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戦え!守れ!海の家

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第3章

「あーあ、ひどい目に遭ったものだなあ」
 砂浜にごろんと転がり、手足を伸ばした清盛に、木曽 義仲(きそ・よしなか)が歩み寄る。
「よもや、こんなに早く、再会することになるとはな」
「義仲か!」
 清盛は、起き上がって頭を振った。ぐるぐるのうずまきは、いつの間にか消えている。
「しかも、平清盛あるところ騒動ありとは」
 今回の騒動は、前回よりも大きくて、義仲としては、苦笑するしかない。
「だが、イカもタコも、見事に退治された。捌いて、料理に使うそうだぞ。楽しみだな」
「相変わらずだな。いや、しかし、また会えて嬉しいぞ」
「私もだ。義仲に会えて、嬉しいぞ」
 照れもせず、にっこりと笑う清盛の無邪気さに、義仲の方が、少しばかり赤くなる。
「で……では、また、今日も一緒に遊ぶとするか」
「釣りに行こう、と言いたいところだが、当分、船はこりごりだな……」
「だが、海に来て釣りができぬのは、いささか興醒め」
 しばらく考えていた義仲だったが、ポンと手を打った。
「よし、磯釣りをしようではないか。船釣りとは違う潮の読み解きの難解さは、釣りの醍醐味。どちらが良い魚を釣り上げるか、勝負といこうぞ!」
「その勝負、乗った!」
 そんなふたりから、少し離れて海を見ているのは、高柳 陣(たかやなぎ・じん)ティエン・シア(てぃえん・しあ)
「わーい、海だ♪ 最近、お山の中とか、砂漠とか、ジャングルとかばっかりだったから、嬉しい! 連れてきてくれてありがとう、お兄ちゃん」
「ああ、海に遊びに来てぇっていうから、適当に遊ばせとけばいいと思ったのに……また、トラブルかよ。まあ、関わり合いにならずに済んで、良かったよな」
 ため息混じりの陣を、義仲が手招きする。
「……はぁ? デート?」
「ああ、清盛と釣りに行くぞ」
「義仲くん、温泉で出会ったお友達とデートするの? じゃあ、僕は、お兄ちゃんとデートしようかな? なーんてね」
 と、話を聞いていたティエンが、陣にまとわりつく。
「ティエンもどっか行きたいのか?」
「うさぎさんの海の家! カレー食べて、うさぎさんのお土産、買いたいな」
「……面倒くせぇ……が、お子様達には、スポンサーが必要か」
 陣は、あらためて、ふたりを見比べてみた。
 義仲と清盛。彼らが何者かを知らない者がふたりを見たら、ただのお似合いなカップルだと思うことだろう。
「お前らのリクエストをまとめると、磯釣りして、魚釣ったら、それ持って海の家に行く……か。カレーが美味いとかマズイとか聞いたけどよ、釣った魚焼いてもらうのもいいだろう? それ食って、うさぎの土産を買う。でいいか?」
「うん!」
 と、大きく頷いたティエンが、陣に、こっそりと陣に耳打ちする。
「義仲君と清盛ちゃんのデートを成功させよー!」
「おー」
 やる気なく、それでも一応は、同意してやる陣だった。