂があったらしいダイエット研究会に向かおう」
「そうね……お姉ちゃん行って来るから、待っててね!!」

 二人を見送ったアスカは、なす術もなくひたすら鴉に耳を噛まれ続ける。
「た、頼むわよ〜。……あ、だめだって鴉……うひゃん!! 耳は弱いんだって……うう、私の恋愛経験なんて果てしなくゼロなのに、なんでこんな目に〜……あぅん、やぁ、舌を使っちゃだめぇ〜」
 己の身に降りかかった災厄を嘆くアスカだが、一方の鴉はアスカの耳に噛みついてすっかり落ち着き、その柔らかな甘さを堪能するのだった。
「ふー……落ち着くなぁ……」
 ついでに、アスカの弱点が耳だと分かってちょっとだけ得した気分だった。
 うん、これは今後のネタに使えるな、と。


 アスカはというと、この事件が解決したらこれをネタに絵を描こう、と決心する。
 タイトルは『食欲の欲求不満絵図』だ。


                              ☆


「ちょっと、コラ……離れて! あー、もう! 変なトコ触ろうとしない!!」
 北郷 鬱姫(きたごう・うつき)はパートナーのパルフェリア・シオット(ぱるふぇりあ・しおっと)に噛みつかれながらも奮闘中だ。

「うふふ……うふふふふ……!!」
 幸せそうな笑みを浮かべながら、パルフェリアは鬱姫に抱きつきつつも頬や耳や髪などに一生懸命に噛みついている。

「いい加減邪魔ですよ……というかパルフェ、いつも以上にひっついているのは薬のせいですよね? まさか感染してるフリとかじゃないですよね?」
「んみゅう〜? はむはむちゅ〜」
 もはや人間の言葉が通じる相手ではない。

 というか、本当に感染していようがいまいが噛みつかれるわけで、状況に変わりはないのだが。

「うう……これは一刻も早く解毒薬をもらいに行かないと……」
 とはいえ、鬱姫とパルフェリアはそんなに体格差があるわけではないので、こうもべたべたひっつかれると邪魔でしょうがない。
 気が焦るばかりで、全く能率が上がらない鬱姫だった。

「そもそも……どこを探せばいいんでしょう……放送室か……それともダイエット研究会……」

 そこに月代 由唯が通りがかった。
「あら、これまた可愛いお嬢さん」

 鬱姫は咄嗟に助けを求める。だがパルフェリアが今度は顔面に抱きついてきたので相手が誰か見えない。
「あ、どこのどなかた存じませんが、この子をひっぺがすのを手伝ってください〜」

 しかし、由唯はふっと笑って、言った。


「え、どうして? こんなに可愛いんだから噛まないわけにいかないよ――そう、二人ともな! ふはははは!!」
 こいつも敵か!!


 まるでゾンビ映画の主人公になった気分で二人に噛まれながら、孤独な戦いを続ける鬱姫だった。


                              ☆


「――そうなんです、噂のあった『ダイエット研究会』だけれど。公式にはそういうコミュニティは存在しないんです」
 コトノハ・リナファ(ことのは・りなふぁ)は携帯電話でルオシン・アルカナロード(るおしん・あるかなろーど)と話しながら廊下を歩く。
 事件について調査に乗り出したコトノハは、パートナーであり伴侶であるルオシンにダイエット研究会についての裏付け調査を頼み、自分は放送室やダイエット研究会に直接乗り込もうとしていた。

「ええ。お願い――また後で」
 と、電話を切ったコトノハの背中に誰かがぶつかった。

「きやっ!」
 驚いたコトノハが声を上げると、後ろに西尾 桜子がいた。ダウジングに夢中になって歩いていた彼女はコトノハの背中にぶつかってしまったのだ。
「――あ、す、すみません。不注意で」
 相変わらず噛みついたままの西尾 トトを背負いながら、桜子は謝る。
「うう〜ん、桜子だいしゅきい〜おいしぃ〜」
 トトはというと、いよいよ遠慮なく桜子に噛みついている。
 その様子を見て、コトノハは微笑んだ。
「いいえ、こちらこそ。お怪我はありませんか?」
「は、はい……」
 ガスに感染した影響なのだろうが、こうも仲良くしているのは微笑ましい。トトが桜子を大好きなのも分かるが、それをとりあえずいいようにさせてくれる桜子もトトのことを嫌っていないということで。
 コトノハの相手も、今ここにはいないわけで。
 まあ率直に言うと、ちょっとだけ羨ましいなぁと言ったところだ。


 ――とその時。ドクン、とコトノハの心臓が高鳴った。


 ガスに感染したせいだろうか、それとも桜子とトトの仲に当てられたのか、突然ルオシンに会いたくなった。

「あ、あの……?」
 突然固まったかと思うと、虚ろな目つきでフラフラと歩き出したコトノハに呼びかける桜子、しかしもうその言葉はコトノハの耳には届かない。
「ねえトト……あの人、どうしたのかな」
「はむはむはむ」
 まあ、トトの耳にも届いていないのだが。


 コトノハは焦点の合わない目で中空を見つめ、ナタを片手にずるずると廊下を歩いた。
 そこら中にはところ構わず抱き合う男女。禁断症状に耐えかねて暴れる生徒。その間をずる、ずると歩き、自らもその禁断症状に耐えかねて暴れた。
 ナタで柱に斬り付け、他の生徒のように窓ガラスを割った。
 だが、それが何になるというのか。
 何にもなりはしない、ただ、ただ彼がいなければどうしようもないのだから。

