First Previous |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
Next Last
リアクション
フェンリルたちが追いつめられていた頃、魔剣スレイブフォーリンラブとは無関係のある珍事が、空京の一角で起ころうとしていた。
その発端となるのは、やはりミスド前であった――
「あれ……こんな所に変な剣が落ちてるぞ?」
「どうしたの、和輝?」
パートナーのアニス・パラスが佐野和輝の視線の先を見ると、そこには魔剣スレイブオブフォーリンラブにそっくりな剣が落ちていたのです。
「うーん、どこかで見たことがあるような……?」
和輝は首をかしげながら、もっとよくその剣を見ようと拾い上げようとする。
「か、和輝ダメだよ! その剣なんだか怪しそう……」
アニスがそう言うが、和輝はそのまま剣を手に取ってしまった。
「大丈夫だよ、アニス。ほら、別に手にとっても何ともないし」
しかし、和輝がそう言った瞬間でした。
「にゃあー! 和輝だーい好き♪」
突如アニスが和輝に抱きつき、甘えてきたのです。
「うわっ! 急にどうしたんだよ。って、街中でそんなにくっ付くな。だ、やめろって」
「にひひ〜っ、和輝のことだーい好きだからやめないよぉ♪」
和輝とアニスが2人でイチャイチャ? している所に、さらに別の人間がやって来たのがさらなる不運の始まりだった。
「か、和輝さん?! 白昼堂々から何をしていらっしゃるのですかっ!」
日ごろから和輝と親しくしているルーシェリア・クレセント(るーしぇりあ・くれせんと)が、その様子を目撃していた。
「ル、ルーシェリア?! いや、これは違うんだっ!」
「違うって何が違うんですかっ! ……あ、もしかしてその片手に持っているのは噂の?」
(たしか、その剣の所有者を見た女性は恋におちてしまうという、魔剣スレイブフォーリンラブ?! という事は、私もアニスのようにあんなことを? ああ……でも、それもいいかもぅ……)
「か、和輝さん大好きですぅ!」
ルーシェリアは思い切って和輝の胸に飛び込んだ。
(ま、魔剣のせいだから恥ずかしくないもんっ!)
「あれ? 和輝さんにアニスちゃん、それにルーシェリアちゃんまで一緒でどうしたの……それにしても最近、和輝くんって格好良くなったよね」
そこに、またしてもたまたま通りかかった東峰院香奈と、
「なんか今日の和輝……妙にイラつくな」
そのパートナーである桜葉忍と遭遇した。
「さ、さっきから、みんな何なんだよ!」
しかし、それだけでは終わりません。
「ああ、佐野和輝……あなたはどうして和輝なのですか?」
何故か頬を赤く染め、ふらふらとした足取りのパルマローザ・ローレンス(ぱるまろーざ・ろーれんす)と、
「だ、駄目だってパロマローゼ! そんなに赤ワインを飲んだ後に外を出歩いたらっ!」
そのパートナーであるリアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)もやって来たのだ。
「むぅ! 和輝はアニスのものなんだからねっ!」
アニスが和輝の傍にいる女性陣+パロマローゼに対して、広域魔法を発動させる。
「あわわ〜危ないですぅ!」
慌てて和輝と共にその場から避難しようとするルーシェリアに、
「……チッ! 絶対領域を使わせて貰うわ」
スキルを発動させて自分と和輝を守ろうとする香奈に、
「香奈に手を出すなああああ!!!」
自分の恋人を奪おうと? する和輝に、大剣ウルフアヴァターラ・ソードから繰り出す乱撃ソニックブレードをお見舞いしようとする忍に、
「ハンマー……大乱闘では本当に強いですね……実に素晴らしい」
氷術で作った、何故か振るとピコピコと音が鳴るハンマーを和輝目がけて振りかざすパロマローゼに、
「ええ? 私はどうすればいいの?! と、とりあえず、パロマローゼを止めなくちゃ!」
サンダークラップとサイドワインダーを駆使して超強力な電気玉を作ろうとするリアトリス。
それぞれの思惑が入り混じった大乱闘が始まろうとした時――
「あ、私のスレイブオブフォーチュンRだっ!」
すべてを打ち破る一言が、最後に現れた小鳥遊美羽の口から放たれた。
「「「え?」」」」
その場に居た全員が、和輝の持つ剣をマジマジと見つめた。
「ありがとうございますっ! どこかで落としちゃって、ずっと探してたんですよね!」
「この剣が目に入っているのに何ともない……って事はこれ、魔剣じゃないんですかぁ……?」
恐る恐るルーシェリアが尋ねると、
「へっ? 魔剣??? 確かに凄く強い剣だけど、これは斬姫刀のレプリカだよ……?」
First Previous |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
Next Last