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リアクション
屋上攻防戦
ここにきて脱落者を知らせるランプが一気に灯り始める。
『どうやら双方に変化があったようです』
『青鬼』『赤鬼』の両軍の衝突があったのを伝えるシズル。マリエルも脱落者の名前を読み上げるのに忙しくなった。
まずは『赤鬼』の防衛から見ることにする。
スクリーンに屋上に至る階段の上に『赤鬼』と下に『青鬼』と別れての攻防戦が映しだされる。『青鬼』たちがフラッグへの突撃を開始したのだ。
しかし、『赤鬼』の由宇の二丁拳銃による乱射と、アクアの《弾幕援護》《シャープシューター》などによって、『青鬼』たちは階段で立ち往生していた。
「くそ、これじゃ近づけないぞ!」
物陰に隠れて忍が喚く。洋介、孫市、信長と奇襲を掛ける算段だったが、これでは近づけはしない。打ち下ろされる側は完全に不利だ。
しかも、問題はそれだけではない。大地が防衛を去り際に設置して行った罠が進軍を拒んでいた。
「だれだよ。クレイモア地雷を所狭しに置いた奴は!」
階段の両端一段一段に並ぶ『只』に洋介もウンザリする。
クレイモア地雷といっても本物ではない。指向性対人地雷の中身には鉄球の代わりに『豆』が大量に詰め込められている。爆発すれば広範囲に炒り豆が飛び散る仕組みとなっている。攻撃面積の広さ故、かかればマーカーを守りきれない。アクアのご所望通り、えげつないトラップだ。
「どうしたですぅ。まだまだ、これからのですよっ!」
由宇が上から挑発する。敵に身を晒しているのに豆が当たる気配はない。《風の鎧》と《超感覚》によって攻撃を回避するだけでなく、アクアの《弾幕援護》が由宇に飛んでくる豆を撃ち落としていく。その他の生徒もここぞとばかりに『青鬼』たちを狙ってくるのだった。
「私もここで降りるのは危ないかな……」
迷彩をして飛行翼で空から『赤鬼』の防衛を様子見る加夜も、攻め時を伺って滑空していたが、なかなか降りて攻撃することが出来ない。今気付かれたら確実に撃ち落されてしまう。
更に襲撃を渋っているのは彼女だけではない。一つ下の階にある教室から奇襲を伺う彼女たちもそうであった。
「主よ、今行くのはあぶないのでは……」
マビノギオンが忍者スタイルで決めようとする郁乃を制止する。
「鉤縄使って天井に上る乗って忍者らしいじゃない。やらせないさいよ!」
「今言ったら返り討ちに会います! それにこの上は天井じゃないです!」
マビノギオンには天井に上がって直ぐに撃ち落される忍者の図しか頭に浮かばなかった。
「このままじゃらちがあきませんわ。どうしますの信長公?」
信長の罠解除のおかげでここまでこれたが、ここからは彼女一人の《ピッキング》に頼るわけにはいかない。しかし、戦国の世を生き抜いたその知略には頼らざるをえなかった。
「うむ……忍よ。あのくれいもあとはどういう仕組みじゃ?」
「正面に近づいたモノに反応して爆発するんだよ」
忍が簡単に説明する。しかしそれだけで、信長が策を練るには十分だった。
「おい、そこのおまえ! 手隙ならその手を貸せい!」
『赤鬼』の防衛に刀で応戦して、手が空いてはいない秋日子を、信長は作戦に使おうと呼びつけた。
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