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刮目! アイドル大喜利!!

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刮目! アイドル大喜利!!

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大喜利試合其の壱

「さて、いよいよメイン・イベント。アイドル大喜利をお楽しみください!!

 チーム若草VS若松プロデュース! その勝敗やいかに? 各々4グループに分散、4回試合での対決です!

 各々のチーム、大喜利にて手に入れた座布団と失った座布団のトータル枚数で競います」」

アナウンサーが叫ぶ。

「第1試合は、俺が司会をさせてもらうでー」

壇上に置かれた日下部がマイクを取って舞台中央の、司会者席に座った。あい じゃわがとたとたと舞台上に登場し、自分より大きな出演者順に名の書かれためくりを運んできて日下部の横に配置、自分もその横にミニチュアの座布団を出して座った。観客席からその仕草に可愛い〜! という声が飛ぶ。
日下部の左右にチームごとの座布団が配置され、第1グループの出演者たちがチームごとに左右に分かれて次々と座った。揃ったところで全員が一礼し、試合開始である。

「えー、それではー。くじ引きの結果先攻はチーム若草や! まずは乙川 七ッ音君」

「はーい、私乙川こと『夢幻の奏者』は【お題:なぞかけ】で行きまーす。

 えーっと、レンズの汚れたカメラとかけまして、何かが詰まった笛と解きます」

「ほうほう、その心は?」

「拭(吹)けば撮れる(とれる)と思います。」

「なるほど〜! 座布団1枚!」

ちょっとテレながら喜ぶ乙川。

「お次は赤城 花音君、行ってみようか〜!」

花音は深呼吸して背筋を伸ばした。

(今後の乙川さんの活動に生かせるように、ボクはしっかりフォローしなくちゃ。

 うん、いつもの調子で突っ走るのは自重しよう)

「こんにちはー!
 
 846プロの正統派アイドル【静】の乙川さんと【動】の赤城 花音こと『陽射しの歌姫☆♪』の共演でーす。

 よろしくお願いします!」

ここで一息つくと、花音は言った。

「ボクが選ぶのは【お題:あいうえお作文】、ボクの名前の赤城 花音からです!

 あ:憧れの

 か:関羽・雲長

 ぎ:義の誠

 か:翔ける赤兎馬、千里を越えて

 のん:喉かなる太平への礎とならん

 ですっ!」

「なーるほど〜。関羽さんが好きなんやねー。

 歴史ネタで受けと言う点ではちーっと生真面目すぎるけど、きれいにきまってるから座布団1枚いってみよう」

日下部が言い、花音はぴょんぴょん飛び跳ねて喜んだ。

「お次は申 公豹君、いってみよかー」

公豹はひとつ咳払いをする。

「そうですね……私も【お題:なぞかけ】です。

 時計と時刻表 ……とかけて、鉄道サスペンスドラマ ……と解きます」

「ほー、なんか難しそうやね。んで、その心は?」

「日本が世界に誇れる、国民性の象徴です」

「んーっと、解説いりそうやな」

「ええ、つまりですね。日本の鉄道は時刻に正確ですから、鉄道サスペンスドラマを作ることができるわけです。

 時刻にいい加減では、アリバイが成り立たなくなってしまいますからね」

「なるほど。しかしこれは難しすぎて、いっぺんでわからんなぁ。

 残念ながら座布団はなしや」

「ちと ……難しすぎましたかな」

公豹は言ってふーむと考え込んだ。あい じゃわがちょこちょことやってきて、背中をポン、と叩いた。どうやら励ましているつもりであるらしい。

「えーと、そんでは亜城 奏(あしろ・かな)君!」

亜城が元気良く挙手する。セミロングの黒髪が勢い良く飛び跳ねるように舞った。

「はーい!! 亜城 奏ことアッカーナでーす。【お題:空京万博】で行きまーす。

 空京万博で、パビリオンに『雅羅パビリオン』と名前をつけました。

 雅羅だけに、災難に巻きこまれてまっさらになりました!」

「雅羅ちゃんに悪いやないかー。座布団没収や〜!」

日下部が言うと、亜城は絶叫した。

「ええええええええ!!!! 嫌だー嫌だーーっ!!!

 取れるもんなら取ってみろーーーー!! 発動っ! 丸虫ガーーーーーーード!!」

亜城は座布団を抱え込み、ダンゴムシのように丸くなる。

「あっはっはっはっは!!! 亜城君そのネタ面白いやんか!!