「ああ、ルオシンさん……あなたは今どこで何をしていますか……」
 あなたの頼みごとで頑張っているところです。

 ともあれ、一人ずるずると校内を徘徊するコトノハだった。


 だが、思いのほか救いは早く現れた。ルオシンだ。
 パートナー特有の勘だろうか、それとも固く結ばれた夫婦としての信頼の絆だろうか、コトノハの精神的乱調を察知したルオシンが駆けつけたのだ。
「コトノハ、コトノハ! 大丈夫か!!」
「ルオシン……さん?」
 虚ろな瞳に光が戻ってくる。
 愛しい人が目の前にいる、その事実だけが彼女を救い上げることができた。

「ガスにやられたのだな……可哀想に」
 ルオシンは、コトノハをぎゅっと抱き締めた。
 ピンチに駆けつけてくれた彼は、コトノハの目にはいつにも増してキラキラと輝いていることだろう。
 涙ながらに症状の辛さを訴えた。
「ルオシンさん……私……その……噛みたい……噛みたいの……」
 ルオシンは心得た、と頷く。
「分かった、解毒薬が出来るまでの辛抱だ、思う存分噛みつくといい。例え噛みつかれたままであろうと必ず解毒薬を入手してみせる!」
 ああ、何という頼もしいパートナーだろう、とコトノハの瞳が歓喜に潤む。

「うれしい……」
 と、もう一度抱きついたコトノハ。
 では、とばかりに伸びた手はルオシンのズボンのベルトにかかるわけで。


「ちょっと待て。頬を噛むのに何故そこに手をかけるのだ、コトノハ」
「だって、私が噛みたいのはほっぺじゃないんですもの」
「――はい?」
 ルオシンさん、これにてイケメンタイム終了。


 コトノハは、ガスの感染のせいか、それともさすがに恥ずかしいのか、顔を少し紅潮させながら言った。ルオシンのベルトのバックルから20cmほど真下を指差しながら。

「私が噛みたいのは、その……ルオシンさんの、こうじょう、へ・い・き」
 うわー、奥様だいたーん。

「ちょっと待て! こんなところに光条兵器はついていない!!」
「えー? ついてるじゃないですかー、ちゃんと、か・た・い・の・が」
 硬状兵器か!!

「兵器ではないと言うのに!!」
「やだぁ……毎晩私を攻め落としてる、く・せ・に」
 あの奥様、そろそろそのへんで。

「だ、誰か!!」
「えー? いつもは舐めさせてくれるじゃないですかー?」
 奥様ー!! 奥様ー!!

 問答無用とばかりにルオシンのズボンごと本体を引っ張ったコトノハは、たまたま近くにあった保健室にそのままルオシンを引きずり込んで行く。
「たーすーけーてー!!」
「あははははははははは!!!」

 ぴしゃりとドアが閉まり、内側から鍵が掛けられた。
 保健室に飾ってあった花が一輪、ぽとりと落ちる。

 やけに長いルオシンの悲鳴が廊下に響き――そして止んだ。


 ――合掌。


                              ☆


 蓮見 朱里(はすみ・しゅり)とパートナーのアイン・ブラウ(あいん・ぶらう)は恋人同士、しかも養子を二人も抱えているということもあって、周囲からはもはや夫婦同然の扱いを受けている。
 本人たちもそのつもりで、こう言ってはなんだが普段から周囲も呆れるほどのラブっぷりを見せつけている二人である。が、さすがに今回の事態は想定外だった。

「だ、大丈夫、アイン?」
「――ああ、何とか――」
 額から油汗を流すアイン。いち早く事件解決に向いたかったが、アインが感染してしまったのでそうも行かなくなってしまった。
 アインは当然のように朱里の頬を噛みたいのだが、もとより騎士道精神に溢れるアインのこと、いくらガスのせいであっても人前で朱里に噛みつくなどできるはずもない。
 そのような姿を衆目に晒すこともできないし、それで朱里に恥ずかしい思いをさせるわけにもいかない。

 そこで、どうにか二人きりになれる場所を探そうと、二人で校内を奔走していたのだ。
 押し寄せる禁断症状を、朱里お手製のハート型クッキーをかじりながら耐えるアイン。

「そうだ、保健室! あそこならば内側から鍵もかかるしベッドもある!」
 ベッドがあったらどうするつもりだというのは、この際突っ込まない方向で。

「そうね、そうしましょう」
 学園内であるとかはこの際言っていられない。人目さえなければと朱里は頷く。

 そこでふと、思い立った。

 今感染しているのはアインだ。そして恋人である自分を噛みたがっている。
 自分はまだ感染していないが、仮に感染しても噛みつくのはアインだから問題ない。
 しかし、他の人はどうだろう?


 仮に、自分以外にアイン以外にほのかな想いを寄せている生徒がいたら、我慢できなくなって噛みつきに来るのではないか?


「だ、駄目よ絶対駄目!! アインを食べていいのは私だけなんだからーっ!!!」
「ぬぅ、いかん!! 朱里は他の男になど渡さないぞ!!!」
 どうやらアインも同じことを考えていたらしい。

「アイン、逃げましょう!!」
「逃げよう、朱里!! 二人だけになれるところに!!」
 女房焼くほど亭主もてもせず、と言いましてですね。

 若い二人にはそんな言葉は聞こえない、手に手を取って保健室に駆け出した。
 保健室のドアに手を掛け、ガタガタと揺する。


「開かない、そんな!?」
 残念!! 今そこは戦場だ!!


「負けるものか! 行こう朱里、二人の愛の巣へ!!」
「ええ、アイン! 私どこにでもついていく!!」
 アインは、朱里をお姫様だっこで抱え上げると、そのまま二人きりになれる場所へと走り出すのだった。


 いやあ、若いっていいですね。