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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 後編

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太古の昔に埋没した魔列車…エリザベート&静香 後編

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第11章 お掃除も運搬も体力仕事

 アダマンタイトの精錬が進んでいる一方で、パラミタ内海の方では・・・。
「これだけあると、フジツボもあなどれないですね・・・。でもっ、ボクは負けません!」
 駅の予定地へ列車を運搬する前に、捨て場に困るそれを処理しようと忍が奮闘している。
「ここもフジツボがすごいよっ!」
 ミルディアたちの方は、客車の上や外側をてきぱきと拭き掃除をしている。
「後で取ってあげますねー。やたらガリガリ取ると、傷ついちゃいますし」
「うん、そっちは任せるよ」
「中の除去は終わりましたので、拭き掃除お願いします!」
「おっけ〜♪」
 りゅ〜ちゃんの背中をぴょんと乗り、社内の中へ飛び移る。
「モップに海水を染み込ませて、海に返しちゃえっ」
 拭き掃除を済ませてバケツの中でモップを絞り、その海水を浜辺へざばっと捨てる。
「もう1回、外側のお掃除をしようかな。ん?わぁっ、もうピカピカ!?」
 ミルディアがバケツと雑巾を持って外に出ると、すでに忍がキレイにし終わっている。
「じゃあお洗濯でも・・・。あれ、カーテンとかは?」
「洗えそうなのはもう、洗濯機で洗って干してありますよ」
 改めて殺菌掃除してくれる人たちの手間を省こうと、至れり尽くせりで洗濯機を用意し、カーテンなどはすでに洗濯済みだ。
「早くイコンで運搬してもらっちゃおう!」
「えぇ、アキラたちに声をかけてきますね」
 そう言うと忍は浜辺でジャイアントピヨと待機しているアキラの元へ走り寄る。
「ひとまずお掃除を終えたので、駅の予定地への運搬をお願いします!」
「登山用ザイルはどこかな?」
「こちらにお拭きしておきました!」
「おー、さすがっ。列車とピヨに巻いて出発するかー」
 アキラはさっとザイルを車体にくくりつけ、ジャイアントピヨの胴体にも巻きつける。
「すぐ戻ってくるかな、グラキエス。心配しなくても大丈夫だぞ」
 さらに弟との距離が離れることになったベテルハイトの方は、必死に涙を堪えている・・・。
「あぁ、こっちは平気だから行ってきてくれ」
「グラキエスの元へすぐ戻ってくるから、いい子で待っているのだぞ!」
 テーブルから“ご自由にお持ちください!”と書かれた包みの弁当を手にし、一刻も早く弟の元へ戻るべく、イコンに乗り込む。
「2両目のために、再び戻ってくる必要がありそうだ」
 コアも再びイコンに搭乗し、列車の運搬を手伝い、賑やかすぎるメンバーと共に駅の予定地へ向かう。



「むー、これは2両目を運んだ後、私はカムバックしなければなさそうだ。皆はどうする?」
「もうすぐで発掘が終わるっていうし、ピヨを休ませたら考えおくよ。話の流れからして、その4両分も必要みたいだし」
 アリスを肩に乗せながら、のーんびりとした口調でアキラが言う。
「私は・・・グラキエスが来たいというのなら・・・。というか、早く会いたいぞ!」
「へっ?あわぁあ!そんなに速度をあげると、ヨンが追いつかないよ」
「待ってください〜っ」
 ヨンは必死に追いつこうとするが、早すぎてなかなか追いつけない。
 予定地へ列車を下ろした時には、ヨンはジャイアンヨピヨに寄りかかり、2両目の運搬にはついてゆけず、しばらく休憩するしかなくなった。
「ん〜、1人にしておくわけにもいかなしなー・・・」
 彼女を方っておけず、アキラもひとまず休むことにした。
 2両目の運搬は、エヴァルトと祥子のパートナーのイコンで手伝うことになり、それもとある弟を思う兄が速度を上げたため、全速力で運搬したという・・・。
「・・・しまった。垂直離着陸ってものすごく燃料使うんだっけ。イコンのガス代がぁぁー!・・・歩いて帰る分には、機晶石からのエネルギー供給でなんとかなるかなぁ・・・」
 その行動の影響もあってか、エヴァルトが搭乗しているイコンの機体エネルギーのメーターがナイに等しくなっている。



「磯の香りがしてきたね。もう運搬終わったのかな?」
 超感覚で犬耳と尾を生やした清泉 北都(いずみ・ほくと)が魔列車へ駆け寄る。
「おや、キレイになっていますよ?」
 もう掃除が終わってしまったのかと、リオン・ヴォルカン(りおん・う゛ぉるかん)が首を傾げる。
「皆、海の方に戻ったから伝言伝えるよ。あらかたキレイにしたけど、殺菌消毒はまだだって。向こうでやると、海とか汚す原因になるからだってさ」
「確かに、薬品を散布するわけにもいきませんからね」
 アキラの言葉になるほど、と頷く。
「ここも湖が近いけどね」
「掃除に使った水は、ヴァイシャリーの別邸の流し台に捨てるってことじゃないですか、北都」
「バケツを台車に乗せて運べばいいかな?」
「ですね、ではお掃除を始めましょう」
「掃除の基本は上からだよ」
 宮殿用飛行翼で飛びながら、天井に殺菌スプレーをかけて雑巾がけをする。
「私は北都がキレイにした後、下をお掃除しますね。つるつるにしてあげましょう」
 きゅっきゅとモップで吹いた後、ワックスがけをする。
「窓を外してしまうんですか静香校長」
「うん、割れてるけど溶かして作り直せば使えそうだからね。業者に頼もうかと思っているんだよ」
「ちょっと映させてもらってもいいですか?」
「えっ?うん、いいよ」
「ありがとうございます!月夜、掃除を止めさせてしまっていますから、早く映してください」
 修理前の姿をカメラに映しておこうとした刀真は、今撮らないと次ぎの機会は永遠に来ないと思い、月夜に撮らせる。
「急げって言われても!いっぱい映したわ」
「ご協力ありがとうございました!」
 邪魔してはいけないと刀真たちはサッと去っていく。
「僕も急がないと工事に間に合わなくなっちゃう」
 桜井 静香(さくらい・しずか)は壁の消毒をしながら、再利用する物をヴァイシャリーの別邸に運び、業者に送り依頼する。
「静香校長、いったり来たり大変だね・・・。僕も日が沈む前に頑張ろうっと」
「(ほとんど2人きりなんて!?どういう状況ですか、これは・・・。いえいえ、ここは我慢しなければ!)」
 可愛いわんわんの彼とほぼ2人きりだが、雑念を捨てて掃除に集中する。
「海藻類だけでなく、フジツボもありませんね?」
「それあると怖いよね。びっしりいるとかイヤすぎるよ」
「ということは、向こうで除去して海に捨てたということですか」
「海産物は捨てちゃっても大丈夫だと思うけど。こっちだと処理に困っちゃうからね」
「でも北都、フジツボは美味しいみたいですよ?」
「うーん、僕は遠慮したいな」
 運転車両の煙突のような部分を拭きながら、イヤイヤするように首を左右に振った。。