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年忘れ恋活祭2022 ~絆~

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年忘れ恋活祭2022 ~絆~
年忘れ恋活祭2022 ~絆~ 年忘れ恋活祭2022 ~絆~

リアクション

 中央広場。

「メシエ、連れて来てくれてありがとう」
 リリア・オーランソート(りりあ・おーらんそーと)は自分の手にある金のベルを嬉しそうに見ていた。これが目的でメシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)におねだりして連れて来て貰ったのだ。
「……これが目的だったのかい」
 メシエは無表情で自分の手にある銀のベルを眺めていた。おねだりされた時に何かあるとは思っていたが。
「それもあるけど。メシエとデートしたかったから」
 リリアは笑顔でもう一つの目的を言った。そんなリリアが真っ先に向かったのは去年食べたじゃがバターを販売している露店。

 じゃがバター販売店。

「……やっぱりここのじゃがバターは美味しいわ」
 リリアはメシエに買って貰ったじゃがバターをもきゅもきゅと美味しそうに頬張り、メシエは黙ってその姿を可愛いなだと思いながら眺めていた。
 その後、近くの可愛いアクセサリーを販売している店に入った。
「これ、可愛いかも」
 リリアは可愛らしいペンダントを手に取り、じっと見つめている。
「欲しいのなら買ってあげるよ」
「本当? ありがとう!!」
 黙って様子を見ていたメシエの言葉にリリアは感激。買って貰うなり早速身に付けた。
 リリアは嬉しそうに何度もペンダントを見たり手に取ったりしていた。値段や質とかではなく、メシエに買って貰った事がよほど嬉しかったらしい。メシエはそれを嬉しそうに見ていた。表情には出てはいないが。存分に楽しんでからエースとエオリアが働いている『にゃあカフェ』に一休みに行った。

 中央広場。

 シャウラ・エピゼシー(しゃうら・えぴぜしー)は想い人金元 ななな(かねもと・ななな)を誘って祭りに来ていた。来るなり早速、ベルを貰いに行った。ただし、種類はカップル以外に渡される真鍮。
「……ベル狙われるんだよね」
 なななはベルを目の高さに掲げる。
「あぁ。だから頑張って死守しようぜ」
 シャウラは自分のベルをなななのベルに合わせてチンと音を鳴らし、笑いかけた。胸の内で金銀ベルで無かった事にがっくり。ちなみに告白はしたものの返事はお友達からというものだった。

 がっくりし終えたシャウラはなななを喜ばせようと
「そういやぁ、『にゃあカフェ』がこっちに出張してるらしいぜ」
 『にゃあカフェ』の事を教えた。以前、二人は来店した事があり、そこでシャウラはなななが猫好きである事を知った。
「ゼーさん、それ本当!?」
 猫好きのなななは目を大きく見開き、期待で声が弾む。まるで小さな子供のよう。
「……あぁ、本当だ。行くか?」
 シャウラはなななから視線を逸らしながら訊ねた。直視すると抱き締めたくなるので。
「もちろん!!」
 なななは目を輝かせながら力強くうなずいた。

 『にゃあカフェ』。

「あははは、可愛いなー」
 なななはひたすら猫を可愛がりまくり、今は「かぼ」ちゃんを膝に載せ、撫でまくっている。
「……(可愛いのはお前だって……てか、このケーキ二人で食べてぇな)」
 シャウラは猫とワイワイするなななを見てはメニューのカップルケーキを羨望の眼差しで見つめていた。
「ゼーさん、どしたの?」
 なななが難しい顔をしているシャウラが心配になって覗き込んだ。山好き動物好きなの楽しんでいないから。
「いや、何でも無い。それより、猫とツーショット撮ってやろうか?」
 シャウラは慌てて我に返り、デジカメを取り出した。店からの了承は取ってある。
「うん!」
 なななはうなずき、「かぼ」ちゃんを抱きかかえ、にっこり。
「……よし、撮ったぞ」
 シャウラはばっちりデジカメに収めた。後ほど、自分の分も現像しようと考えていたり。
「ありがとー」
 なななは嬉しそうに礼を言ってから「かぼ」ちゃんを離して可愛い双子猫のシヴァとゼノンを可愛がり始めた。
 時間の大部分を『にゃあカフェ』で過ごした後、二人は適当に夜景が見える時間まで散策した。

