蒼空学園

リアクション

　
　Ｅｐｉｓｏｄｅ８．コミュニケーション・デュエル

　
　
　御神楽　陽太（みかぐら・ようた）夫妻は、空京での仮住まい生活を終え、ツァンダの本宅に戻った。
　一度こちらの家にも招待したいという陽太の意向で、パートナーのエリシア・ボック（えりしあ・ぼっく）が、ハルカを迎えに行く。
　その豪邸に、ハルカは目を丸くした。
「すごいおうちなのです……」
「ハルカも、新しい家に引っ越したのですわね。新生活はいかがです？」
「はい。すごく楽しいのです！」
　ハルカは嬉しそうに答える。
　ハルカは、パラミタに来てすぐに祖父に殺され、旅路の末に暮らすことになったオリヴィエ博士の家は、その直前に破壊した為に飛空艇での仮住まいとなり、その後はイルミンスールの寮に入ったので、パラミタでの生活で、家らしい家に住むのはこれが初めてなのだ。
　アイシャにとって新生活が色々と新鮮なように、ハルカにとっても新鮮なものがあるのだろう。
「話したいことは色々ございますけれど、積もる話は後ですわ。まずは勝負といきますわよ、ハルカ。
　この後のお茶を美味しく飲む為にも、負けませんわよ」
「ハルカも頑張るのです」
　エリシアと会う時には、必ず一戦するのは、もう当然のようになっていて、お互い対戦を楽しみにしている。
「先日の大会では未対戦でしたし、今こそ新・蒼空＆イルミンデッキの威力、ハルカにお見せしますわ」
　二人とも頑張れ、と観戦する陽太の応援の下、二人のカードバトルが始まった。

※レアカード三枚まで可能ルール※



エリシア「では、参りましょう。
　一枚目は、伏せますわ」
ハルカ「ハルカは【午睡】のカードで、３ターン、２０００ポイントの回復をして行くのです」






エリシア「続いて、攻撃に移りますわよ。
　【カラミティアタック】で、１０００ポイントの攻撃！」
ハルカ「ハルカは回復をするのです。【午睡】カードも有効中なのです。
　【浄化するよー】のカードで、上限値も上げるのです」


「好きでカラミティ体質なんじゃないわよっ！」
　雅羅・サンダース三世（まさら・さんだーすざさーど）が、ヤケクソで訴えながら、一撃を放つ！
　しかし、すかさず全回復！






エリシア「続いて、イルミンスール校長のカードで３０００ポイントの攻撃ですわ」
ハルカ「ハルカは回復なのです。
　【慈母の歌姫】さんと【午睡】さんで、合わせて５０００回復できるのです。
　上限値も、更に３０００底上げなのです」


「わたしの魔力の前に跪くのですぅ！」
　ノリノリのエリザベート・ワルプルギス（えりざべーと・わるぷるぎす）による、魔法攻撃！
　しかし、すかさず回復！






エリシア「中々ライフが削れませんわね……。
　次のカードは、伏せますわ」
ハルカ「【四元変転】のカードなのです。
　ここから２ターン、属性効果が逆になるのです」





エリシア「……このカードも伏せますわ」
ハルカ「ハルカは、ぬりかべさんのカードを出すのです。
　５０００ポイントの防御なのです」






エリシア「その壁、崩して参りますわ！
　まずは【万能出刃包丁】で、３０００ポイントの攻撃ですわ！」
ハルカ「ぬりかべさんで防御なのです。
　ハルカは【ブラックボックス】を出すのです。
　ダイス目は……６なのです。二回振り直しなのです。
　ダイス目は……６と１なのです。１は無効で、６でまた二回振るのです」
エリシア「終わりませんわね」
ハルカ「ダイス目は……１と、５なのです。
　両者手札を７枚使用済にするのです。あわわ、ハルカのカードがなくなりそうなのです」
エリシア「自分の首も絞めましたわね」


　馬場　正子（ばんば・しょうこ）による豪快な女子力アタックは、ぬりかべによって完全防御される！（防御ポイント残・２０００）






エリシア「【三身一体】で攻・防・回の同時攻撃をさせていただきますわ」
ハルカ「ちょっと待ったぁ！　なのです！
【アイドルの歌声】で、そのカードは無効にするのです！」


「はいはい、どいたどいた！　ここはラブちゃんの出番よっ！」
　現れたディオニウス三姉妹を押しのけて、ラブ・リトル（らぶ・りとる）が高らかに歌う！
　両者１０００ポイントの回復！






ハルカ「ハルカの最後のカードなのです。
【縄張りを護る侠客】で、次のターンから３ターン、防御力と回復力が２倍になるのです」
エリシア「効果の無いカードで残念でしたわね。
こちらは【イルミンの白い人】で、３０００ポイントの攻撃をいたしますわ」
ハルカ「ぬりかべさんの力が残っているのです。２０００ポイント分防げるのです」


　侠客の縄張りに入るのが間に合わない！　ぬりかべは、２０００ポイントの防御をした後、粉砕する……！





エリシア「それでは、削って参りますわよ。
　まずは【魔法少女アイドル】……あら、攻撃ポイント減少のカードは、今となっては効果がありませんわね」
ハルカ「生殺しなのです……」






エリシア「では、【万勇拳の使い手】で２０００ポイントの攻撃をいたしますわ」


「燃えよマナミン！」
小谷　愛美（こたに・まなみ）の功夫が、ハルカにダイレクトアタック！






エリシア「続いて……あら、防御のカードですわ。こちらも、効果が無いカードですわね」


　現れたアーデルハイト・ワルプルギス（あーでるはいと・わるぷるぎす）は、「わしの出番は無いようじゃな」と言って消えて行く……



エリシア「次は……
　【浄化するよー】のカードで上限値の上乗せと回復ですわ。
　これでライフが並びましたわね」
ハルカ「うう、持ちこたえられなかったのです」






エリシア「あら……ふふ、では攻撃を致しますわ。
【カリスマブレイク】で両者４０００ポイントの自爆攻撃ですわ」
ハルカ「ポイントが並んだままなのです」
エリシア「土俵際で踏ん張りますわね」


　ジークリンデ・ウェルザング（じーくりんで・うぇるざんぐ）には、敵と味方の見分けがつかない！
　無差別に放たれた攻撃は、ハルカとエリシア、両者にダメージ！






エリシア「……このカードは伏せますわ。
　ハルカは行動不能ですから、続いて次のターンに参りますわね。
　……このカードは防御ですわね……」


「ボクで役立てられることはないみたいだね……」アゾート・ワルプルギス（あぞーと・わるぷるぎす）は、肩を竦める。






エリシア「……このカードも伏せで。
　……あの７枚のカードの中に、発動カードがあったのかしら……」
ハルカ「ドキドキなのです……」






エリシア「これが最後の一枚ですわ！　カードの女神、来てくださいませ！
　……【無個性の極意】……！
　相手の手札から一枚引いて、自分の攻撃とするカード……
　しまった……！」
ハルカ「ハルカには今、持ち札が無いのです。
　そして、そのカードの効果で、ハルカは使用済カードの中から、一枚手元に戻せるのです！」


　行動できないままエリシアのターンは終了し、同時に、一枚のカードがハルカの手札に追加される！






ハルカ「ハルカのターンなのです！　ていっ！
【薔薇執事】さんが来たのです！　１０００ポイントの攻撃なのです！」
エリシア「……負けましたわ……」

ＷＩＮＮＥＲ　ハルカ・エドワーズ