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リアクション
逃走中のフェンリルとロレンツォは、しばらく走ってどうにか追跡者を撒いた後、二人で空京市内にて潜伏していた。
「試しにもう一度魔剣同士でぶつけ合ってみましたが、やはり魔剣所有者の力がお互いに受けてしまい、全力を出せないようです……恭也さんとオーバーホールさんの方も同じ状況でした」
電話を切ったロレンツォは、二手に分かれたもう片方からの報告をフェンリルに伝える。
「……そうか、どうやって破壊したらいいものか」
フェンリルは頭を悩ませます。しかし、中々解決策の糸口は見えてこない。
「何事も諦めない事が肝心ですよ、フェンリルさん」
ロレンツォはそう言って励ますが、やはりどこか暗い雰囲気が漂っている。そのまましばしの時間が経過した頃――
「……ッ! こんな時にまた追跡者か?!」
不審な気配を感じとり、フェンリルが魔剣を構える。
「フェンリルさん、私だよ!」
そう言って、物陰からかつてフェンリルを治療してくれたローズが顔を出す。
「ネズミみたいにコソコソ隠れやがって、探すのにすげえ苦労したぜ」
後ろからパートナーのシンも現れる。
「フェンリルさん……この人たちは?」
「ああ、大丈夫だよロレンツォ。彼らは協力者だ」
「あ、そうでしたか! 大変失礼しました。私はロレンツォ・バルトーリと申します。以後お見知りおきを――」
そう言って、深々とロレンツォが頭を下げる。
「おお、礼儀正しい奴がじゃねえか。俺はシンって言うんだ、よろしくな!」
シンが好感触を得た一方、その隣では……
「……へえ、これが前にフェンリルさんが言っていた秘密を共有しているお仲間さんですか、随分と綺麗な方だね……」
ローズからは何故か凄まじい冷気が漂い始めていた。
「うん? どうしたんだ、ローズ」
「いや、何でもない……」
と、ローズが自身の感情を押し殺そうとした瞬間――
Prrrr.... Prrrr.... Prrrr....
「……フェンリルだ。ああ、こっちはなんとか大丈夫だ。そうか、分かった。ところでミスド前でお前に貰ったアレは結局何に使うものなんだ?
……まだ言えないのか、じゃあ引き続き、魔剣を壊す方法を探してくれ、信頼しているぞ」
フェンリルが電話を切ると、ローズがわなわなと体を震わせている事に気が付いた。
「駄目……やっぱりもう限界……」
「ヤバイ! てめえら早く逃げろっ!!」
シンがそう言って離脱するが、一瞬反応が遅れてしまったフェンリルとロレンツォが逃げ遅れる。
バキッ
目にも止まらぬ速さでローズにフェンリルの携帯電話が奪い取られ、真っ二つに折られた。そして、その光景に呆然となっていたロレンツォの携帯電話もマスケット銃――もといローズの持つヤガミデバイスから放たれた弾丸によって粉砕された。
「これで、もうフェンリルさんと私を邪魔する機械へ消えたね……さあ、今度こそ2人でゆっくり出来ますね」
ヒタヒタと少しずつフェンリルに近づいてくるローズ――
しかし、背後では……
「あ、ランディ!」
「ようやく見つけましたよ、フェンリル様!」
ウェルチと美緒がまたしても2人揃って現れた。
「……ッ! 今度はお前たちか、まったく仲が良いのか悪いのかよく分からないな」
フェンリルは軽口を叩きますが、事態はより深刻さを増している。
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