蒼空学園

リアクション

　
　Ｅｐｉｓｏｄｅ９．デュエリスト達は、今日も
　
　
　小鳥遊　美羽（たかなし・みわ）は、トオルやシキを誘い、コハク・ソーロッド（こはく・そーろっど）やベアトリーチェ・アイブリンガー（べあとりーちぇ・あいぶりんがー）と共に、ザンスカールにある、ハルカ達の新居を訪ねた。
　オリヴィエ博士の恩赦のお祝いをする為だ。
「えーっ！？　博士、工房にこもっちゃってるの！？」
「はい。久しぶりなので、ちょっと色々確認してくる、と言って、そのまま出て来ないんです」
　そう説明したのはアイシャである。
「やり始めたら止まらなくなっちゃった、っていうやつなのかな」
　コハクが、どうしようか、という表情で美羽達を見る。
「折角、皆でお祝いしようと思って来たのにー」
　美羽はがっくりと肩を落とした。
　
　何となく手持ち無沙汰になってしまって、コハクのお土産のドーナツを茶請けに、居間で近況などの雑談をする。
「トオルさん達は卒業したそうですね。進路、大変でしょうね。
　私達は、まだ暫く蒼空学園の大学部に通いますが……」
「いや、そうでもない、っていうか、フーテン？」
　心配するベアトリーチェに、トオルはくつくつ笑ってシキを見る。
「新生活、どう？」
　コハクがハルカ達に訊ねた。
「毎日忙しいのです」
　ハルカが楽しそうに笑う。
「皆でプールに行ったのです」
「イルミンスールにも、見学に行ったんです」
「色々揃えるのに、買い物が大変なのです」
「ハルカ、いなくなりすぎです……」
　ハルカとアイシャが、交互に話す。
　コハクや美羽達は、それを聞きながらくすくす笑った。
　ハルカ達の新生活は、マイペースすぎるオリヴィエ博士が工房にこもっているのを除けば順調のようだ。二人共楽しそうにしている。

　やがて話題がカードゲームのことになった。
　何しろ、前回の大会参加者が、五人も集まっているのだ。
「じゃあちょっと、ゲームしようよ！　折角デュエリストが集まったんだし！」
　美羽の提案で、トオルが「持って来てたっけかなぁ……」と荷物の中を漁る。
「ハルカはバッチリなのです」
「そういえば、エリシアちゃんは、今日は来てないの？」
「残念なのです」
「そっかぁ」
　もしかしたら、ライバルのエリシアとばったり会うかもしれないね、という話を、此処に来る前にコハク達としていた美羽は、少し残念に思ったが、約束していたわけではないので仕方がない。
「カードゲーム、ですか？」
　追加のお茶を淹れて戻って来たアイシャが、興味深そうに覗き込んで来る。
「教えてあげる。ね、アイシャちゃんもやろうよ！」

※公式ルールを使用※



コハク「第１ターン、まずは、
【十二星華・牡牛座】で３０００ポイントの攻撃をします」
トオル「こっちのカードは、
【未来への可能性】。ダイス目は、１・１だ、うわ、何だよしょっぱなから１ゾロって。
　１０００ポイントの攻撃だ」
コハク「属性で８００になりますね。更にカード効果で４００に半減します。
　こちらの攻撃は、３６００ポイントに上昇」
トオル「ギャー！」


　ホイップ・ノーン（ほいっぷ・のーん）の攻撃の前に、セルウスが転んだ……！






コハク「第２ターン、ドローです。
【魔法少女アウストラリス】、２０００ポイントの攻撃です」
トオル「【孔雀座のシュテルンリッター】で応戦するぜ！　２０００ポイントの攻撃！」
コハク「カードの効果で６６７ポイントにします」
トオル「ぐわー」






トオル「気を取り直して、第３ターン！
【十二星華・獅子座】で３０００ポイントの攻撃！　相手攻撃は半減するぜ！」
コハク「【天馬座のシュテルンリッター】で２０００ポイントの攻撃をします。
　属性効果で２４００ポイントになりますが、カード効果で１２００ポイント、ですね」
トオル「こっちは、属性で２４００に減るのが、カード効果で更に８００にされるのかーくそー」


「どうしてかしら、あなたには負ける気がしないわ……！」
「あ、あの、どうしてそんなに敵意が剥き出しなの……？」
「べ、別に胸大きくて羨ましいとか思ってないんだからね！」
セイニィ・アルギエバ（せいにぃ・あるぎえば）はフリューネ・ロスヴァイセ（ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ）に負けた！



