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リアクション
ミスド前で世紀の? 珍事件が終わった頃、フェンリルたちの方はというと、携帯電話を破壊されて生命線であった連絡手段を絶たれ、
とうとう魔剣の魅力に取りつかれた追跡者たちの手に堕ちてしまっていた。
「ランディー♪ あーんして」
「フェンリルさん、肩など凝っていませんか?」
「じゃ、じゃあ、私はとりあえず手を握っておきますね……」
フェンリルはウェルチ、ローズ、美緒に囲まれていた。
「……ロレンツォ様、何か御用はないか? 隠密、情報操作、粛清……主君のためならどんな事でも承る……!」
「ああ、美しいロレンツォ様、お側にいれるだけで光栄の至りです……」
ロレンツォの方も、女剣士の龍滅鬼廉と元傭兵のレイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)の熱い視線を受けていた。
「……ずいぶんと困ったことになったな」
「ええ、レディに親切にされるのは悪くありませんが、事態が事態ですからね」
フェンリルとロレンツォの2人は、空京市内にある公園のベンチに座りながら、女性陣たちのアタックを受けていた。
襲いかかってきた男性陣たちの方はというと、不意打ちでフェンリルを狙おうとしたシン・クーリッジ、
コンビでピアノを投げてきたフランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)に大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)、
ただひたすらおっぱいを揉もうとしたゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)とことごとく女性陣の前に敗れ去り、公園の外でのびていた。
「なんというか、今までは冒険ばかりの日々だったのだが、意外とこういう生活も悪くないかもしれないな……」
「みなさん、お美しい方たちばかりですからね……」
フェンリルとロレンツォはそんな事を言いながらも、公園の出口の方に常に神経を集中させていた。彼らとて、今の事態に甘んじている訳ではない。
ただ、何度脱出を試みても、人数で劣るうえ、さらに相手はうら若き乙女たちである。なかなか全力を出せずに、毎回捕まってしまったのであった。
(しかし、それ自体も言い訳で、本当はただこの空間に留まりたいだけなんじゃないか、俺は……?)
フェンリルの脳裏に嫌な想像が浮かんでは消えていく、そんな時だった。
「……おい、どうなってんだよこれは!」
公園の出口付近から、クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)と、
「少しお仕置きが必要のようですね、フェンリルさん……」
そのパートナーのクリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)が現れた。
「フェンリルよぉ! てめえ、ウェルチがいる前でなに女の子たち侍らせてデレデレしてんだ?」
「クリストファーにクリスティー?! いや、待て……これには深い訳があるんだ!」
「言い訳とはフェンリルさんらしくありませんね……」
クリスティーは心底呆れたといった表情で、スキル『毒虫の群れ』を発動させ、ハチ達の群れを呼び寄せる。
「こっちもいくぜえ!」
クリストファーの方も『野性の蹂躙』を発動させ、空京一帯の猫と鼠を総動員させる。
十数秒もすると、あっという間に公園はクリストファー達が操る生物たちに囲まれた。
しかし、逆にこの状況がフェンリルたちにとって好機をもたらした。
(さすがに、この全体攻撃には公園内の女性陣たちも対処しきれまい……)
フェンリルは隣のロレンツォと目でコンタクトを取り合い、全体攻撃が襲ってくる直前、公園の出口へと走り出した。
「ちょ、おまっ、待てよ!」
「ありがとうクリストファーとクリスティー! お前たちのおかげで目が覚めたよ」
「ふざけんなっ! まだ決着つけてねえだろが」
逃げ出そうとするフェンリルたちを狙い撃とうとするクリストファーたちだったが、
「フェンリルさん危ないっ!」
「ロレンツォ様の憩いの場所を穢そうとする者は許せぬ……」
後ろから、女性陣がクリストファーたちを集中攻撃し始めたため、フェンリルたちの逃亡を許してしまう。
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