 中央広場。

「この場に渦巻く嫉妬の力が自分に力を与えてくれるであります。狩りの始まりであります!」
 どす黒いオーラを身にまとった葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)は広がるイチャラブカップルをにらみつけた後、サポート役のイングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)を引き連れベル狩りを始めた。まずはベルを配布の現場を観察し標的を慎重に選ぶ。主に狙うのは高得点の金ベル。選んだ標的を次々に襲いかかりベルを奪って行った。

 中央広場、時計塔の前。

「感激です。まさか、まさか、団長が来て下さるなんて」
 董 蓮華(ただす・れんげ)ルカルカ・ルー(るかるか・るー)と一緒に大好きな金 鋭峰(じん・るいふぉん)を誘った。取り立てて緊急の用件も無いので付き合おうという返事っだったが、来てくれるのか不安だったので視認するなり大感激。
「……少々、大げさではないか」
 本日の鋭峰は団服ではなく私服でそれも落ち着いた雰囲気の鋭峰らしい物だった。
「いえいえ、こうしてプライベートを一緒に過ごせるなんて幸せです。あの、素敵過ぎて目立つので伊達眼鏡とかグラサンとかします?」
 蓮華は感激していたと思ったら予め用意していた伊達眼鏡とサングラスを取り出した。団長の事となると用意も抜かりない。
「……いや、結構だ」
 鋭峰の返事は素っ気ないものだった。やましいことをしている訳ではないので隠す必要は無いと考えているらしい。
「そうですか。さすが、団長です。ではお昼は私がお供しますので。まずは記念ベルを貰いに行きませんか。もちろん、ベルは真鍮です!」
 蓮華は伊達眼鏡とサングラスを片付けつつ、ベルを貰いに行く事を提案する。鋭峰の気を害さないようにベルの種類を強調して。祭りについては誘った時に説明しているので省略。
「……あぁ」
 鋭峰は提案を受け入れ、蓮華と共にベルを貰いに行った。

 ベルを貰った鋭峰に渡そうとする蓮華の手が震え、止まってしまう。
「……どうした?」
 鋭峰は様子がおかしい蓮華に問うた。
「たとえ真鍮でも、これって絆があるって事なんですよね。私と持って頂いても良いものかどうか」
 蓮華は恐る恐る伺った。
「……構わない」
 鋭峰は間を置いて答えるなり蓮華の手からベルをもぎ取った。少しの間に何を考えていたのかは表情から伺い知る事は出来ないが。
 蓮華は鋭峰にお礼を言い、二人は商店街の散策を始めた。

 商店街散策中。
「……こうして大好きな団長と一緒に散策出来るなんて幸せ。ああん、団長が好き過ぎて呼吸がつらい」
 蓮華は歩きながらちらちらと隣の鋭峰に視線を向ける度に見とれて声が口から洩れてしまう。
「……何か言ったか?」
「あ、いえ、な、何でも無いです」
 蓮華のつぶやきが耳に入った鋭峰の言葉に蓮華は焦り、妙な汗が。
 その時、タイミング良くベルを狙うロンリー男が登場。
「団長のベルは私が死守します!!」
 『イナンナの加護』で警戒していた蓮華の表情は引き締まり襲い来るロンリー男を『側天去私』で容赦なく殴り倒した。恋する乙女は強い。倒れたロンリー男は係員に運ばれた。
「撃退しましたよ。団長、無事ですか? お怪我はありませんか?」
 撃退し終えるなり蓮華は背後にいる鋭峰の方に振り返った。
「無事だ」
 鋭峰は運ばれていくロンリー男を見送りながら答えた。
「そうですか」
 蓮華は鋭峰の無事に一安心。ただ、残念のは撤退に見せかけて絆誕生サービス周辺へ行けなかった事。でも幸運は突然舞い込むもの。
「……また襲われては面倒だ。どこかの店にでも入るか」
 鋭峰が蓮華を食事に誘ったのだ。歩く度にベルを狙う輩の相手をするのは面倒なためと食事時が近かったから。
「もちろんお付き合い致します。お店は私に任せて下さい!!」
 本日誘うばかりの蓮華は今日初めて鋭峰から誘われた事に舞い上がり、自然と声が大きくなった。
 そして、鋭峰に美味しい物を食べさせたいと意気込んでいる蓮華の案内でとある飲食店に行った。