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終りゆく世界を、あなたと共に

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終りゆく世界を、あなたと共に
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 世界全体を構成する見えない最小単位が寿命を迎えた。
 世界が終わった。
 ナラカごと、消滅した。
 ということは、流転の流れもない。
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、それを認識する。
 知らず、体が震えていた。
 恐怖――そうか、これは恐怖だと、ルカルカは理解した。
 そして同時に気付いた。
 自身の背中に回されている腕に。
 ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)がそっと、しかし力強くルカルカを抱きしめてくれていた。
 その腕を感じているうちに、ルカルカは落ち着きを取り戻していく。
 ――そうだ。
 ルカルカは不意に閃いた。
 以前、ダリルから聞いたことがある。
 別の世界があると。
 別の世界に逃げることができれば……
 そう。
 この世界が細胞だとしたら、その細胞が死んでも、別の細胞が必ずあるはず。
 それを知覚できるようになれば、行くことができれば――
 ダリルはルカの言葉を捕捉するように、説明する。
 遺伝情報たる生命を別の細胞に注入する……この場合脱出だな……その可能性はあるかもな――

「……ん、うぅ……」
「……大丈夫か」
 気が付けば、やはりダリルの腕があった。
 どうやら居眠りしたままうなされていたルカルカを、抱き締めて安心させてくれていたらしい。
「確信したの!」
「は?」
 唐突に叫んだルカルカを、ダリルは呆気にとられた様子で見る。
「ダリルの話で靄が晴れた気がするの。知覚する――あれ?」
 説明しようとしたルカルカの動きが止まる。
「あれ……あれ?」
 つい先程まで、ルカルカの中に凄いひらめきがあったような気がした。
 それをダリルに話し、共有しようと考えていた。
 しかし今、そのひらめきは何処に行ってしまったのだろう……
 首を傾げるルカルカの頭を、ダリルは軽く叩く。
「夢の話は終わりにしよう。夕食だぞ」
「あーっ、もーっ。こっちは真剣だったんだからぁ。笑わないでってばあ!」
 苦笑するダリルに唇を尖らせてみせた。