　


トオル「第４ターン！　っっっギャ――！
【カリスマブレイク】が来た！　両者４０００ポイントの攻撃！」
コハク「うわあ……。……えーと、一応僕のカードは、
【十二星華・獅子座】で３０００ポイント攻撃なんだけど」
トオル「呪いか！　オーバーキルすぎる！」
コハク「念の為言うと、属性効果で３６００ポイントになるんだけど……」
美羽「もうやめたげて！　トオルのライフはとっくに０だよ！」


「えーと、何だかよく解らないけど……あっ、きゃー！」
「何だかよく解らないけど、とどめ――！」
　攻撃する相手を見極められず、ジークリンデ・ウェルザング（じーくりんで・うぇるざんぐ）が自爆する！

ＷＩＮＮＥＲ　コハク・ソーロッド

　
　
　






ベアト「では、第１ターン、ドローしますね。
【十二星華・射手座】で攻撃します。３０００ポイント」
ハルカ「ハルカは、【魔法少女アイドル！】で、このターンから３ターン、受ける攻撃ポイントを３割減にするのです。
属性で増えてしまうのですが……」


響く遠野　歌菜（とおの・かな）の歌声が、アレナ・ミセファヌス（あれな・みせふぁぬす）の攻撃力を弱める！






ベアト「続いて、第２ターン、ドローです。
【イコンパイロット】で３０００ポイントの攻撃です」
ハルカ「その攻撃は、無効にするのです。
【アイドルの歌声】で、両者１０００ポイントの回復なのです」


「さあさあ、あたしの出番よね！」
柊　真司（ひいらぎ・しんじ）を押しのけて、ラブ・リトル（らぶ・りとる）が癒しの歌を歌う！







ハルカ「第３ターンなのです！
【小さき英雄】さんですが、今のハルカには使えないのです……」
ベアト「では、こちらは
【天馬座のシュテルンリッター】を出しますね。２０００ポイントの攻撃です」


フリューネ・ロスヴァイセ（ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ）の攻撃に、今のリイム・クローバー（りいむ・くろーばー）では歯が立たない！
しかし遠野　歌菜（とおの・かな）の歌声が、その威力を弱める！






ハルカ「どんどん行くのです。第４ターン、
【弱者の善意】で、互いの手札から、攻撃ポイント３０００以上のカードをランダムで３枚使用済とするのです。
同時に、１０００ポイント以下の攻撃が倍になる、永続効果が発動するのです」
ベアト「【十二星華・獅子座】で３０００ポイントの攻撃をします」






ベアト「第５ターン、ドローします。ここで
【ぬ〜り〜か〜べ〜〜〜】のカードで、５０００ポイント分の防御を張りますね」
ハルカ「わあ、これは大変なのです。ハルカは
【慈母の歌姫】で回復して行くのです」






ベアト「第６ターン、ドローです。
【共に美しくあろう】、２０００ポイントの薔薇の攻撃です」
ハルカ「【ブラックボックス】で起死回生狙うのです！
　ダイス目は……１なのです！」
ベアト「残念、効果無しですね」
ハルカ「しょぼんなのです」






ハルカ「第７ターン、行くのです！
【縄張りを護る侠客】さんで、次のターンから３ターン、攻撃力は３分の１になりますが、防御力と回復力を倍にするのです」
ベアト「ではこちらは、
【三国の覇者】です。更に３枚のカードを引いて、同時攻撃します。
【機晶合体クーペリアン】による２０００ポイントの攻撃、
【魔法少女アウストラリス】による２０００ポイントの攻撃、
【慈母の歌姫】による、ライフ値上昇と回復です。
　合計４０００ポイント、属性はランダムで光になりますが、いずれにしろ効果はありませんね」
ハルカ「はわわ、侠客さんが間に合わないのです！」


「さあ、ちゃっちゃとやってしまいなさいっ！」
横山　ミツエ（よこやま・みつえ）の号令により、
エレーネ・クーペリア（えれーね・くーぺりあ）とアイリ・ファンブロウ（あいり・ふぁんぶろう）が同時攻撃！
　侠客の縄張り外だ！




ハルカ「手も足も出なかったのです」

ＷＩＮＮＥＲ　ベアトリーチェ・アイブリンガー