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終りゆく世界を、あなたと共に

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終りゆく世界を、あなたと共に
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「いってきます」
「ええ、いってきます」
 水原 ゆかり(みずはら・ゆかり)マリエッタ・シュヴァール(まりえった・しゅばーる)の2人が向かった先は、シャンバラ教導団本校。
 騒動の末雑然とした職場を片付けながら2人は顔を見合わせ、どちらからともなく微笑んだ。
 今日は、世界最後の日。
 だけど、出勤日だから2人はこうして職場に向かった。
 しかし当の職場は、いや、既にこの世界そのものが崩壊寸前の今となってはそれはほとんど意味をなさない行為だった。
 それでも、ふたりはこうして職場にいる。
 最後に受けた命令は、『最後の日は好きに過ごせ』。
 それでも、最後だからこそ、こうしてきっちりしておきたい。
 他にも、同様に考えた仲間は少なくなかったようだ。
 ここには、僅かな日常があった。
「外、行こうか」
「そうですね」
 2人の足が向かった先は、中庭だった。
「わぁ……」
「最近見てなかったけど、改めて見ると綺麗ね……」
 そこには、世界の終りなんて自分達には関係ないと言わんばかりに色とりどりの季節の花が咲いていた。
 花を見ながら、2人はとりとめもないままにおしゃべりをする。
「はぁ……中学生体型のままでこの日を迎えるのか……残念……」
 マリエッタが大げさな様子で嘆いて見せる。
 今となってはその嘆きは決して過大なものではないのだが。
 ゆかりはくすくす笑いながら、それに返す。
「この次生まれ変わる時は、グラビアアイドルになれるようおねだりしたら?」
「ううん」
 しかし、マリエッタは首を振る。
 そして、こう答える。
「もし今度生まれ変われるのなら……やっぱりカーリーともう一度一緒になりたいな」
「そう。私も……また契約するならマリーの方がいいわね」
 他愛無い、本当に日々かわされるおしゃべりの延長線上の会話が続く。
 そして、最後の瞬間がやって来た。
 2人は自然に手と手を繋ぎ、言葉を交わした。
「「また、逢おうね」」