 おーし、そのなりふりかまわなさに免じて没収はなしや!」

亜城は抱きしめてくしゃくしゃになった座布団を伸ばし、笑顔でその上に再び座った。

「第一試合、第一グループのチーム若草はここまでです。

 続きましては若松プロデュース第一グループの攻撃です!」

アナウンスが響く。日下部が名前を読み上げる。

「えー、若松プロデュース一番手、クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)君」

クロセルがゆら〜りと立ち上がる。背後にごうごうと渦巻く炎が見えるようだ。

「言葉の魔法を研究する俺が、俄か仕込みの噺家に負けるはずがありません!!!」

日下部にぐいとカードを押し付ける。日下部がしばらくそれを凝視した後、読み上げる。

 「……『あいどりんぐストップ! アイドルばかり目立たせてなるものですか! 

 お茶の間のヒーローの実力を世に知らしめてやります!』ってなんやこれ、挑戦状かいな。

 ……こんなモン贈ってきたのに何であんたウチのアイドルと一緒におるんや?」

「瑣末なことはどうでもいいのです!! クロセルこと言葉の魔術師!

【お題:なぞかけ】で行きますっ!!

 アイドルのスカート」とかけて『司会の口上』と解くっ!!!!」

「……そのこころは?」

「どちらも短い方が喜ばれますっ!!!」

水を打ったように静まり返る会場。日下部の瞳がギラリと光る。

「ふっふっふ。クロセルさん。アンタは駄目や。

 ……座布団係の神崎君! 

 座布団没収してな、んでもって特性石座布団をクロセル君の膝の上に乗せちゃって〜!」

神崎が「震える魂」を発動させつつ、にこやかに石の板を台車に載せて引っ張ってきた。そしてクロセルの座布団を勢い良く引き抜く。

「はい、どうぞ〜」

笑顔とともに、板の間に正座したクロセルのひざの上に、どかっと石板を載せる。

「あ、え、ちょっ!! あうう……」

クロセルがうめく。神崎は没収した座布団を片手で皿回しよろしくくるくる回しながら、反対の手で台車を引いて舞台の袖に消えた。

「はい、つまんない輩は置いといて、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)君行ってみよう♪」

「DNAは一人多国籍軍だけど国籍は日本のルカルカ・ルーこと日向葵(ひなた・あおい)だよ。よろしくね♪

 でも本職はコレ!!」

言うやいなやすばやく抜刀し、両手に剣をつかんだまま軽々ととんぼを切りポーズをとった。

「シャンバラ国軍中尉でーす!」

さすがに本職は軍人。その構えに隙はない。真後ろにいたクロセルが、情けない表情でボソッと言う。

「……刺されるかと思いました」

ルカルカは満面の笑顔で答えた。

「注意してるもーん」

会場の空気が一気に緩む。そこで一息つくと、ルカルカは続けた。

「【お題:なぞかけ】でいきまーす!

 アイドル大喜利とかけて、飛空艇からの眺めととく!!!」

「ほうほう、その心は?」

「視界(司会)が大変素晴らしいのですっ!!」

破顔一笑する日下部。

「いいねーーいいねーー。ルカルカ君! ティン! ときた! 座布団2枚あげちゃおう♪」

「やったああああ!! 流石名司会だね♪」

ルカルカはすばやく納刀し、日下部を抱きしめると、そのまま身を翻して3枚になった座布団に華麗に飛び乗った。

「景気よくなったところで、レイカ・スオウ(れいか・すおう)君、いってみようかー」

呼ばれてレイカは深呼吸をひとつした。

(まさか未散ちゃんの応援に行った先で大喜利に参加することになるとは……

 会場に合わせて着物で来てよかったです)

彼女は飛び入り参加に近い形だったのである。

「は、はいっ! 【お題:なぞかけ】でいきますっ!

 ヴァイオリンの本体とかけて、試験前に爪を切らないと解きます。」

「お、レイカ君も謎かけか。して、その心は?」

 げんを担いで頑張ります!!」

「おおー、これは弦と験、かつぐも2通りの意味をかけた力作やな!!!

 座布団2枚いっちゃおう♪」

「ありがとうございますっ!!!

 そういえば、もしかしたら、今日って伝説の格闘技『MANZAI』は披露あるんでしょうか!?」

レイカは瞳を星でいっぱいにして、夢見るような表情を浮かべた。

「笑いの渦で大地を揺るがし…… 世界すら止めるというツッコミを、ぜひ見ていきたいものです!!」

盛大なるボケっぷりに、会場がわあっと沸いた。

「あー、レイカさん、それ、違うから……」

ルカルカが長々とレイカに耳打ちする。

「……そ、そうだったのですか」

レイカは真っ赤になって、高くなった座布団の上に座り込んだ。