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荒野のピストルランチ!

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荒野のピストルランチ!

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「ちょっと待ちな!」

 酒場を出ようとしたアランとクライブを引き留めるアキラ。

「マスター、ヤン一家の館の見取り図はないか?」
「おいおい、それはさすがにないだろ」

 挑戦的にニヤリと笑い、注文したアキラに煉が突っ込みを入れていると、アキラの前に見取り図が出された。

「あんのかよ!?」
「これを使いな」
「これは……」
「助かる! ありがとな」

 見取り図をアキラから受け取り酒場から出るアランとクライブ。

「やっぱ言ってみるもんだよなー。なあなあマスター、先日発売されたばっかりの携帯ゲーム機で超人気ソフトがあるじゃん、そのテュルフィングの呪いってやつ。それはあるか?」

「また無茶な注文をするなー。俺も欲しかったけどさ、手に入らなかったんだぜ?」

 マスターは表情を変えずにテュルフィングの呪いのソフトをすっと出す。

「……マジかよ」
「うわーこれちょーほしかったんだ〜」

 大喜びするアキラと反対に、出されたことに絶句する煉。


 そこへ勢いよく駆けこんで来た白波 理沙(しらなみ・りさ)白波 舞(しらなみ・まい)カイル・イシュタル(かいる・いしゅたる)の三人。

「セーフ! どうやら間に合ったみたいね♪」
「良かったわね〜、時間ギリギリだったからもうランチタイムに間に合わないかと思っちゃった」

 理沙と舞は周りの騒動を気にしてなさそうな態度でカウンター席に座る。

「理沙、舞。ランチタイムはいいが……後ろの状況には気付いてないのか?」
「後ろの騒動? ええ、気付いてるけど? そんな事より今は食べる事が先決よ。ほら、腹が減っては戦は出来ぬっていうでしょ?」
「そんなことより折角間に合ったんだから限定ランチを注文しなくちゃ。早くしないとランチタイムが終わっちゃうわ! この為に来たのに頼めなかったらお話しにならないもんね」
「だが……」
「だがも、しかしも駄菓子も良いの。何か後がいつも以上に賑やかな気がするけどまずはランチを食べてからよ。料理が冷めて不味くなっちゃったら勿体ないじゃない!」
「そ、そうなのか…? う、うむ……わかった。」
「ってことでマスター、限定ランチ3つちょうだい!」



◇          ◇          ◇




「マスター、ごちそうさま」

 とんこつラーメンを食べていた村雲 庚(むらくも・かのえ)はお金を払って酒場を出ていく。ヤン一家潜入のために。

「兄さん、やっぱり僕たちも」
「あぁ。さっきの人が苗を持っていったが、だからといって俺たちが行かなくて良い理由にはならない」
「だよね。でも、この状態じゃ……」

 バーニィは縛られている縄を見る。そこへライオンサイズのマンチカンっぽい七殺の獅子がじゃれてくる。

「うわっ」
「あぁ、すまんな。うちの獅子が」

 エヴァルト・マルトリッツ(えう゛ぁると・まるとりっつ)が兄弟の縄を外す。

「びっくりしたぁ」
「縄を外してくれたのは感謝する。バーニィ、行くぞ」
「待て。おまえら、こいつの面倒とランチ代を受けてくれるなら手を貸しても良いぞ」
「本当か?」
「大丈夫なの? 爪とか牙とか……」

 エヴァルトは頷く。

「爪や牙を出すことはないからそう不安がるな。……多分だけどな」
「多分かよ」
「貸してくれるの? 乗り物」
「あぁ、俺の自動車で」
「それなら俺の小型飛空艇を使えば良い」

 エヴァルトの言葉を遮り、如月 佑也(きさらぎ・ゆうや)がエヴァルトたちの会話に入ってくる。

「ただし、俺たちも取引に同行させて貰うぞ」
「どっちの乗り物でも構わん。俺たちはアレを届けてノノンを助けないといけないんだ」
「なら、おまえの小型飛空艇のほうが良いな」
「よし、決まりだな」
「ありがと、お兄ちゃん!」

 酒場の外に出ると、佑也は狂血の黒影爪の能力でバーニィの影に潜んだ。
 佑也の小型飛空艇にエヴァルトとダッドリー兄弟が乗り込み、ラグナ・オーランド(らぐな・おーらんど)鞍馬 楓(くらま・かえで)がレッサーワイバーンに乗ると、大吾とアリカが声をかけてきた。

「ねぇねぇ、キミたち今からヤン一家の館に行くんだよね?」
「俺たちも一緒に行かしてもらえないか?」
「良いんじゃないか? 人が多い分には越したことないしな」

 大吾とアリカを乗せた小型飛空艇がヤン一家の方へ飛んで行った。