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砂漠のイコン輸送防衛前線

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砂漠のイコン輸送防衛前線

リアクション

《損傷した機体は下がるのじゃ! 消耗したワイバーンやペガサスも休め!》
 イコン部隊の最高尾を六天魔王で守る信長が指示を下す。攻撃は忍に任せて、地上から戦況を読み、防衛隊の指揮に集中していた。
 しかしながら、何人か突っ走て、前線に行き過ぎているのが居いるため、信長は「うつけが」と愚痴を零していた。
 その一機がジガンの晃龍オーバーカスタムだった。
「アギャギャギャギャギャ! いいぜ! いいぜぇ! こいよぉぁああ!」
 近づく敵をサーベルとライフルで迎え撃つ彼だが、自機の損傷はお構いなしに、攻撃に専念する。
 同乗するエメトは彼に酔心して、
「あはぁぁぁ、マスターかっこいいよぉおおおお、カッコ良すぎて、ボク濡れてきちゃってるよぉ!」
 と、こちらもこちらでネジが外れている。
 一機のイーグリット・アサルト脚部を破損し倒れるのを見ると、その機体をワイヤーロープで捕まえ引っ張り寄せた。
「まあぁだ、動いてんじゃねぇええか? 全然コワレてねぇえええじゃねえか!」
 完全破壊に至ってない敵機に不満なのか、マウントポジションをとると、執拗に機体を殴りつけて、装甲を剥がしていく。
 と、殴っていた右腕が切り落とされた。敵機のサーベルが肩部のジョイントを切り落としたのだ。
「あ?」
 ジガンの表情が固まる。
 機体をマウントポジションから起こして、敵機のサーベルを踏み潰すと、切り落とされた、機体の右腕を拾い上げた。
 そして、イーグリット・アサルトのコックピット目がけて、右腕を叩き付けた。
「やるじゃねぇか、やるじゃねぇか、やるじゃねぇえええか! 壊れかけの癖によぉおおお!」
 コックピットが壊れようが、右腕が修復不可能になろうが、お構いなしに、ジガンの攻撃はエスカレートした。
 後ろでエメトが「あぁ……、もう我慢できないよ――」と、放送禁止用語を口走り始めたのだが、彼の耳には全く届いていなかった。
 
「お、なかなかオレの好みだ」
 空から降りてくるジーナを見て、フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで)がそう呟いた。付け加えて、女だったらとも呟いた。
 ミスファーンを休ませるため、ジーナがトレーラーの荷台に降り立つ。
「すみません、代わってください」
「わかった。いくぜ、グランツ!」
 フェイミィがナハトグランツに跨り、空へと駆ける。狙うは敵のリーダーだ。
《フェイミィわかっていると思うけど、リーダーは殺しちゃダメよ》
 リネンが通信で注意する。
 二人にとっては知りたいことがある。それは、今戦っている敵が、フリューネを襲った鏖殺寺院の仲間かどうかということ。敵の姿は、鏖殺寺院のパイロットの姿だ。もしかしたら、そうかも知れない。だったら、容赦するわけにはいかない。
《わかってるよ。それよりも、帰ったら一緒に風呂はいろうぜ》
 エロ親父思考でお下劣なフェイミィがそれ以上のことを望んでいるのは分かっている。だから、リネンは彼女にこう言った。
《……エロ鴉》

「ララ、突出しすぎなのだよ。もっと連携を……」
 リリはメインパイロットのララにラルクデローズが前線に出過ぎていることを注意する。トレーラーの近くで防衛していたはずが、いつの間にか前に出てしまっていた。
「練度ではこっちが上さ。本体に届く前にできるだけ潰すんだ」
 意気込むララは言う事を聞かない。マジックソードを振るい、トレーラーへと迫る敵の背後の機晶エンジンを貫く。機体の俊敏さを活かした戦いをする。
 しかし、俊敏さを追求した機体故に、装甲が薄い。隙をつかれて、キラーラビットからのミサイルの直撃を受けてしまう。
「くぅ、バランサーに被弾……戦闘速度を維持できないのだ」
 機体の損傷を確認し、ララが呻く。
 だが、リリはまだ戦うことを諦めてはいない。
「いや、まだだ」
「何を言っているのだリリ、この状態で戦うのは無理なのだ!」
 機体制御が効かなくなったラルクデローズでは、戦うことはできない。それはララも分かっていた。だから、別の方法で戦う。
 ララはモーショントレースを解除し、コックピット開けると、
「リリ、ラルクでローズを安全に下ろしてくれ、私は……」
 コックピットから空中へと飛び出した。そして、彼女は叫んだ。
「来い! ヴァンドール!」
 砂漠にララの声が響くと、落ち行く彼女の元へ【ワイルドペガサス】が宙を駆けてきた。
「行くぞ、ヴァンドール! 賊を倒すのだ!」
 ヴァンドールを駆り、ララ再び戦いにいく。