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イルミンスールの怪物

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イルミンスールの怪物

リアクション

「敵の動きからしてここはまもなく放棄される。もし敵が生徒を連れて逃げてしまえば、その行方を掴むのは難しいだろう。そうなる前に俺たちが必ずケリをつける……!」

 森を領土とする妖精のような身のこなしで木々の合間を駆け抜けるレンが、敵に銃弾を撃ち込みながらそうつぶやいた。
 それに続く彼のパートナーノア・セイブレム(のあ・せいぶれむ)も、同じような軽やかな動きを見せながら意気込んだ。

「ここは冒険屋ギルドマスターの出番です!」
「期待しているぞ、ノア」

 と、レンは精神を集中させ、もうひとりのパートナーメティス・ボルト(めてぃす・ぼると)へとテレパシーを送る。

《メティス、おまえは警戒包囲網を構築しろ。敵を逃すな》
「了解です、レン。敵は決して逃がしません」

 レンからのテレパシーにメティスはひとりそう応えると、空京大学の豊富なデータバンクサーバーとユビキタスネットワークで繋がるテクノコンピューターを駆使して、アジト周辺の地形データの参照を始めた。

「よっしゃ! 片っ端からぶっ倒してやる!」

 三途川幽はそう意気込んで、呪文の詠唱を始める。
 そしてパートナーのリリア・ローウェを援護するように得意の呪文を敵に向かって放っていく。

「私も負けません!」

 リリアは手に持った大鎌を振るい、幽が倒し損ねた敵を相手に大立ち回りを演じている。

「ガルアァッ!!」

 と、鏖殺寺院の相手をしていたリリアの後ろから、ヴァリアントモンスターが飛びかかってきた。
 だが目の前の戦いに夢中になっているリリアはその存在に気づいていない。
 そんなことなどお構いなしに、異常なまでに大きな口を持ったそのモンスターは、リリアを飲み込もうと大口をあけた。
 だが、そのモンスターを貫く銃弾が空から撃ち込まれる。
 数発の銃弾を受けたモンスターは、短い悲鳴を上げながら地面を転がるようにして息絶えた。

「一丁上がり」

 機晶スナイパーライフルの狙撃スコープをのぞき込んでいる新風 燕馬(にいかぜ・えんま)がそうつぶやく。
 彼はフレアライダーに乗り、上空から仲間たちの援護に徹していた。

「燕馬、次はアイツです!」

 と、ロケットシューズを巧みに操る彼のパートナーサツキ・シャルフリヒター(さつき・しゃるふりひたー)が敵の動きに気づいて指示を出す。

「りょーかい」

 燕馬は手にした得物を動かして次の標的へと照準を合わせる。
 そんな燕馬の姿を見て、ローザ・シェーントイフェル(ろーざ・しぇーんといふぇる)はラスターブーメランを振り上げた。

「んふふー、お姉さんだって燕馬ちゃんに負けないわよー」

 ローザの手から離れたラスターブーメランが聖なる光を纏い、異形のヴァリアントモンスターたちを次々に屠っていく。
 そして仕事を終えると、ブーメランは弧を描いてローザの手の中に舞い戻ってきた。

「まだまだ行くわよ!」
「ろーねぇ、ろーねぇ! フルボッコなら、フィーアもお手伝いするぅ!」

 と、空飛ぶ箒シュヴァルべに跨っている魔法少女フィーア・レーヴェンツァーン(ふぃーあ・れーう゛ぇんつぁーん)がローザの側にやってきて、くるくると魔砲ステッキを振り回し始める。

「そ〜れっ、シューティングスター☆彡」

 そしてフィーアがそう言って”しゃらん”とステッキを振った。
 すると空からコンペイトウのような星が敵に向かって降り注いでいく。
 突然降ってきた謎のコンペイトウに唖然としながら、敵はやられていくのだった。

「ギィギャアァッ!」

 と、翼を持ったヴァリアントモンスターたちが空中にいる燕馬たちに気づいた。
 モンスターたちは潰れた鳴き声をあげて一気に空へと舞い上がり、鋭い爪を武器に4人へと襲いかかる。

「――残念ですけど、アナタ達は『失格』です」

 サツキは襲い来るモンスターたちに冷たくそう言い放つと、アクセルギアを使って目にもとまらぬスピードで動き出した。
 体感時間にしてほんの数秒。
 サツキがモンスターの群れの中を通り抜けたかと思うと、敵は緑色の体液をまき散らして次々と落下していった。
 超高速で移動しながら真空波で敵を切り刻む――彼女は超人的な肉体と超人的な精神を併せ持つトランスヒューマンだからこそできる荒業を見せた。

《サツキ、やるじゃないか》

 と、サツキの頭の中に燕馬の声が響く。
 燕馬は精神感応でサツキと繋がっていた。
 そんな燕馬は地上の敵を狙撃しながら、頭の中で言葉を浮かべサツキに指示を仰ぐ。

「まったく、燕馬は私なしでは何もできないんですね」
《ま、否定はしないよ。だから、ローザやフィーアへの指示も頼んだ》
「……しょうがないですね」

 そう言いながらも、サツキは嫌そうな態度を見せず、燕馬たちに指示を出した。